『仮面ライダークウガ』第11話感想

第11話 約束 (その3)

 東京。警視庁内・合同捜査本部。午前10時30分ごろ。
 室内のホワイトボードには、先のグロンギたちのアジトとなっていた倉庫の遺留品の写真が所狭しと貼られている。その1枚1枚にキャプションが書き込まれている。

 それを一瞥して、色んなモノを残していったと杉田刑事が呟く。杉田刑事の言葉を受け、一条刑事がその中でも明らかに現代のモノと違い、グロンギたち自身の遺留品だと認められるのは二つだけだと目で示す。

 会議用の机の上には、グロンギたちが何かの記録用に使っていた線が引かれたボードと、何かをカウントするための腕輪が、それぞれ袋に詰められて置かれていた。
 杉田刑事が腕輪が入った袋を手に取って、しげしげと見つめる。一体どんな物なのか、本当に数を数えるためのものなのかと疑問を口にする。

 その時、一条刑事の携帯電話が鳴る。杉田刑事に断り、少し離れて電話に出る。
 おずおずと一条刑事の名を呼ぶ声に、一条刑事がぱっと表情を明るくする。「亀山か!」
 あれ?もしかしてもしかすると……?

 長野県警・警備課。
 自分のデスクから電話をかけているのは、一条刑事が大好きな例の男性警官!君は亀山というのか!

 嬉しそうに名前を呼ばれたのにご機嫌斜めの亀山警官。それもそのはず、一条刑事が長野県警から警視庁に移動になるらしいという話を聞いて、わざわざ確認の電話を入れたのである。
 何だか急な単身赴任を聞かされて戸惑っている熟練夫婦の妻みたいだとか思っていない。思っていないよ?

 軽く「恐らくな」と答える一条刑事に、グロンギの事件を解決したらすぐに長野に返ってくると思っていたのに、と切々と訴える亀山警官。
 短期の出張が長期の転勤に変わってしまい、色々な予定が中止になって駄々をこねてる新婚夫婦の妻みたいとか思っていない。思っていないよ?

 私情1000%の亀山警官を、グロンギが次から次へと現れているのに、と一条刑事が叱りつける。
 寂しがってる相手の気持ちに気付かないで仕事を優先しちゃうワーカホリック過ぎる夫みたいだとか……思ってるわ……合ってるわ……。

 警視庁の合同捜査本部の電話が鳴る。杉田刑事が受話器を取り「何ぃ!」と鋭く小さく叫ぶ。一条刑事が杉田刑事の方へと振り向く。
 分かったと答えて受話器を置いた杉田刑事が一条刑事を振り返る。茨城県警の石下署から出動要請だと告げ、杉田刑事が駆け出して行く。
 一条刑事も亀山警官に事件だと告げて電話を切ると、後を追って駆け出して行く。

 東京都。世田谷区内・新二子橋。午前10時40分ごろ。
 順調にかっ飛ばしているトライチェイサーに、一条刑事からの無線連絡が入る。内容は第22号が現れたこと。場所を問う五代雄介に一条刑事が茨城県の石下町だと答える。
 分かりました、と応じると、五代はトライチェイサーの向きを変えて、走り出す。「先生、すいません。遅れます」と呟きながら。

 城南大学・考古学研究室。午前11時過ぎ。
 まだまだ研究作業中の桜子さんは、パソコンのキーボードを叩いている。すると携帯電話が鳴る。電話を取って出てみれば……「五代くん?」

 大きな海辺か川辺の脇の電話ボックス。
 五代雄介はバイクを止め、公衆電話から桜子さんに電話をかけている。そして唐突に唐突なことを言いだす。
「桜子さん、俺の代わりに、約束の場所に行って下さい」

 桜子さんは「は?」と大きく強く問い返す。確かに言ってる意味が分からないね。

 五代は未確認生命体が出現したと事情を説明する。それで全てを察した桜子さんは、五代に言われるままにメモを取る。
 〈御殿場線ヤガ駅で降りて、立花小学校〉

 神崎という先生が待っていると続けた五代は、俺もがんばるからと力説する。桜子さんがアワアワしている間も、神崎先生の人柄を伝えて、一方的に切る。
 桜子さんじゃなくても、もうちょっと分かるように説明してほしい、と言いたい。

 携帯電話を見つめた後、呆然と「どうして私が……?」としかめっ面をする桜子さん。携帯電話を置き、メモ帳の一番上のページを切り取る。切り取ったページには、電話を聞きながら書いたとは思えないほど丁寧な字で、五代から聞き取った内容が書きつけてある。

 電話ボックスから出てきた五代は、無線連絡を受信した音を聞きつけてトライチェイサーにまたがる。

 一条刑事が、未確認生命体第22号、つまりサイ型グロンギが先ほど連絡した場所から移動し、県警のパトカーが尾行中と伝える。分かりましたと応じて、ヘルメットを装着し、トライチェイサーを走らせる五代雄介。

 たまに、足元をアップにしてバイクの操作を見せる所が良いよなー。アップになると乗り物というより、メカという感じがして良い。

東京都。台東区・上野付近。午前11時10分過ぎ。
 線路の高架下を歩いてくる、ショートヘアのグロンギ。反対側から、誰かを探すような素振りをしつつ、網シャツのグロンギが走ってくる。人間体のグロンギが一生懸命走ってる姿って新鮮だな。

 ショートヘアのグロンギも網シャツのグロンギに気付いて、やや歩調を早める。
 ちょうど真ん中あたりで行き会った2体は足を止める。網シャツのグロンギがショートヘアのグロンギに近づき、耳元でグロンギ語で何かを伝える。じっと聞いていたショートヘアのグロンギは、網シャツのグロンギに顔を向け、恐らくサイ型グロンギの名前であろう言葉を口にする。

 初めこそ驚いたショートヘアのグロンギは、すぐに落ち着きを取り戻し、かすかな笑みを浮かべつつグロンギ語で語りかける。網シャツのグロンギが、ゆっくりと唇の端を歪ませる。

 そこへさらに、バラのタトゥの女と第3号がやってくる。ノースリーブドレスに黒の長手袋、赤いロングのファーといういつもの出で立ちのバラのタトゥの女と、黒のハイネックインナーに黒のコートに黒の傘の第3号が明るい所から日陰へと入ってくるシーン、光量とか画面の色味とかが非日常感を際立たせててカッコいい。何ていうかスタイリッシュな映画っぽい。

 網シャツのグロンギがバラのタトゥの女に近づき、両手を握り合わせながら、少しだけたどたどしいリント語で「俺の、番だな」と主張する。
 バラのタトゥの女は「まだだ」とだけ答える。気が逸っている網シャツのグロンギが「何故だ」と尋ねる。

 傘を上げて前を見た第3号が、バラのタトゥの女の後ろを回りながら、グロンギ語で偉そうにしゃべり出す。しかし、ここで第3号の間が悪い属性が発動し、グロンギたちの横を通り抜けた人々が、第3号のグロンギ語を聞きつけて振り返る。

 バラのタトゥの女が、第3号がちょうど自分の左隣に立ったところで彼の胸元に裏拳を入れる。「ここではリントの言葉で話せ」と鋭く注意を促す。彼女も気を付けているようで、第3号を力任せに吹っ飛ばしたりしていない。良かったね、第3号!(違う、そう言うことじゃない)

 しかし第3号はバラのタトゥの女に叱られたこと自体がご不満のようで、歯を食いしばっている。裏拳が急所に入って呼吸ができない、わけじゃないと思いたい。

 バラのタトゥの女は、2体のグロンギたちにもうしばらく待て、と命じる。ショートヘアのグロンギは笑みを浮かべてうなずくが、網シャツのグロンギは納得がいかずに顔を伏せる。

 伝えるべきことは伝えた、という顔でバラのタトゥの女がきびすを返す。後をついて行く第3号。

 どうにも腹が収まらない網シャツのグロンギは、バラのタトゥの女の後ろ姿をじっと睨んでいたが(多分第3号のことは気にしていない)、やがて元来た方向とは反対側へと駆け出して行く。

 東京都。東京駅7番ホーム。午前11時20分過ぎ。
 7番ホームに姿を現した神崎先生が、手の中のモノに目を落としつつ、電車に乗り込む。
 発車を知らせるメロディーが7番ホームに流れる中、「待って……!」と言いながら若い女性=桜子さんが走ってくる。

 桜子さんはそのまま7番ホームに停車していた電車に駆け込む。入り口付近の取っ手につかまりながら、桜子さんは思わず「間に合った……!」と小さく叫ぶ。人気のない電車の中では、先にボックス席に座った神崎先生が何事かと振り返っている。
 電車の扉が閉じる。ホッとしたように「間一髪」と桜子さんが呟く。
 駆け込み乗車、ダメ、絶対!

 茨城へと急行中の一条刑事のパトカー。サイレンの音が外で響いている。
 一条刑事は無線のマイクへと手を伸ばすと、茨城県警本部に現在の状況を問う。県警本部からはつくば市の上郷高架下で第22号の包囲完了したと応答がある。
 一条刑事は了解と応じてマイクを戻し、現場へと向かう。

 桜子さんと神崎先生はいつ会話を交わすのか、一条刑事と五代はサイ型グロンギに追いつくことはできるのか、いろいろ気になったところでその4に続きます!

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