『仮面ライダークウガ』第11話感想

第11話 約束 (その5)

 一方その頃、五代雄介はいまだ変身できないまま、サイ型グロンギの猛攻を受けていた。頭をサイ型グロンギの両手でつかまれた状態で鉄骨の柱にぶち当てられ(五代は五代でサイ型グロンギの手を外そうとしてた?)、そのまま体が地面と平行になるまで持ち上げられたと思ったら勢いよくぶん投げられる。

 地面を一回転して起き上がろうとした五代の横面に、サイ型グロンギが渾身の回し蹴りをぶち込む。またしても地面に転がる五代が仰向けになった瞬間に、サイ型グロンギが飛び上がってその体を踏みつけようとする。さらに転がって攻撃を避ける五代。

 少し距離を取って膝立ちになった五代がサイ型グロンギと向かい合った瞬間、間合いを詰めたサイ型グロンギの前蹴りが入る。またしても転がされ、よろよろと立ち上がりかけた五代を、サイ型グロンギが背中側から服ごとわし掴みにして、放り投げて転がす。

 それでも立ち上がった五代に、腕を交差させた状態でサイ型グロンギが猛スピードで突進してくる。何メートルも吹っ飛ばされ、痛みに悶える五代はすぐに立ち上がることができない。
 まさか平成に転がし祭り(Ⓒ竈門炭次郎)が存在していたとは。

 猛烈な勢いでとどめとばかりにサイ型グロンギが突撃してくる。あまりの剣幕と勢いに、さすがの五代も逃げ場を求めて尻を付いたまま後ずさる。
 ギリギリで地べたを前転して、サイ型グロンギの突撃をかわす。サイ型グロンギはそのまま五代の後ろにあった金網へと突っ込み、破壊して駆け抜けていく。

 五代は一つ二つと転がって距離を取ると、態勢を整えるより先にサイ型グロンギが駆け抜けた方へと目を向ける。
 凄まじい破壊音と共に、大きな配管やら何やらが崩れ落ちてくる。落ちてきた物やそれが立てる砂塵の向こうに、サイ型グロンギの姿はとりあえず見えない。

 五代雄介は素早く立ち上がり、自分の腹に両の掌を向ける。ベルト状の装飾物が現れる。
「変身!」
 五代がポーズを取って叫ぶと、赤いクウガの姿に変わる。

 サイ型グロンギが、自分の上に落ちて来た何かやら、目の前の金網やらを荒々しくはねのけたり蹴飛ばしたりして広い場所へと出てくる。そして赤い戦士の姿を目にして「クウガ!」と一瞬驚くも、グロンギ語で早口で何やらまくしたてる。「ここで会ったが百年目!命はもらったぞ」みたいなことを言ったんだろうか。言っててほしいな。

 サイ型グロンギはひときわ大きく気合を入れて叫ぶと、怪人体に変身する。にらみ合う赤いクウガとサイ型グロンギ。
 サイ型グロンギは今までで一番長いセリフをグロンギ語で熱く語る。すまん、せっかく熱弁してるのに、内容が分からぬ……。今までの奴らと一緒にするな、とかそんな感じかな。

 サイ型グロンギが一直線に突っ込んでくる。クウガが宙を飛んでかわす。少し高い所に着地したクウガは、体の向きを変えて突進してくるサイ型グロンギに蹴りを入れる。入った所が良かったのか、サイ型グロンギが地面に転がるが、すぐさま立ち上がる。

 そこへ、クウガが高く飛んでボディプレスをぶちかます。サイ型グロンギの首元に両腕をかけると、自分ごと地表に転がる。本当に転がし祭りである。

 互いに立ち上がって向かい合うクウガとサイ型グロンギ。サイ型グロンギが鼻先の角をクウガに突き刺すべく突進してくる。サイ型グロンギが突っ込んできたところを上から押さえてクウガが捕まえる。クウガはサイ型グロンギの背中に何度も肘を打ち込む。

サイ型グロンギは全く気にすることなく、突進を続ける。クウガが力負けして後ずさる。隙を逃さず、サイ型グロンギがクウガの体を抱え上げ、そのまま後ろに投げ落とす。

 サイ型グロンギが振り返り、立ち上がったクウガに前のめりに突進する。クウガは一応受け止めるが、サイ型グロンギのパワーは一段ギアが上がったのか、その足は止まらない。押され続けるクウガだが、やられっ放しでいられるわけもなく、さっきのお返しとばかりに自分ごと倒れ込むようにしてサイ型グロンギを転がす。

 素早く立ち上がり、互いに身構える。何度か向きを変え、サイ型グロンギが突進してくる。クウガが角を掴みながら上から押さえ込む。しかしその時、サイ型グロンギが全身の力を込めて、クウガを振りほどくようにして放り上げる!
 そのパワーたるや凄まじく、クウガは何十メートルあるか分からない建造物の壁の上の方にまで飛ばされてしまい、強く体が叩きつけられる。そのまま真っ逆さまに落ちるクウガ。よくこの壁壊れなかったな……。

 サイ型グロンギが、最大速力で雄たけびを上げながら、落ちて来たクウガへと突っ込んでいく。
 建造物の壁伝いに立ち上がったクウガは、間一髪でサイ型グロンギの突撃を逃れる。クウガの激突でも壊れなかった壁が、サイ型グロンギの体当たりで壊れてしまう。ヒエェ!!!

 壁から角を引き抜き、サイ型グロンギがクウガへと何度目かの突進をしてくる。すんでのところでサイ型グロンギの両片を押さえたクウガ。しかしサイ型グロンギは唸り声を上げながら、クウガの喉を片手で締め上げつつ、体を真上に持ち上げてしまう!

 もがき苦しむクウガに、サイ型グロンギがグロンギ語で短く告げる。鼻の鋭い角が、上を向く。
 するとサイ型グロンギは、クウガの体を真上に高く放り投げたではないか!何というパワーだ!こうなってはクウガもなす術無し!

 やがて真っ直ぐに落ちてくるクウガの腹に風穴を開けるべく、サイ型グロンギが顔を上げ、鼻の先の角をクウガに向ける。
 サイ型グロンギの顔の上に落ちて来たクウガが、悲鳴を上げる。クウガ、絶体絶命!

 というところで、何とクウガのマークが現れて、背景が赤色に変わる。

 以上、第11話本編でした。

 第11話、サイ型グロンギとの戦い、半分は転がし祭りでしたね。純然たるパワープレイで、プロレス見ているのかと思いました。それはそれで燃えるものがありますが。

 そして戦っている場面を見て初めて、サイ型グロンギが人間体の時はフリンジしかないベストのようなものを着ていることに気付きました。そんな隠れオシャレを楽しんでいたなんて……。

 そしてサイ型グロンギの怪人体の時、首元にフリンジみたいなネックレスというか何というかの飾りがあって、造形やキャラ付けのこだわりが素晴らしいと思いました。

 ED。スタッフのクレジットを改めて確認する。柴﨑貴行さんの名前に改めて興奮する(『ガッチャード』観ている方には分かる……ハズ)。

 次回、五代雄介の根幹をなすものの一端が明かされます。人生において、人との出会いがどれほど奇跡的な物なのか。日曜の朝から何てシブくて熱い話をやっているんだ……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?