『宇宙の卵』に思うこと 1

日頃よく拝見している都市ボーイズさんの動画で紹介されていたコミック作品。

面白そうなので購入しました。
いやあ面白かった!上下巻で完結しますので、ご興味のある方は是非。


ここからは元マンガ家志望の妬み嫉みを含む(笑)最近のマンガ作品について、個人的に思うことをつらつらと。

まず、最近は圧倒的に絵がキレイである。週刊連載ですら美麗絵である。あれだけのクオリティを週刊で出せるなんて驚き以外の何ものでもない。つーか化け物だろマジで。
マンガを描いたことがない人にはわかりにくいかもしれないが、毎週19ページの完成原稿を上げることは、オリンピック選手並みに凄いことなのだ。
それをあの美しさで出せる。金メダルより凄いとすら思う。

これは、近年はデジタル作画が主流になっていることがひとつ。そして、幼い頃から目にするサンプルが数多くなっていることがひとつ。

デジタル作画の利点は、作業の効率化が出来ること。

これは、作家がそれぞれ自分の作品に合うよう設定するのは大変である。アナログであれば設定するまでもなく自分の手癖で描けることを、プログラムに覚えさせる訳だ。作画の準備段階では、アナログよりも時間はかかるだろう。まず作画ソフトを覚えなければならないし。
ただし、設定してしまえば、必要最低限の作画だけで済む。アシスタントへの指示もしやすい。
アシスタント的にも、アナログより職人的な作業が少ない。作画ソフトが使えれば良い。
(背景やモブなど、作画が必要な場合はもちろん相当の技術を要する)

これは一般の方に伝わりにくいのだが、トーンを削る技術がなくても済むのは良いよね…あれを体得するのはなかなかに大変。
簡単に言うと、背景なんかにある模様というか…人物の影とか、髪の毛とか、ペンで描いたのではない色が付いているところ、アレのことだ。
スクリーントーンと呼ばれる。
トーンは模様が印刷された、透明なシールみたいなもの。あれを原稿の上に貼って、必要な所を残してカッターで切り取る。原稿まで切らないようにする力加減が必要だし、まず線通りに切り取ることも慣れていないと難しい。その上、画面上でぼかす(グラデーションをつける)際には、表面を細かく削って自然にぼかさなければならない。これがめっちゃ難しい。
トーン作業は好きという人、嫌いという人が分かれる。私は大嫌いでした。面倒くさいし、削る時の音が苦手だし、削りカスは出るし。かと言って、全く使わない訳にもいかず…(トーンを全く使わないマンガ家さんはいる。確か『ONE PIECE』もトーンは使ってなかったはず)。
そう、トーンは面倒くさい。種類を揃えておかなければならないので場所は取るし、いちいち原稿に貼って切り取って剥がす訳で、それも何種類も同時進行で作業していくと、部屋がもう、もの凄いことになる。湯船に浸かると細かいトーンが浮いてくる、なんて話はザラである。

そういう、アナログの作業的な非効率さが排除出来るだけでも、デジタルの良さはあると思う。
(今はかなり改善されたが、少し前まではデジタルのトーンはのっぺりしていてアナログより不自然だったり、やたら画面がビカビカしていて目に優しくなかった)

ペン入れはアナログ派の作家さんも、デジタル派の作家さんもおられるようだ。ペンの入り抜きをデジタルで再現するのは、なかなか難しいらしい。最近はだいぶ良くなってきたそうだが。
ペン入れがデジタルの場合、アナログよりも良いと言えるところがある。
インクが乾く時間を待たなくて良いこと。
そして、消しゴムで下絵を消さなくて良いこと。
(ペン入れがアナログでもデジタル原稿の場合もスキャンすればリアル消しゴムは不要)
圧倒的時短!!なのである。
ペン入れてるうちに乾いてないインク擦って修正したり、睡眠不足の震える腕でゴシゴシやらなくても良いんだ…いいな、デジタル…。

話が逸れまくってしまった上に長くなってしまったので、明日に続く。

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