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ブランド開発の難しさ デザイナーとマーケターの思考の相違について

ブランド商品の開発は、そのブランドの世界観の共通認識が重要で、生活者の方に向けてどのようにブランドを認知してもらうのかが重要です。言い換えれば、世界観をどのように伝えるのか?という事であり、その世界観が開発者の中でもバラバラな状況だったりすると、商品開発がなかなか進まないという事態も発生します。あの人はこう言っていて、でもこの人はこうも言っている。一体どっちが正しいんだ?という意見や見解のバラつきが発生すると、収集がつかなくなります。ではどうやって統一感のあるブランドで、関わる人がみんな納得性を持って開発を進めることが出来るのでしょうか。少し考察をしてみたいと思います。

マーケティングアプローチとデザインアプローチ

マーケティングアプローチではユーザーの潜在ニーズを発見して、未充足になっている欲望や叶えたいニーズを元にしたコンセプトを打ち立てます。そうすれば、売れる商品を創る事が出来るという思考論理を持っています。しかし、ブランドにおけるマーケティングアプローチは、一筋縄ではいかず、単品商品ではなく面で展開したり、ブランド憲章を守らなければいけなかったり、開発のストーリーで共感を得たりと、伝えたいメッセージが多い分制約もたくさん出てくることになります。

一方でデザイナーはブランドのメッセージを、プロダクトアイコンとして指し示す事に注力します。ロゴ、プロダクト、パッケージ、空間デザインでブランド全体の世界観を伝えようとします。生活者視点でそのモノ自体がブランド理念に合っているモノなのかどうか、全体を通して統一感があるデザインになっているかどうか?などを総合的にディレクションをしていきます。

TAKEBONの場合はデザイナーから入り、マーケターとしても現在商品企画に携わる中で、お互いの立場を理解しながらも、まだ言語化しきれていない境界に佇んでいる感じです。そこで、マーケティングとデザイン書籍を色々と漁り始めて、少し腑に落ちた感覚になった言葉があったので、同じように悩まれている方やデザインをしている人に向けて、紹介したいと思います。

太刀川さんの「デザインと革新」です。
腑に落ちる言葉がたくさんありましたのでシェア致します。


定義を言葉に凝縮する


https://nosigner.tumblr.com/post/167718552088/condensemeaningsintowords

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分かりにくい概念は言語化することで見えてくる。構造化する事で見えてくる。「創造性」とは何か?「心地良い暮らし」とは何か?をおじいちゃん、子供に伝えるとしたらどう伝えたら分かりやすいか?を考えて行くと自ずとヒントが出てきそうな予感がしました。ブランドで言いたい事がボヤっとしていると伝えたいメッセージが伝わり切らないこともありそうですし、開発メンバーが共通認識を持つために分かりやすい言葉で言語化することは、重要なことだろうと思いました。一緒に言葉を紡いでいく感じが、育てるブランドには必要なフェーズなのかもしれません。

コンテクストがつくるべきものを教えてくれる

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https://nosigner.tumblr.com/post/167718520203/contextteachesuswhattomake


コンテクストを理解すると、みえてくるものがある。使われている状況を想像して「そこにふさわしい」デザインを選ぶ。センスの良い選び方はコンテクストを意識しているという考えに非常に納得を得ました。全く違うモノでも文脈に照らすと似たようなテイスト、デザイン、肌触りのものを選んでくる。その場にふさわしいものをピックアップする。ブランドの「らしさ」をどのように表現するのかで、集まる人も変わる。何が好きで何が嫌いで、どういう人生を送っていて、今日は何を感じて何を使っているのか?を具体化していくことでみえてくるものがある気がします。マーケティングではペルソナを作り、エンパシーマップを作り、ジャベリンボードを作って、カスタマージャーニーマップを作ろうということになるかと思いますが、要は漫画にしてみるのが早いのかなと思うようになりました。

4コマ漫画で問いを立てて、解答を立てる。そして解決方法を考える

この方法はUX CARAVANでセミナーをしているえそらさんから教わった方法ですが、4コマ漫画で描くと課題解決型のソリューションの価値検証が行えるというものです。

悩み01

ユーザーが悩みを感じている事や、課題だと思っている事などを1コマで表現するという方法です。

価値01

その次には課題が解決された状態、ビフォアからのアフターを描きます。このアフターに価値を感じる人がどれくらいいるのかも検証すれば、そもそもやりたいコンセプトやブランドがどれだけの人に響くのかが分かり、その間にある解決方法は千差万別、色々な方法があるということが分かります。最初から商品のコンセプト=解決策を考えてしまうと、ブランドの制約に照らし合わせた時に行き詰ってしまう事が多いので、この2コマ漫画をまずはしっかりを定めておくことが重要なんだということに気付きました。

ゴールを考える時は景色として想像する


https://nosigner.tumblr.com/post/167718515368/whenyouthinkofthegoalpaintthepicture

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例えば、3年後にブランドのショールームが出来たとしてそこに訪れる人はどんな人なのか?少し洒落た格好をしている夫婦が訪れて、良い香りと照明で照らされたリビング空間に二人で座っている。テーブルは少しグレイの入った白いテーブルで、マットな質感をしていている。。。コンテクストを紡ぎ出す事で共通のイメージが浮かび上がってくる気がします。ここをどのように想像できるのかで、商品のアウトプット表現が変わってきますし、開発メンバーでの共通認識を擦り合わせしていけるのだと思います。

211222.追記

ブランド開発の視点で上期PDCA回した結果あまり上手くいかなかったので、下期はプロセスを変革してみました。マーケティングリサーチも重要ですが、それ以外の切り口として、シーズ・アイデア・デザインアプローチという3軸で考えてみることにしました。失敗しても折れずに、改善サイクルを小刻みに回せる組織体制なので、比較的大胆なプロセス改善も可能でした。



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