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車中の会話と差し入れ

タクシードライバーになって3か月目。
夜日勤に入り、バイオレンス案件が直近では目立った出来事でしたが、
毎日が刑事ドラマのように事件が頻発する犯罪都市で仕事をしているわけではないので、今回は平和なネタを。

日本における職業で、従業員へのチップ文化がある珍しい職種に、タクシードライバーがある。

額も内容も様々。
性別でどうこう言う話ではないが、相場値としては女性ドライバーの方が高いとか。。やはり、〇〇〇心を持ったオッサンから気に入られると、チップも弾むのでしょうかね。。

自分の場合、昼日勤の時はお墓参りに行かれたマダムや飲み屋さんのママからの寸志があったのが印象的。

私は車中での会話は、基本的に「お客様から話しかけられてから、始める」こととしています。
自分からべらべらしゃべることはしません。
なので、終始 超だんまりの車中もあれば、相当盛り上がることもあったり、いろいろです。

車中の話題は

1)私の年齢・家族構成
2)タクシードライバーになる前は何をしていたか?
3)この年で転職を決めたきっかけは?
4)何故転職先がタクシードライバーだったのか?
5)タクシーの仕事って大変ではありませんか?

等、まぁ文章にしてこうして読み返すと
「ずいぶんと俺のプライベートを根掘り葉掘り聞いているなぁ」
と。・・まぁ、これも10分~20分の間の接遇の一つですからね。これでお金いただけるなら、なんぼでも盛りまっせ(うそです。事実だけ話しています)

でもこういう会話になるのも、乗車直後に
「〇〇〇タクシー新人のTakeです。安全運転で参りますので、よろしくお願いします。どちらまで行かれますか?」
「〇〇ですね。かしこまりました。誠に申し訳ないのですが、私乗務してまだ日が浅く、建物の固有名をすべて覚えておりません。よろしければご住所または他の目印となる建物などを教えていただけませんか?」
と、新人であることを正直に話すと、

お客様ナビスタート
「いいよ~道案内するから、ここをまずは左へ行って~」
道案内してもらいながら、上述の話題に移行
「運転手さん、いつからタクシードライバーに?・・・」
最後に
「じゃあ、がんばって、おつりいらないから」
「これ、料金とは別に、私からの応援」などでチップをいただくことがあります。

そのチップの中で、先日駅近のスナックから15㎞程離れた隣町までお乗せした50代企業を経営されている夫婦の方から頂いたチップの話。

乗車後、行き先を教えていただくとき、ご住所を教えてもらい、ナビにセット。そして上記の会話スタート。

お酒のせいなのか、このご夫婦が会社経営をされているからなのか、猛烈に盛り上がったのが、私が30年勤めた会社を辞めた理由のところ。

「会社に対する忠誠心を従業員が持つようにするには、経営側はどうしたらよいとおもいます?」と。

私の考えは

「経営者側には、経営方針をコロコロ変えるようなことはしてほしくないですね」
「周りが何と言おうと、ぶれないことが一つ」
「経営方針を、従業員が自分の仕事に自分で当てはめることができること、それくらい経営方針ってシンプルであることが必要」
「決算発表時、円安がどうとか、原材料費の高騰がどうとか、同業他社だって全く同じ環境下で仕事しているんだから、それらを言い訳に黒字だ赤字だとか言わないこと。」
「同業他社が右に行くっていうから、うちの会社も右に行く・・・てのは、忠誠心を削ぐ経営。同業他社が右にいこうが、我々はこういう根拠でこうしたい、将来こうなるのがわが社のビジョンである。だから左に行く、いばらの道だけど、ついてきてくれ、っていう方が、自分で行動する従業員には響くと思います。」

今こうして文章を起こすと、

「ずいぶん偉そうなこと言ってんなぁ・・このドライバー」

っておもわれたかな。。でも、この話題、結構食いつくお客様、多いんですよね。

事実、私は今のタクシー会社に決めた理由の一つが、会社説明会での人事課長の説明と、入社後の社長の講話の中にでた

「公共交通機関の一つとしての責務を果たす」という言葉がありました。

私の勤め先は、私鉄及びバス会社、デパート等を運営するグループの中にいます。神奈川では第3位の規模のタクシー会社ですが、
ドライバーの間では

「クソ真面目な会社」
「金は持っているけど、ケチな会社」
「人材育成・安全活動は業界一充実かつ厳しいと思うよ。それがうっとうし
かったり、いやになって辞めるやつもいれば、出戻りしてくるやつもいる」

そんな会話が終わるころ、買い物するからコンビニに立ち寄ってくれとお客様からお願いがあり、目的地近くのコンビニへ。

「お待たせー。これ、はい。これからも頑張って。差し入れ」

と渡されたのが、アイスコーヒー。

「え!ありがとうございます!ものすごくうれしいです!」

で続いて

「これ、差し入れ。良かったら食べてください。」

「え?え?こんなに??えー・・・ありがとうございます!がんばります!


さぁ、今日明日は公休日でのんびりしよう。。

おしまい。


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