「健やか」に生きるということ

パーマカルチャー。なんともわかりにくい言葉かもしれない。初めてこの言葉に出会ったのは2007年、一緒にファシリテーション講座を受けていた仲間の言葉からだった。それからなんと12年の月日が流れ、初めて本格的に学ぶことにした。その間、ソーシャル・アクションに足を踏み入れて行く中で、これを学んだ仲間がどんどん増えてきて、その仲間からの言葉や本をかじったりして、どのようなものかはぼんやりとわかるようになっていた。でも、なぜ、今まで学ばなかったか?

それを書くと、別の話になっていくので、ここでは置いておこう。。。

 5月の快晴の1週間、千葉県の安房鴨川にあるPAWAというフィールドで行われたパーマカルチャーデザインコース(略称:PDC)に参加した。

講師は旧知のソーヤー海くん。そして今回初めて出会ったフィルとカイル。彼ら3人とスタッフのみんながにこやかに迎え入れてくれた。

この緑のフィールドの全てがほぼ手づくり。

そうやって暮らしをつくることはパーマカルチャーのほんの一部。まだまだ自分自身も深遠な学びの入口の入口に立っただけだということを知るには多くの時間はいらなかった。

ただ、そんな深遠さにもかかわらず、軽さや明るさがここにはある。不思議なぐらいの明るさはこの1週間ふりそそいだ太陽のためだけではなかった。

彼らはこんな言葉を私たちにさらりと流し込んだ。

「僕らの考えるパーマカルチャーの原則は、"楽しい" "おいしい" "美しい" "自分らしい" の4つ。それが人をワクワクさせる」

「戦っても美しくならない。戦って変えても戦い続けなきゃいけない」

そして言葉だけでなく、その言葉通りに彼らはそこにいた。

もちろん、いろんな知識、技術、考え方など、たくさんの学びがあるものの、この言葉とこの言葉を体現する彼らとともに過ごしている中で、どんどん自分の中の何かか溶け出して、緩んでくる。「無理しなくていいよ、自然でいいよ」という声に、本当に無理をしなくなってくる。そして気づく。

「ああ、いつもは無理してたんだ・・・」

こうして"自然"の姿になることで、"自然"の中に還っていく。いつもどこかにあった「役に立たなきゃ」「何かしなきゃ」「これでいいのかな」という心の中の声が小さくなり、出てきても「まあいいよね」と受け流している自分にハッとする。

遡ること2年前、コロラド州のクレストンという町で5日間ほど、森の中で一人で過ごすリトリートに参加した。その時に受けたインスピレーションが2つ。一つは「世界にある本当のルールはたった1つ。それは自然界の法則だけ」もう一つは「人間も他の動植物も石も水も何もかも地球上の構成物。上も下もなく、それぞれのつながりの中の一部でしかない」というもの。自分がパーマカルチャーに見出そうとしていることは、まさにこの2つなんだろうなと腑に落ちた。あの時のインスピレーションを実際に体感、体験し、体に落とし込むために今回学びにきたのだろうという確信めいたものが湧き上がってきた。

自然の法則の中で自然に生きる。他の様々な地球の構成物とのつながりと循環を紡ぎ合わせながら、ただ自然の一部として生きていく。そのためには、自分や身の周りをどのようにデザインしていくのか。これがパーマカルチャーなんだろう。

そしてそのように生きている時の自分を一言で表すと「健やか」

自然の流れの中で生きることはなんと健やかなことか!そして、健やかに生きることは、実は普段もできることなのもしれない。自然が周りになくても自分自身が自然なのだから。

ただ「健やか」に生きるということ。まだ学びは始まったばかり。。。


※パーマカルチャー・・・「オーストラリアのビル・モリソンとデビッド・ホルムグレンの2人がつくり出した造語。環境や生態系を破壊することなく、自然の豊かな恵みによって人間の必要性を満たす、さまざまな技術のこと。(都会からはじまる新しい生き方のデザイン/ソーヤー海監修 エムエムブックス)」「人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系(パーマカルチャー/ビル・モリソン、レニー・ミア・スレイ 農文協)」

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