日本青年会議所2020年度全国大会札幌大会に寄せて
日本青年会議所全国大会札幌大会のWEB開催が決まりました。コロナ下の状況の中で、ある意味当然の選択かもしれません。しかし、この決断には数多くの人の何年にもわたる思いが詰まっています。
日本青年会議所の全国大会は、約1万数千人が集まる、民間の公益法人としては日本でも有数の大規模な大会です。地域に与える経済効果は20億円とも言われています。でも、税金で行っているのでも、大企業の広告めあての支援があって行っているのでもなく、ただ全国の青年会議所メンバーの思いとお金と時間で成り立っています。特に、主管青年会議所である札幌青年会議所はこの大会のために開催決定からでも3年、開催決定までに至る年月を数えればそれ以上の年月を費やしてきました。
経済学では使ってしまったお金のことは、サンクコスト(Sunk Cost)と言います。覆水盆に返らずと同じように、なくなってしまってもう戻ってこないのだから、サンクコストを将来の検討に入れるべきではなく、「今立っている所」から最適な選択をしなさい、ということです。しかし、使ったコストは返らないものでも、そこにかけられた「思い」はなくなってしまうものではありません。
ただそれは過去の「計画」を実現するというものではありません。全国大会に込められた「思い」とは、「青年に発展・成長の機会を提供し」、地域にそして日本中に「明るい豊かな未来を描く」という「思い」であったはずです。その「思い」は、試練を経て、さらに大きくなっていくはずです。
お金は使ってしまったらなくなりますが、「思い」は積み重なります。
お金は捨てても、「思い」は捨ててはなりません。
積み重ねた「思い」を実現するために、私たちは何ができるか考えなければなりません。
軌跡をたどれば、2018年全国大会宮崎大会で台風により式典会場を変更しなければならなかったとき、池田祥護会頭が暴風雨の中「今だからできる限りのことをやろう」と訴えていたことは忘れられません。
そして、2019年に私が全国大会富山大会で式典を中止(結果的には会場を変更して翌日実施)となった決断をしたときに、ずっと思っていたことはこのことでした。
「思いを実現するために、私たちに今、何ができるか」
WEB開催にはお金面、運営面で多くの障害が予想されます。そして、検討する期間はほとんどありません。悪く言う人もいるでしょう。でも、泣き言をいう暇すらありません。
この困難を乗り越え、多くの人にインパクトを与えることができるなら、それはもうほとんど奇跡です。それでもなお、WEB開催という挑戦に踏み出す全ての青年会議所メンバーの挑戦にぜひ、ご期待頂きたいと思います。
青年会議所は必ず、これらの軌跡を紡ぎ、奇跡を起こせる。
私はそう、強く信じています。
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