竹の箸を作って半世紀以上。竹の箸がある暮らしを当たり前に__株式会社ヤマチク

玉名郡南関町の県道を走っていると突如目に入る「竹の、箸だけ。」というキャッチコピーを掲げた工場。ここが『株式会社ヤマチク』です。

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ヤマチクの創業は1963年。創業当時は建築材料として竹を扱ってきましたが、年月が経つにつれ外国製の建築材の需要が増え、箸の生産にシフトチェンジ。そこから国産の竹だけで箸を製造しています。

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輸入木材ではなく、熊本や福岡の山から刈り取った天然竹だけで作る箸は、独特のしなりがあり、お年寄りや子どもでも物を掴みやすく、その質感に温かみを感じる人も多いそう。軽くて持ちやすいとあらば、日々の食卓でストレス無く使えるのは誰もが嬉しいアイテムだと思います。

「ヤマチク」が全国的に注目を浴びたきっかけが、『okaeri(おかえり)』という軽くてしなるシンプルな竹の箸を自社商品として発売した2019年3月のことです。

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3代目で専務の山崎彰悟さんを筆頭に取り組んだリブランディングにより生まれた『okaeri』は、多くの人々に竹の魅力を伝え、竹のお箸を使ってもらおうという意図通り、熊本県内のセレクトショップや雑貨店に置かれる他、首都圏の大型雑貨店やセレクトショップでも販売が始まり、瞬く間に話題となりました。
2020年9月には世界的なパッケージデザイン賞「ペントアワード(Pentawards)」の「その他」部門において、シルバー賞を受賞。さらに2021年2月には「okaeri」がソーシャルプロダクツアワード2021「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞と快進撃が続き、日本中に認知されたきっかけだったのではないでしょうか。

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今回話を伺ったのは小本結女さんと境麻里亜さん。ヤマチクの期待の若手です。お2人にヤマチクの入社のきっかけを聞きました。

「入社4年目を迎えました。箸の会社って珍しいな、というところから興味を持ちました。アットホームで賑やかな職場という事を知り、楽しそうと思い飛び込んだんです」(写真右・小本結女さん)

「小・中学生の給食で使われていたのがヤマチクのお箸だったんです。9年間使っていると段々と愛着が湧くという感じです。まるで家族同然のような雰囲気が、ヤマチクの魅力です」(写真左・境麻里亜さん)

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小本さんは出荷作業を、境さんは製造を担当しているとのことで、実際に仕事現場を見せていただきました。

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OEMとして大手ブランドの製品作りをする他、自社ブランドの製品製造など、作る箸の種類は多く、アメリカや韓国などの国外への出荷も増えたそう。また、都市部の百貨店などでの催事やポップアップストアでの販売の機会も増えているのだとか。

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ヤマチクの第一工場ではさまざまな専門機械が所狭しと並び、多彩な箸の種類を作り分けていました。境さんは竹の角材を角を取る作業を加え箸の形へと成形する仕事を担当しています。

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他にも、箸先を細くなめらかにするためにやすりをかけたり、色つけや漆を塗るなど、その工程は多岐にわたります。

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しかし、箸を生産するだけではありません。コロナ禍において専務の山崎さんが取り組んだのが社内商品デザインコンペでした。商品化されたら1案につき1万円、優秀作には10万円の賞金付きで、ヤマチクのクリエイティブディレクターがすべてのプレゼン内容を審査するというもので、そのクオリティの高さや社内の盛り上がりは、ローカルの会社での可能性や、あるべき姿なのではないかと感じる出来事でした。

「今までは作るべき物を、作っている、という感じでした。だけどこのデザインコンペで、どんな人に使って欲しいかなど生活シーンを想像することがとても自分たちのためになったと思っています。このコンペから、消費者に寄り添った箸づくりにますます励んでいます」と2人は話してくれました。

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箸を作る仕事が環境のために、人のために、自分のためになる。そんな夢のある竹の仕事を、ヤマチクは生み出しています。

株式会社ヤマチク
玉名郡南関町久重330
0968-53-3004


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