第5期指す将A3 対あさねぼうさん振り返り

先日の指す将は正直自信があった。2回戦でずーさんに完敗してから自分なりにコツコツと棋譜並べや詰将棋をして棋力向上に努めていたと思う。
その甲斐あってか結果もある程度付いてきた。3回戦4回戦は勝つことが出来、先日開催されたミニリーグでもA3のメンバー三人相手に全勝した。
驕りがなかったとは言わないが多少リーグで戦えることが分かってきたという事は事実だと思っていた。

指す前にあさねぼうさんの棋譜を調べたところ76歩34歩なら75歩からの石田流、76歩34歩26歩なら54歩からゴキ中という現代振り飛車党らしい戦型が多くみられた。
そこで自分はそれらの戦法を決め打ちして研究しようと決めた。
まず取り掛かったのは対石田流だ。石田流は5年ほど前まではプロでも盛んに指されていてアマチュアでも指される方が多かった。しかし近年ソフトの台頭と共に研究が進みプロアマ問わずめっきり指す人が少なくなった。しかしアマチュアではまだまだ指せる戦法でありこういうなぜか分からないが最近は指されていないという作戦が一番怖い。相手は目が慣れてるのに対し、こちらは暗中模索で指さなくてはならないからだ。
自分の戦型選択を決めるにあたって相手の得意分野では戦わず少し見慣れない対策を使うことが多い。その方が相手は時間を使ってくれる分勝ちやすいからだ。
そこでその条件に合う作戦としてこなたシステムを採用することに決めた。

こなたシステムは図のように飛車先を突いているにも関わらず向かい飛車に振り2筋突破を目指すという大胆な作戦だ。

この戦法を研究するにわたって図の32金と上がったところで38銀、28銀という二つの手が考えられる。38銀と指すと後手は2筋突破という分かりやすい方針があるのでアマチュア同士では後手が勝ちやすいだろう。そこで28銀という手がある。狙いとしては38銀の時と同じように22飛車から2筋を攻めてこようとしたときに28銀38金型を使って受けようという意味合いの手だ。この形を作られると2筋突破は難しく、62銀などから居飛車として戦っていくことになる。その二つの指し方の大まかな方針と序盤の気になるところを確認して対石田流の研究を深めていった。

次に対ゴキ中の作戦は普段から使っている右玉を使用することに決めた。
ショーダンさんという方の分かりやすい右玉講座の動画がyoutubeにあるのでそれを見て、そこではゴキ中側が56銀型で美濃に組む場合がほとんどだったので少し穴熊をされた場合や別のパターンも考えていった。
石田流対策で時間を使ってしまったせいでゴキ中対策はあまりできなかったが普段使っている戦法という事もあり、何とかなるだろうと思っていた。
しかし、普段の相手の作戦や棋風が分からない相手との戦いとこの相手の情報を知り尽くせる指す将というルールの違いをまだ自分は分かっていなかった。

対局が始まり自分の先手になった。正直後手が欲しかったがしょうがない。76歩と指し34歩26歩54歩と想定通りゴキ中を指された。そこから少し進み図の局面になった。

92香と穴熊を明示された局面だ。事前のソフト研究ではソフトはあまり穴熊を評価しておらず組み合ったところで500点ほど先手が良くなるケースが多かった。しかしソフトとの練習対局では穴熊を活かした攻めを受け止められずに負けることが多かったので受けるときは手厚く受けようと決めていた。

現在後手が32飛と指した局面だ。ここではもう事前研究を離れているのでその場で考えるしかない。
ぱっと見相手の31銀型が奇妙に見えた。おそらくこの飛車回りを指したいこその工夫だろう。
相手から42角35歩同歩同飛と捌かれてもいいのだろうが少し35歩からの攻めをけん制する意味合いも含めて65歩と指した。42角なら55角が歩を取りつつ香車に当たってきついだろう。そこで後手は52飛と戻ったが2手損の分先手が良い思っていた。ここまではうまく指してる感があった。
しかし次の66銀がどうだったか、対振り右玉の左辺は97角77桂と組むのが理想形なのでそう指すべきだった。本譜54飛77角42銀と進んだが振り飛車が軽々しい形をしているのに対し、右玉の77角66銀の形が重い。どこかで86角と上がりたいがその瞬間56歩という手があるのが嫌みなのだ。

そしてこの局面で45歩が局面把握がなっていない手だった。先程述べたように角を86に設置したいので銀に紐をつける67金でよかった。
後手は意外と端を突くか一歩交換ぐらいしか得する手がなく先手は86歩85歩86角77桂と指したい手がたくさんある。
本譜45歩の後53銀46銀56歩となっては後手に仕掛けを与えてしまった感があり、2手得の貯金を使い果たしてしまった。

少し進んで57金と歩を払ったところだ。
ここで後手が指した35歩が少しありがたかった。35歩に47玉となっては54銀46銀65銀からの強襲を少し緩和できているのが大きいと思った。
ここでは54銀同銀同飛55歩51飛のように攻めの銀を捌かれて懸念の飛車の位置を変えられていたら困っていた。55の銀は攻め駒を攻めている大事な駒なのでそれを交換されるのが嫌だった。
本譜は36歩同玉35歩打同玉34歩打と進んだ。

しかしこの局面では変な位置に王様がいるなあと思った。読みの上では大丈夫だと思っていたが怖いものは怖い。玉が変な場所にいるとミスが出やすく負けやすくなるから嫌なのだ。この時ばかりは相手の穴熊が羨ましかった。
この34歩と打たれた局面ではぱっと見36玉かなと思った。46玉は歩が入れば54歩打という手がある。なので36玉と引いたがこれが良くなかった。
少し読めば現在歩が入る手段が後手にはない。
自分の弱いところとしてなんとなく怖いという感情で手を決めてしまう癖がある。それがこの局面で出てしまった。

65銀からの強襲を食らって86飛と指された局面だ。
ここで55角打が疑問手だった。22角打も考えたが33角と打たれ桂馬を跳ねられる分損だろうと思ったが後々の進行を見ると33桂と跳ねられたほうが入玉しやすいのでそちらの方が良かった。
本譜は88飛成58歩打68角打66銀打57角成同銀左引58龍と進んで問題の次の局面である。

この局面で指した47角打からの3手で将棋が終わってしまった。
47角打には本譜35金だが35歩で終わっていた。同玉は47龍同金38角打が厳しい。同銀は57の銀をポロっと取られ駄目、なので27玉だが36金打が厳しくこれも駄目なので47角打では48金と寄るべきだった。同龍同銀38金打ちが両取りで駄目だろうと読みを打ち切ってしまったが、そこで89飛と逃げれば先手が指せていた。89飛に48金なら56銀が味がいい。そこで15銀打なら27飛打から受けきっている。


本譜35金打に同銀と取ったのが最後の悪手である。57龍から後手の攻めが切れなくなってしまった。正しい手は27玉でこれなら後手の攻めが薄かった。
46金なら同銀で角が龍に当たっているのが大きい。
この後はあさねぼうさんの的確な寄せを見るばかりとなり負けてしまった。

本局の感想戦が終わった後悔しさのあまり1時間もボーとしてしまった。何も考える気がせずずっとTwitterを見ていた気がする。
正直大学将棋を卒業してから将棋はやめだなと思っていた。
あの自分の勝ち負けがチームに影響を及ぼすというゲームは脳みそがしびれる体験だったから、もう二度とあれを超える経験はできないだろうからと。
しかし何と気なしに指す将を初めて始めは勉強していなかったが2回戦のずーさんとの対局で完敗を喫してから悔しいという感情が再び沸騰してきた。
あのときもう少しちゃんとやっていればなあと思うことは無数にあるが悔しいという感情がある以上ある程度伸びるだろうとも思っているのでまた次に向けて頑張りたいと思う。

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