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『仮面ライダークウガ』第10話感想

第10話 熾烈 (その2)

 トライチェイサーに乗った五代雄介、イカ型グロンギに結構ボコボコにやられたのに、以前よりダメージを引きずらなくなったような気がする。ベルト状の古代遺物の影響かな?

 倉庫の入り口。防護服を着た警官二人が素早く入り口の左右に付き、体勢を低くする。二人はそれぞれ対グロンギ用爆弾を手に取って互いに見せ合うと、その先端部分を捻り、同時にわずかに開いているシャッターの下から転がすように中へと投げ入れる。

 倉庫の奥。サイ型グロンギとショートカットヘアのグロンギがまだもみ合っている。そこへ音を立てて勢いよく二つの爆弾が転がってくる。もみ合っていた2体が異変に気付いて動きが止まる。他のグロンギたちも何事かとそちらに目を向ける。

 すると、二つの爆弾が爆発し、対グロンギ用に開発された煙がグロンギたちの周囲に立ち込める。彼らが苦手な成分がてんこ盛りなので、グロンギたちは一様に苦しげな様子を見せ、叫んだり煙を払おうと腕を振り回したりしている。

 少し離れた場所にいて、煙の直撃を受けなかったバラのタトゥの女は、静かに振り返ってグロンギたちを見やると、彼らに声をかけ、しっかりした足取りで歩き出す。カッケェ。

 倉庫の外。シャッターの下から、投げ込んだ爆弾からあがる煙がもうもうと流れ出てくる。防護服の警官たちは先ほどと同じ姿勢で待機している。
 向かい側の倉庫の陰では、一条刑事たちの他にさらに応援の刑事や警官たちが駆けつけ、突入の機会をうかがっている。

 都内の道路をひた走る、五代雄介操るトライチェイサー。

 城南大学・考古学研究室。パソコンのモニターには『解読率57%』の表示と、リント文字が並ぶウインドウ。
 赤系の革ジャンを羽織った桜子さんが、軽やかにキーボードを叩く。

 携帯電話の着信音が鳴る。右手で携帯電話を取り、左手でキーボードを打ちつつ電話に出る。「みのりです」と名乗った声を聞き、桜子さんのキーボードを打つ手が止まる。
 パッと笑顔になった桜子さんが「久しぶり。どうしたの?」と明るく問いかける。

 わかば保育園・職員室。暗い表情のみのりちゃんが「別に大した用じゃないんですけど……」とおずおずと話す。桜子さんが相づちを打つ。間を置き、みのりちゃんは思い切ったように最近の兄の様子を尋ねる。「どうって?」と桜子さんに聞き返され、何と言えばいいのかと説明に困り、口ごもるみのりちゃん。

 城南大学・考古学研究室。みのりちゃんの不安を察した桜子さんは思い返すような相づちを打った後、明るい笑顔で「別に変わんないよ。元気でのん気な五代くんだよ」と答える。

 わかば保育園。やや表情が明るくなったものの、口調にはまだ元気が戻らず「そうですか」とだけ答えるみのりちゃん。

 城南大学・研究室。みのりちゃんの口調や言葉の短さに、何事かを感じて笑みを納める桜子さん。

 品川区内・倉庫前。杉田刑事が自分の腕時計を見ながら、そろそろ薬が効いてるころだとつぶやく。時刻は午後1時30分過ぎ。
 杉田刑事が特別配備の拳銃を手に、行くぞと声をかける。渋い!カッコいい!一条刑事や桜井刑事も同じ銃を握り、制服の警官たちは通常配備の拳銃を構えつつ、件の倉庫の前へと移動する。

 倉庫の中。シャッターが押し上げられ、刑事や警官が一斉に駆け込んでくる。全員が中に入ったタイミングで一旦停止し、奥の様子を探る。何の気配もない。杉田刑事が合図を出し、さらに奥へと進む。

 いくつかの小集団に分かれ、それぞれに物陰に一度隠れる。全員がほぼ同時に飛び出し、奥に向けて銃を構える。
 しかし、そこには誰も何もいなかった。ここにいたグロンギたちは全員どこかへと姿を消したようだった。戸惑う杉田刑事たち。

 踏み込んだ倉庫の奥を、杉田刑事たちは改めて見回す。そこかしこに、大きさも種類もパーツも様々なマネキンが、吊るされたりくくられたり置かれたりしている。マネキンの中には足をもがれたり、有刺鉄線でぐるぐる巻きにされた上にナイフを刺されたりしているものもある。
 その他には、グロンギたちが何かをカウントしていたボードや、結構な分量の小銭とバラの花びらなどが置き去りにされている。そのボード、さっきまで奪い合いまでしていたのに、置いてったんだ……。

 赤い照明と不穏なBGMと巧みなカメラワークなどの演出で、視覚情報以上に恐怖感が募る。大人だって怖いのに、絶対トラウマになったチビッ子いると思う。

 杉田刑事が舌打ちをして「イヤな趣味してやがる」と吐き捨てる。一条刑事も無言でナイフを突き立てられたマネキンを見ている。
 そこへ、杉田刑事を呼ぶ声が倉庫内に轟く。その緊迫感に、杉田刑事も素早くどうしたと大声で応じる。声のした方へ駆け出す二人。

 倉庫のとある壁際。桜井刑事が「これ見てください!」と呼びかけて、そこにあった扉を開く。扉をくぐる杉田刑事と一条刑事。
 扉の先は、倉庫の設備や配管などを管理するための空間で、かなり長そうである。グロンギたちの姿はない。「奴ら、ここから逃げたのか」と空間の先を見据えつつ杉田刑事がつぶやく。

 突然無線が入る。通信してきたのは柴崎訓練士で、ミカド号が突然走り出したという。「奴らの臭いを感じたようです!」という報告に、杉田刑事が「何ぃ⁉」と大きく反応する。杉田刑事と一条刑事の目が合い、一条刑事が小さくうなずく。桜井刑事が素早く立ち上がる。
 倉庫の中へと駆け戻る3人。

 倉庫の外。全速力で走るミカド号。その後を全速力で追いかける柴崎訓練士。ミカド号がとある角を曲がり、裏手の林に差し掛かったその時!
 ミカド号の前に、サイ型グロンギが現れた!嗅ぎつけられた臭いを利用しての、まさかの誘導トラップとは恐れ入ったぜ!
 必死に吠え立てるミカド号。怒りに燃えるサイ型グロンギ。ダメ、そいつはヤバい奴なのよ!ミカド号逃げてえええええ!
 サイ型グロンギが怒りに体を震わせながら、吠え続けるミカド号を睨んでいる。短いうなり声をあげ、サイ型グロンギが動き出す。

 ミカド号の後を追う柴崎訓練士。その時、悲痛な犬の鳴き声が響き渡る。柴崎訓練士は立ち止まってミカド号の名を呼び、鳴き声が聞こえた方へとまた走り出す。一瞬遅れて、銃を手にしたままの一条刑事たちも後を追う。

 林の中。立ち尽くす柴崎訓練士。その足元には、積み重なる落ち葉の上に散る血痕。その後ろに駆け付けた一条刑事たち。柴崎訓練士が、ひざから崩れ落ちる。
 柴崎訓練士が血にまみれた落ち葉ごと、両手で鎖を拾い上げる。それは、ミカド号の首に巻かれていたものだった。最悪の事態に、涙ながらにミカド号の名を叫ぶ柴崎訓練士。一条刑事たちは、ただ黙ってその後ろ姿を見守ることしかできない。
 さらに刑事たちの後ろに、トライチェイサーに乗った五代雄介が現れる。ヘルメットを外した五代は、その光景を目にして、やはり何も言うことができなかった。

 林の中で柴崎訓練士が立ち尽くしている場面。林の枝越しの俯瞰で撮影しているので、血痕が見えていて、柴崎訓練士の悲しみと絶望が瞬時に視聴者側にも伝わってくる。残された血痕と鎖から、ミカド号の身に起きたことについては視聴者それぞれの想像に委ねられるため、より悲劇性が高まる。もっとも、日曜の朝という時間帯や、チビッ子が見ることを考えたら、無惨な犬の姿を出すわけにもいかないけど。
 サイ型グロンギ、この時点でかなりの犬好きを敵に回したと思われる。

 グロンギたちのアジトだった倉庫。パトカーのサイレンが鳴り響き、倉庫の前を警察官や刑事が動き回っている。
 少し離れた建物の陰で、人間体になったイカ型グロンギが、ニヤニヤしながら様子をうかがっている。「嗅ぎつけたか、リント」みたいな一言をつぶやくと、笑みを消して鋭いまなざしを投げかけ、きびすを返す。
 イカ型グロンギ、いつも全身濡れていて、おまけに表面が膜で覆われているのか歩く時にネチャネチャ音がするとか、イカっぽさのこだわりスゴイ。

 警察の突入作戦はグロンギたちに感づかれてしまい、失敗に終わりました。逆にグロンギ側に罠を仕掛けられ、ミカド号は殉職してしまいました。
 一方で、クウガとして戦う兄に対する思いを抱えるみのりちゃん。その心の内が晴れる時は来るのでしょうか?
 重苦しい雰囲気ではありますが、その3に続きます。

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