細胞の中のDNAのたたまれ方:理化学研究所 大阪地区 一般公開2019から学んだこと その03

PDF版は「細胞の中のDNAのたたまれ方.pdf」を参照。

2019年11月23日、私は理化学研究所 大阪地区(以下大阪地区)を訪れ、一般客として理化学研究所大阪地区一般公開2019(以下同一般公開)に参加した([1])。

「06.細胞の中のDNAのたたまれ方」(図01)で、生命機能科学研究センター(以下同センター)細胞システム制御学研究チーム(以下同チーム,[2])は、ヒト3番染色体のコンピュータ グラフィックス(computer graphics:CG)(図02)を見せることで、細胞内分子の超高感度・超高解像度イメージング技術の開発、細胞内の各種分子の網羅的な定量化のための新規方法論の開発、細胞状態の制御原理の解明を目指したゲノム状態解析法の開発、1細胞の複雑な状態性を定量的に理解するための理論・数理モデルの構築、および、細胞状態の人為的制御のための方法論の開発と医学への展開を紹介した。

図01.「06.細胞の中のDNAのたたまれ方」。
図02.ヒト3番染色体のコンピュータ グラフィックス。

同チームは研究成果を多数発表している。なお、2021年06月01日、谷口雄一 京都大学アイセムス(高等研究院 物質―細胞統合システム拠点)教授(兼・理化学研究所チームリーダー)らの研究グループは、細胞内のゲノムDNAの3次元構造を、ヌクレオソームのレベルで決定する技術の詳細な実験マニュアルを公開した([3],[4],[5])。

ここで、DNAを知るために必須な文献を以下に示す。

1.中井謙太 著.新しいゲノムの教科書:DNAから探る最新・生命科学入門.第1刷,株式会社 講談社,2023年01月20日,304 p,(ブルーバックス).

本著は、DNA、遺伝子、および、DNA解析技術に関して詳細かつ分かりやすく記述している。初学者は必読である。

 

2.デイヴィッド・サダヴァ他 著,石崎泰樹 監訳・翻訳,丸山敬 監訳・翻訳.カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学.第3刷,株式会社 講談社,2010年06月23日,424 p,(ブルーバックス).

本著は分子遺伝学の基礎知識を掲載しているので、必読する価値がある。


3.キャット・アーニー 著,長谷川知子 監訳,桐谷知未 翻訳.ビジュアルで見る 遺伝子・DNAのすべて:身近なトピックで学ぶ基礎構造から最先端研究まで.第1刷,株式会社 原書房,2018年06月30日,230 p.

本著は遺伝子やDNAに関する事柄を詳細に記述している。また、非コードDNA(ncDNA)に関しても、詳細に記述している。それ故、まず、本著を読んで、ncDNAを理解するほうがよい。


4.小林武彦 著.DNAの98%は謎:生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か.第8刷,株式会社 講談社,2022年01月27日,208 p,(ブルーバックス).

非コードDNA(non-coding DNA:ncDNA)は様々な生命活動に大きく関わっていることを痛感した。最新研究によって、かつては「ゴミ」として捨てられたncDNAの役割が明らかになってきていることは、驚嘆に値する。


本記事が読者の皆様のお役に立つのなら、嬉しくかつ有難い。

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参考文献

[1] 国立研究開発法人 理化学研究所 大阪地区.“大阪地区一般公開2019 開催報告”.理化学研究所 大阪地区 ホームページ.お知らせ.2019年12月25日.https://osaka.riken.jp/open2019/report.html,(参照2023年01月23日).

[2] 国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター.“チーム リーダー 谷口 雄一 Ph.D. 細胞システム制御学研究チーム”.理化学研究所 生命機能科学研究センター ホームページ.研究.研究室.https://www.bdr.riken.jp/ja/research/labs/taniguchi-y/index.html,(参照2023年02月03日).

[3] 国立研究開発法人 理化学研究所.“生命機能科学研究センター 細胞システム制御学研究チーム チームリーダー 谷口 雄一(Ph.D.)”.理化学研究所 ホームページ.研究室紹介.生命機能科学研究センター(BDR).https://www.riken.jp/research/labs/bdr/cell_sys_ctrl/index.html,(参照2023年02月04日).

[4] 国立研究開発法人 理化学研究所.“最も詳細な解像度でゲノムDNAの3次元構造を導く技術”.理化学研究所 ホームページ.研究成果(プレスリリース).研究成果(プレスリリース)2021.2021年06月01日.https://www.riken.jp/press/2021/20210601_1/index.html,(参照2023年02月04日).

[5] 国立大学法人 京都大学 アイセムス(高等研究院 物質―細胞統合システム拠点).“最も詳細な解像度でゲノムDNAの3次元構造を導く技術”.京都大学 アイセムス トップページ.ニュース一覧.研究.2021年06月01日.https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/news/4189/,(参照2023年02月04日).

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