見出し画像

フランチャイズ契約書のつくりかた【仕入先を限定してもいいのか】

もしあなたがフランチャイズ契約書をつくることになったらここだけは気をつけよう4


フランチャイズ契約書の本部が、加盟店に対して、商品とか原材料を「自分の会社から買え」とか「この仕入先から買え」のように「指定」することはできるのでしょうか? 原則としてできます。が、仕入れ先の指定だけがねらいになってしまうことはNGです。ようするに目的による、というのが正確な答えです。

原則としては指定OK

仕入れ先を指定することは、フランチャイズチェーンというビジネスの性質上、不可欠なことがあります。ひとつのブランドを加盟店みんなで守らなければ、それはフランチャイズとはいえません。その統一性の維持のためには、仕入れについても、本部が認める品質、基準をみたした調達が行われる必要があります。

なので、仕入れ先を特定の業者に限定したり、フランチャイズ契約書によって指定することは一応有効です。

どこまで加盟店を縛れるか

とはいえ、加盟店としては、もっと安い仕入先がある場合には、こうした契約による縛りが不利に思えるでしょう。原価率を下げることができそうなのに、本部に指定された材料でした商売ができないのは、なんだかもったいない気がするものです。また、公正取引の観点からいうと、問題にみえなくもありません(優越的地位の乱用や拘束条件付取引等)。

微妙な問題ですがようするに、合理的な理由があって仕入先が指定されている分には、フランチャイズ契約という性質上、必要なわけですから有効なのです。本部としては、とにかく「正当な理由」をもって指定するしかありません。

「正当な理由」というのは、たとえば「秘伝のたれ」です。フランチャイズにとってオリジナルの味を守ることは、合理性、正当性がありますから、独自の製法を守る目的、営業秘密の保護という観点から、製造元、仕入先を限定することは必要不可欠なわけです。チェーンの商品の独自性や、統一的イメージを維持するためであることが「正当な理由」になります。

ただし、たとえば材料を相場の倍以上の値段で加盟店に売るとしたらまた話は変わってくるでしょう。いくら正当な理由があっても程度の問題です。

販売方法の指定もできる?

仕入先の指定と似た問題で、販売方法の指定もフランチャイズ契約書にはよく登場する条項です。

たとえば、モスバーガーというハンバーガーチェーンは、ハンバーガーの調理方法にこだわり、(創業当時は)店内のお客さんから見える位置で注文後にパティ(ハンバーガーの肉)を焼き、調理したてを提供するというオペレーションを実施しました。注文後に厨房の所定の位置で調理すると提供方法が決められていたのです。

こうした調理方法の指定も、お客さんから選ばれる差別化のひとつとして、あるいは信頼感につながるそのブランドのサービスとして行われている以上は、チェーンにとって維持する必要のあるものであり、契約で指定しうるものです。加盟店は、これと異なる提供方法(たとえばハンバーガーを作り置きして販売するなど)をすれば、契約違反になるといえます。

飲食店に限らず、たとえばクリニックのフランチャイズを考えた場合でも、なにかそのブランド独自の販売、提供方法(受付からご案内のフローであるとか、施術の提案方法など)があれば、それらを契約で指定することは可能です。

まとめ

・仕入先を指定・推薦する、提供方法を指定する、なども不可欠なものであればフランチャイズ契約では有効
・ただし正当な理由、合理性は常に必要と考えるべき(独占禁止法、公序良俗違反のリスク)
・逆にいえばみだりに限定する、価格をつりあげる、抱き合わせ販売、などはNGと思った方がよいです。

あわせてお読みください

契約書のひな型をまとめています。あなたのビジネスにお役立てください。


もしこの記事が少しでも「役に立ったな」「有益だな」と思っていただけましたら、サポートをご検討いただけますと大変嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。