『仮面ライダークウガ』第11話感想

第11話 約束 (その1)

 第9・10話、何と五代雄介の25歳の誕生日、その日1日の間に起こった出来事でした。いくら何でもハード過ぎない?
 色々と濃密な中で、子どもたちのプレゼントにほっこり笑顔になります。

 グロンギたちはアジトに様々な物を残して去っていきました。彼らの今後の動向も気になるところです。特に第3号が!アイツ今度は何をやらかすんだろう?オラ、ワクワクすっぞ!

 では本編です。

 栃木県内・風早小学校。午後4時20分過ぎ。
 校庭のグラウンドでは子どもたちが賑やかな声が響いている。
 校庭を仕切るように花壇が作られている。木が何本か植えられている。その中の割と大きめの梅の木には、たくさんの白い花が咲いている。
 木々の根元には、たくさんのプランターが置かれている。どれもこれも何かしらは植えてあるが、花は咲いておらず、色味が乏しい。

 ゆっくりと花壇に歩み寄る、スーツ姿の男性。後ろ姿だが、身に付けているスーツの渋みとにじみ出る貫禄で、若くはない事は分かる。プランターの前で男性の足が止まる。

 男性から、彼が見ているであろうプランターの植物にピントが合う。ほぼ枯れていて、植物であることしか分からない。
 男性はしゃがみこみ、目の前の枯れている植物にそっと触れる。枯れている植物のすぐ隣には、咲ききって花がしぼんでいるパンジーがある。こちらはまだ手の施しようがありそうだ。

 校庭ではサッカーのユニフォームを着た子どもたちが走り回っている。サッカークラブの練習だろうか。

「どうしたんですか、神崎先生」
 ジャージ姿の若手の男性教師が、スーツ姿の男性に声をかける。神崎と呼ばれた男性は、しゃがんだまま顔だけをジャージ姿の教師に向け、「枯れてしまったよ」と寂しそうに話す。
 ジャージ姿の教師は、何事か思い当たったのか、「ああ……」と残念そうにため息をつく。

 神崎先生は、プランターの花たちを寂し気な面持ちで見つめながら立ち上がる。
「分からんなあ……。生徒たちから言いだして作った花壇だったのに、当番を決めないでおくと、こうだ」

 しみじみと残念そうにどうして平気なのかなあ、と神崎先生が深くため息をつく。ジャージ姿の教師は子どもたちをかばうように「平気じゃないんでしょうけど」と言葉を添えるが、神崎先生の表情は沈んだままだ。

 花壇を横切り、プランター同士の間にサッカーボールが転がってくる。校庭から子供が呼ぶ声が聞こえる。ジャージ姿の教師がサッカーボールを拾い、校庭に向けてボールを軽く蹴り込む。「サンキュー!」と口々に叫び、ボールに群がる子供たち。
 おいおい君たち、そこは「ありがとうございます!」じゃないのかね?

「子どもたちもどんどん変わってますからね」
 そう言いながらジャージ姿の教師は神崎先生のそばに戻ってくる。子どもたちの言葉遣いはあまり気にしていないようだ。
 彼の言葉に神崎先生もうなずきつつ、親の方も何を考えているか分からない時があると軽く愚痴をこぼす。

「分からない世の中ですから。未確認みたいなのも出たりするし」
 ジャージ姿の教師がサラッと言うと、神崎先生は何度目かのため息をつく。
「そういうのも影響するのかな……」
 憂鬱そうな神崎先生の横顔に、ジャージ姿の教師はたまには息抜きしてください、と励ますように言い、一礼をして去っていく。
 表情が晴れないままの神崎先生は「分からんよ」とだけ呟く。

 神崎先生、渋い……。スラックスに手を突っ込んで立っている姿が、渋カッコいい……。
 話しかけてきたジャージ姿の先生、絶対神崎先生のこと大尊敬してるでしょ。分かるぞ。

OP。神崎先生、フルネームでクレジットあり。
 そして福沢博文さんの名前に改めて興奮する。うわー、うわー!(『ガッチャード』と『ブンブンジャー』見てる方には特に分かる)

 東京都・文京区内。ポレポレ店内。午後10時40分過ぎ。
 その日の営業は終わっていて、明かりがついているのは店のキッチンだけ。五代雄介が口笛を吹きながら寸胴の中身をかき混ぜている。チラリと映った日めくりカレンダーの日付けは3月24日。

 おやっさんがエプロンを付けながらキッチンに入ってくる。交代だと言い、五代に労いの言葉をかける。もうちょっとだから最後まで自分がやると言う五代。
 そんなに早く出来上がるわけがない、なんか間違いがあるのでは、と寸胴の中をのぞき込むが、仕上がり具合は完璧で、おやっさんは「ない!」と断言するしかない。ちなみに作っているのはカレー。

 五代は、左手にはめた鍋つかみを腹話術の人形よろしく動かしながら、高い声で「いいから座っててよ、おやっさん」と笑顔で言う。
 おやっさんは五代の言う通りにキッチンを出て、カウンターの椅子に座る。その間も楽しそうに口笛を吹きながら、五代はペッパーミルを手に取り、慣れた手つきで寸胴の上から胡椒を挽く。

 おやっさんが五代に今日はノッてるねと言うと、五代は笑顔で振り返る。「明日店手伝えない分、やっとかないといけないでしょ」
 五代はそう言うと持っていたペッパーミルを調理台に置く。おやっさんは前もって休むことは聞いていたようだが、細かくは聞いていなかったようで、誰と会うんだと尋ねる。

「俺のすっごく大事な人」
 五代は鍋つかみを外して脇に置きながら、満面の笑みで答える。寸胴に向き直っておたまを手に取り、寸胴の中のカレーをすくう。「ずーっと前から、約束してたんだ」

 五代は小さな器に移し替えたカレーを一口含む。味見の結果は上々で、おやっさんに向け、何度も笑顔でうなずきながら、サムズアップをする。かわいい……。

 埼玉県・川口市内。午前2時15分を過ぎた頃。
 人気はもちろん、走っている車の数もない道路を走る一台のトラック。矢沢永吉の曲にノリノリのドライバー。ラジオでたまたま流れて来たのか、本人が好きで流しているのか。

 そんな時、車のライトに照らし出された人の姿にドライバーが慌てふためく。道路を横断しているのではなく、進行方向で仁王立ちしているのだ。
 トラックから何度もクラクションが鳴り、ライトが瞬く。普通の人間であればやはり慌てふためいて道路の脇に避けるであろうが、そこにいたのは何と、サイ型グロンギ!
 サイ型グロンギは驚くどころか、身じろぎ一つせずに、向かってくるトラックを睨みつけている。

 丑三つ時に、道に上半身裸でサスペンダーに鎖の飾りを付けた吊りズボン姿の、体も顔もいかつい人間と出くわしたらそれだけで怖いのに、その正体はグロンギなのである。もう色々怖い!

 サイ型グロンギの前でトラックを停止させたドライバー、よせばいいのに運転席の窓から身を乗り出して、サイ型グロンギに向かって怒鳴りつける。
 サイ型グロンギはと言えば、リントの言葉を聞き流しているのか、それとも言葉が分からないのか、とにかく無視して何かをずっと目を剥いて睨みつけている。

 サイ型グロンギが睨みつけているのは、トラックの荷台の下、排気用のマフラーだった。停車はしたがエンジンを切っていないので、エンジンの振動に合わせてマフラーが音を立てている。
 ついにサイ型グロンギがひと声叫び、怪人体へと姿を変える。顔の真ん中の大きな角が禍々しい。前のめりに歩み出すサイ型グロンギ。

 道路の真ん中に立っていた風体のヤバい奴が、さらにヤバい姿に変わるところを目の当たりにし、ドライバーは運転席のドアを開け、飛び降りて逃げようとする。しかし、地面に降り立ったところをサイ型グロンギに捕まってしまい、トラックのフロントに叩きつけられる。

 ドライバーは体の向きを変え、サイ型グロンギを見る。逃げる隙は無く、これから何が起きるのかを察して、ドライバーは見逃してくれと言うように首を左右に振る。
 サイ型グロンギはドライバーの様子などまるで無視して、グロンギ語で長々と何かを言っている。ドライバーの呼吸が恐怖で荒く、短くなる。

 サイ型グロンギが、鋭い角の先端を、ドライバーの体に突き刺す。ドライバーが痛みに叫び声をあげる。角がもう一度突き刺さる。再び、絶叫が夜の道路に響き渡る……。

 サイ型グロンギは登場時から、車が出すクラクションや排気音がかなりお気に召していなかったようなので、自分の番が回ってきたら早速攻撃しています。怪人体になった時、角がモチーフ通りに鼻の位置にあるの、デザインとして面白いのですが、何しろ殺傷能力が高すぎて……(;゚Д゚)

 ただ仕事をしていただけのトラックドライバーさんが、サイ型グロンギの一方的な都合で殺されてしまうのが非常に理不尽ですが、2024年5月現在だと、「トラックドライバーさんは貴重なのに……!」という思いが新たに湧いてきます。
 トラックドライバーの皆さん、いつもありがとうございます<(_ _)>

 激渋なイケオジ・神崎先生の憂鬱、五代雄介が会いたい大事な人、サイ型グロンギの成り行き埼玉一人旅と気になることが盛りだくさんになったところで、その2に続きます!

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