家財道具との連帯|絵本で読む「モノ」と「ヒト」の関係とその再編
民俗学者・今和次郎(1888-1973)は、敗戦直後の1945年末に出版した『住生活』(乾元社)の冒頭に「生活習慣遮断の体験」という耳慣れないタイトルの文章を書いています。
敗戦直後の日本では兵役や空襲により、これまでそこにあった「物」や「人」のいずれかが欠けて、生活習慣が「遮断」されてしまった住まいが膨大な数にのぼりました。罹災者の声を今はこう書き留めています。
はじめは恐ろしかった体験から興奮状態で無我夢中でしたが二三週間も経つと、いろいろと淋しさが湧いて来る。永年住