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予備的合意書をつくってみよう!【合意書のひな型/商用利用可能】

契約締結の前に、交渉がある程度かたまったということで、その内容を事前にまとめて文書化しておきたいことがあります。最終的な契約ではありませんが、最終的な契約をする意思を確認できれば便利です。

そこで、予備的合意書を作成することがあります。一種の「内定」のような形で、取引条件を事前に明確にしておきたいときに使われます。

国際取引や、企業の合併のような大きな案件で使われているもので、Letter of Intent の頭文字をとってLOIと呼ばれたりします。この分野の取引にだけ使うと決まっているわけではないので、たとえば業務委託取引の交渉の際にもこうした合意書が交わされることは、十分にあり得ます。

予備的合意書のサンプルを作成しておきました。コピーして編集してお使いください。業務委託契約を締結することになったが、損害賠償の上限や、制作物の著作権の取扱いについては、事前に交渉済みであり、あとの細かい部分についてはあらためて正式契約を待つこととする、というシチュエーションを想定しています。

予備的合意書のひな形


            契約締結前合意書

本書面は、貴社(以下「甲」という)と、株式会社〇〇〇〇(以下「乙」という)との間において締結する、甲より乙に対する〇〇〇〇に関する業務の委託を主たる内容とする契約(以下「正式契約」という)に関し、あらかじめ以下の合意事項を確認するためのものであり、両当事者により署名されたときは、当事者間の契約となる。

第1条(用語の定義)
(1)「本件業務」とは、甲が乙に対し委託すること及び乙より甲に対し提供されることが予定される、主として〇〇〇〇に関する業務をいい、当該業務に付帯関連する業務の一切を含むものとする。尚、業務の具体的なスケジュール、仕様、納入形式、条件、その他指示等については、「正式契約」において詳細に定義されるものとする。
(2)「本件成果物」とは、本件業務の対象となる、乙の〇〇〇〇に直接的または間接的に関連して制作された上、甲に対し納入、提出または提案される、本件業務の成果としての情報の一切をいうものとする。尚、当該情報の具体的な形式、仕様、態様、媒体、その他数量等については、「正式契約」において詳細に定義されるものとする。

第2条(契約締結の意思)
甲は、本件業務についての「正式契約」を、すみやかに乙と締結する意思がある。

第3条(成果物の知的財産権の取扱)
 本件業務の実施により、乙から甲に納入される本件成果物に係る著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)、著作隣接権、及びその他知的財産権(以下、合わせて「著作権等」という)は、その引渡時点をもって何らの手続きを経ることなく、乙から、甲に対し譲渡されるものとする。
2 前項の規定にも拘わらず、本件成果物に含まれるもののうち、乙が従前より保有していた情報及び乙において汎用的に使用される情報、並びに乙が本件成果物に依存せず、独自に制作した素材等の情報に係る著作権等については、乙に留保される。

第4条(損害賠償の上限)
 甲及び乙は、「正式契約」及び本件業務の履行に関し、相手方の責に帰すべき事由により損害を被った場合、相手方に対して、法令に基づく損害賠償を請求することができる。但し、乙の、甲に対する損害賠償金の累計総額は、債務不履行、法律上の瑕疵担保責任、不当利得、不法行為その他請求原因の如何にかかわらず、当該帰責事由の原因となった業務に係る報酬の総額に相当する金額を限度とする。

第5条(有効期間)
 本書面は、本書面記載の日から発効し、「正式契約」終了(契約期間の満了または契約の解除をも含む)の日迄効力を有するものとする。但し、「正式契約」の締結に至らなかった場合には、本書面記載の日から6ヶ月後をもって失効する。

上記の通り確認したので、本日署名押印をもって同意し、本書二通を作成し、各自一通を保有するものとする。

令和 年 月 日 
(甲)
(住所)
株式会社〇〇〇〇

(乙)
(住所)
株式会社〇〇〇〇


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