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ユーザーへヒアリングアンケートを実施してコンセプトの受容性を評価する方法

はじめに 日常茶飯事で起きている事

商品コンセプトを社内でプレゼンすると、様々な意見が飛び交います。
「この商品はアイデアは面白いんだけど、本当に売れるの?」
と質問された時にしっかりと明確な答えを用意することって難しいですよね。
「多分、売れると思います。」とか、
「バイヤーにヒアリングしたら評価が良かったので売れると思います。」とか。なんとなく周りの反応や印象の話しか出来ない事が多いのではないでしょうか。
「市場規模はこれぐらいあり、私のアイデアはこの市場を狙っているので、売れるはずです。」とか。
ドリームでは月に2回プレゼンをしており、すべてのプレゼンに出席しているので、プレゼンターの気持ちも良く分かりますし、売れる売れないの話が出るのも良くわかります。アバウトな答え方しか出来ないと説得力を持ってプレゼンに臨めなかったり、打ちのめされてさて、これからどうやってコンセプトを改良していこうと悩んでしまうことって意外と多いのではないでしょうか。

思いついたばかりのアイデアは打たれ弱い?

コンセプトを思いついた時には素晴らしいアイデアを閃いた!!と思っても、冷静になってネガティブな意見などをもらったりすると、自信がなくなってしまう、というような経験をされたことは無いでしょうか?それは自信がないというよりも、実はアイデア自体の検証をしていないから、自信がなく、マイナス意見に的確に回答出来ないだけなんだと思います。思い付きのアイデアは打ちのめされやすく、批判を浴びるとしぼんでしまうこともありますよね。それぐらい思い付きレベルのアイデアは打たれ弱いことが特徴です。

何を元に着想を得たのか?もかなり重要です。生活者の行動ニーズに基づいたアイデアであれば、それは強いコンセプトになる可能性が高いです。単純にあったら良いなを思いついたレベルですと、まだまだヒアリングした方が良いかもしれません。思い込んで打たれ強いコンセプトに育てて行くにはどうすればよいのでしょうか。

コンセプトの受容性を図る方法

そこで、何らかの指標を持って、コンセプトの受容性が市場でどれくらいあるか、見込みを立てて、プレゼンに臨むことをおススメします。私がこれから紹介する方法はコンセプトをユーザーアンケートを通して良いか悪いか、使ってみたいかどうか、買ってみたいかどうかを数値化していく方法です。さらには、コンセプトのどんな点が良いと思ったのか、定性的な評価も分析して、表現開発に活かす方法を紹介いたします。

キーニーズ法におけるコンセプトスクリーニングテスト(CST)というものがあります。私はこの手法を元シャチハタの商品企画部長、現在は商品企画コンサルタントとして活躍される清水孝洋さんよりご教授頂きました。現在ではかなり頻繁にこのテストを活用しながら、コンセプトメイキングを行っています。

清水さん

清水さんの著書「むかしばはしで学ぶ 最強の商品「売れるモノ」だけつくる方法」に分かりやすく記載されていますので、興味がある方は購読されることをおススメします。


CSTのメリット

この方法を用いると以下のようなメリットがあります。

・コンセプトがユーザーに受け入れられるかどうかが分かります。
・コンセプトの使用意向度が分かります。
・コンセプトの購入意向度が分かります。
・商品にどんな機能があると良いのかが客観的に分かります。
・商品のどんな点が不明瞭なのかが分かります。

考え抜いたコンセプトを開発するかしないか?その判断はいつしていますか?その判断タイミングをなるべく早く、コンセプトが出来たてホヤホヤの段階でしてしまおうというのが、コンセプトスクリーニングテストです。このテストを実施することで、コンセプトの強さが分かるので、売れないものはこの時点で撤退出来ますし、売れるコンセプトが見つかれば儲けものです。

開発者バイアスとマンボウ病

商品を開発していく段階では、開発者バイアスというものがあって、「自分が考案したコンセプトは良いはずだ」という想い込みが生じるものです。一度考案したコンセプトを否定されたりすると、「そんなはずはない!このコンセプトを市場に出せば、必ず評価されるはずだ!」と思って一生懸命商品化を進めて、いざ上市をすると全く売れないことも多々あるかと思います。商品開発は数打てば当たるという信条の元、商品化点数をKGIに置いている企業も多いと思いますし、私自身もそのような目標を持って、企画を進めることが多くあります。下手な鉄砲も数打ちゃ当たると、商品点数を年間でたくさん創れば売れるものが出てくるという思考・傾向のことをキーニーズ法の創設者である梅澤伸嘉氏は著書「消費者心理のしくみ」の中で「マンボウ病」と呼んでいます。

「マンボウという魚は多産多死の代表で、約2億8千万個の卵を産み、そのほとんどが他の魚に喰われたりして死滅するといわれています。そこで短命に終わる新商品を多発・乱造する企業行動をマンボウ病と命名したのです。」
ヒット商品を生む!消費者心理のしくみ 梅澤伸嘉


キーニーズ法では、商品をたくさん創れば売れるはずだという想い込みを捨てて、コンセプトが出来た早い段階からユーザーの声をヒアリングして、コンセプトが受け入れられるかどうかをしっかりと見定めます。市場に受け入れられる為にはどうすれば良いかを調査・分析して、確証を持って、商品開発をしていこう、という考えの元でコンセプトメイキングをしていきます。

なぜこのようなテストをするのかといえば、世の中に商品を流通させるにあたり、すぐに商品が終売を迎えてしまってはいけないからです。可能であれば上市した商品が末永く愛されて、ロングヒットに繋がって欲しい。ロングライフな商品になって欲しい。下手な鉄砲も数を打てば当たるという考えではなく、なるべく売れる確証を持って、商品の成功確率を上げたコンセプトのみを創り、その商品が企業の顔となるようなモノ作りをしていきたい。余計なモノは作らない。世の中に必要とされるモノだけを、エンドユーザーの声を聞きながら、寄り添いながら創っていきたい。そんなキーニーズ法を提唱した梅澤伸嘉さんと清水さんの想いに共感し、コンセプトスクリーニングテストを日夜しています。


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