JC論:その事業の目的はSDGsの何番にあたる?
2019年度日本JCでは、青年会議所を日本で一番SDGsを推進する団体にするという目標を掲げています。一つの理由は、青年会議所の事業の目的の多くは既にSDGsと重なるところがあるからです。ですから、事業の目的がSDGsのゴール何番に当たるかを考え、SDGsを意識した事業を行なうだけで、JCの事業はSDGsの達成につながる事業に変わるのです。そして、SDGsと事業の目的を結びつけることで、事業の目的はより明確になり、効果を計測しやすくなります。
これは、いわゆるSDGsウォッシュと揶揄されるものとは全く意味が違います。SDGsウォッシュと呼ばれるのは既存の利益目的のビジネスを社会貢献しているように見せかけているものです。では、青年会議所の事業は利益目的のビジネスでしょうか?そうではありませんよね。ほとんどが公益目的の事業である青年会議所の事業をSDGsと結びつける事に何の抵抗も持つ必要はありません。
ただし、とりあえずそれっぽいものを当てはめれば良い、というものではありません。順番に学んでいく必要があります。
Step1:事業の目的とSDGsのゴールの対応を考えてみる
まず最初の一歩は事業の目的と、SDGsのゴール番号のどれにあたるかを考えることです。資料は色々ありますが、やはり外務省の資料が一番わかりやすいかと思います。まずはこの程度の知識で良いので、何番に当たるか考えてみてください。大抵の事業の目的は何らかの番号と結びつきそうだ、という感触を持ってもらえるかと思います。
Step2:既存事業の目的とSDGsのターゲットをすり合わせる
次に、持続可能な開発のための2030アジェンダをあたりましょう。これはかなり長いので、印刷したほうがいいかもしれません。
まずは前文を読み、それから、13ページ以降のターゲットのところへ飛んでください。そして、先ほど選んだゴールの中で、事業の目的がどのターゲットに当たるのかを探してください。ぴったり合うというものがあった場合はそれでOKです。
ターゲットと事業目的がどうも合わないという場合は、一旦ゴールまで戻って考えてください。例えばよくある「市民の防災意識の向上」というのは、目標9番のターゲットの中に実はありません。目標9番は基本的にはインフラの話なので、市民の防災意識の向上は対応しないのです。
そこで、もうちょっと考えてみてください。なぜ、市民の防災意識の向上が必要なのでしょうか。それは、老朽化した脆弱な家に住んでいたり、災害時に十分なサポートを得られない人、具体的に言えば十分な資産のない高齢者などが、市民の防災意識が低いと大きな被害を受けてしまうからです。
これが何のターゲットに当たるかと言えば、目標1番のターゲットの中にあります。「1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。」というところが、これに当たるのです。
よくSDGs1番から6番は途上国の問題と言いますがそんなことはありません。貧困層や脆弱な環境に置かれている人は日本でもたくさんいます。SDGsの理念は「誰1人取り残さない」ということであり、日本は他の国に比べて良いから何もしなくて良いということにはなりません。
ターゲットの中にないな、と思ったら、このように背景まで一歩引いて考えてみてください。
Step3:事業が他のSDGsのターゲットとつながるところがないか考えてみる
事業の目的は1個のターゲットとしか結びつかなくても、事業自体は他のSDGsのターゲットと結びつくところがあるかもしれません。
例えば、SDGsについての出前事業は、子供達にとって「4.7 (前略)全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。」に当たるでしょう。しかしそれと同時に、出前事業に行くメンバーにとっては、誰かに教える能力を高めるという意味で「4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。」にも当たるわけです。
このように、一つの事業がいくつかのSDGsのターゲットの達成に同時につながることはよくある事です。そして、それを意識することによって、事業は1石何鳥にも化けるわけです。
まずはSDGsを学ぶこと
SDGsで新しい発想を産もうとすることは重要です。しかし、まずは今までやっていることが何に当たるかを考えることは学びになります。ぜひ当てはめからチャレンジしてみてください。
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