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第1章 恐竜誕生―黎明期の奇妙な怪物たち:「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」 見聞録 その01

本記事は、以下の記事の続編である。

2023年04月29日、私は兵庫県立美術館を訪れ、一般客として、「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」(以下同展)に参加した([1])。

「第1章 恐竜誕生―黎明期の奇妙な怪物たち」では、地質学者ヘンリー・デ・ラ・ビーチ(以下敬称略)の原画による「ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)」(図01.01)とロバート・ファレンによる「ジュラ紀の海の生き物—ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)」(図01.02)が観客を迎えていた。

図01.01.001.ジョージ・シャーフ(1820–95)。
(ヘンリー・デ・ラ・ビーチによる)ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)。
1830年、リトグラフ・紙、32.2×42 cm、ロンドン自然史博物館。
図01.02.002.ロバート・ファレン(1832–1912)。
ジュラ紀の海の生き物—ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)。
1850年頃、油彩・カンヴァス、190×268 cm、ケンブリッジ大学セジウィック地球科学博物館。

ジョン・マーティンによる「イグアノドンの国」は、イグアノドンの化石を発掘し、“恐竜を発見した男”として知られるギデオン・マンテルの依頼により描かれた作品で、油彩画をもとにした版画はマンテルの『地質学の驚異』の口絵を飾っている(図01.03)。

図01.03.005.ジョン・マーティン(1789–1854)。
イグアノドンの国 ギデオン・マンテル『地質学の驚異』(第6版・1848年)口絵。
1848年、メゾチント・紙、9×14.5 cm、個人蔵。

ジョン・マーティンによる「海竜の生態」も観客を魅了した(図01.04)。

図01.04.006.ジョン・マーティン(1789–1854)。
海竜の生態 トマス・ホーキンズ『大いなる海竜の書』(1840年)口絵。
1840年、メゾチント・紙、19.8×29.2 cm、ロンドン自然史博物館。

ヨーゼフ・クヴァセクによる「ムッシェルカルク期(三畳紀中期)」は幻想的な風景を見せた(図01.05)。

図01.05.009-a.ヨーゼフ・クヴァセク(1799–1859)。
フランツ・ウンガー『様々な形成期における原始の世界』 ムッシェルカルク期(三畳紀中期)。
1851年、リトグラフ・紙、42×56.6 cm、エリック・ビュフトー・コレクション。

水晶宮のイグアノドンはマケットとはいえ、存在感を示している(図01.06)。

図01.06.010.ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ(1807–94)。
水晶宮のイグアノドン(マケット)。
1853年頃、ブロンズ、34×45×18 cm、ロンドン自然史博物館。

ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズによる「ジュラ紀の生き物—ヨーロッパ」は観客に、当時の生態系を想像させた(図01.07)。

図01.07.014.ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ(1807–94)。
ジュラ紀の生き物—ヨーロッパ。
1877年、油彩・カンヴァス、80.3×219.4 cm、プリンストン大学地球科学部、ギヨー・ホール。

「高層住宅に前足をかければ、6階のバルコニーで食事ができたかもしれない」は非常にユーモラスである(図01.08)。

図01.08.017.高層住宅に前足をかければ、6階のバルコニーで食事ができたかもしれない。
カミーユ・フラマリオン『人類誕生以前の世界』(1886年)挿絵。
1886年、エングレーヴィング・紙、27.4×19.2 cm、エリック・ビュフトー・コレクション。

また、恐竜以前・以後の怪物たちの絵画として、「ペルセウスとアンドロメダ」(図01.09)と「誘拐」(図01.10)が展示された。

図01.09.019.ヘンドリク・ヤーコプ・フート(c. 1693–1733)。
ペルセウスとアンドロメダ。
1720年、油彩・板、31.7×40.1 cm、ボウズ博物館、バーナード・キャッスル。
図01.10.021-b.マックス・クリンガー(1857–1920)。
『手袋』(第3版・1893年) 誘拐。
1893年、エッチング、アクアチント・紙、8.9×21.8 cm、兵庫県立美術館。

いずれの作品も当時の古生物学者や芸術家などの豊饒な想像力を感じさせるものである([2])。


参考文献

[1] 株式会社 産業経済新聞社,株式会社 フジテレビジョン,公益財団法人 日本美術協会 上野の森美術館.“「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」 ホームページ”.https://kyoryu-zukan.jp/,(参照2023年05月03日).

[2] 株式会社 産業経済新聞社,株式会社 フジテレビジョン,公益財団法人 日本美術協会 上野の森美術館.“展示構成”.「特別展 恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」 ホームページ.https://kyoryu-zukan.jp/exhibition/,(参照2023年05月06日).

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