His master’s voice =Nipper=
フジテレビのワイドナショーのセットに ニッパーが置かれています。私が子供の頃、昭和40年代は家電は街の電気屋さんで買う時代。多くの電気屋さんのショールームにビクターのマスコット、ニッパーの姿を見かけたものです。ああ懐かしき昭和。
社員の皆は当然理解していると思いますが、弊社は 日本ビクター様と御縁があります。日本ビクターは現在、株式会社JVCケンウッドとなっていて我々は工場を譲り受けたのです。神棚にニッパーの枡が祀ってあることを知っていますか。お祝い物の枡2つ、益々(ますます)商売繁盛という意味でJVCケンウッド様より頂きました。
ニッパーの物語知っていますか。それを知らない、知らなくても済ませられるというここをが私には少し寂しく思います。JVC(日本ビクター)様のホームページにもありますがより詳しく解説しますから良く読んでください。
"His Master’s voice"(彼の主人の声)の元は 1899年2月11日に商標登録された
"Dog looking at and listening to a Phonograph"(蓄音機を見て聴いている犬)です。
少し切ないお話です。
1884年にイギリスのブリストルで生まれた仔犬は人の足を噛むので「Nipper」と名付けられました。
(工具のニッパーと同じ意)犬種はフォックス・テリア系の雑種といわれています。
初めの飼い主の風景画家 Mark Barraud(マークバロー)はニッパーが3才の時に亡くなり弟の画家 Francis Barraud(フランシスバロー)に引き取られました。
フランシスは家にあった蓄音機でニッパーに亡き兄マークの声を聞かせます。小首をかしげて不思議そうにラッパを見つめるニッパーの姿を描きました。
ニッパーの死後(11才でした)3年目に蓄音機メーカーEdison-Bell Company(ベル社)の蓄音機を聴いている "Dog looking at and listeninga Phonograph"(蓄音機を見て聴いている犬)として描き商標登録し同社に売り込もうとするも拒否されました。後にGramophone Company(グラモフォン社)でWilliam Owen(ウィリアムオーエン)から絵の蓄音機をベル社からグラモフォンに描きかえれば絵を買い取るといわれ、タイトルを"His Master’s voice"(彼の主人の声)とした絵が今に伝わっているのです。
変遷 → グラモフォン・カンパニー(レコード会社)1899年商標登録
→ ベルリーナ・グラモフォン社(親会社)1900年広告に使われる1910年最終登録
→ "His Master’s voice"の略 HMVという名のグラモフォン社小売部門設立
→ グラモフォン社→米ビクタートーキングマシン社設立 1901年
→ RCA社がビクタートーキングマシン社を吸収合併 1929年
→ 日本法人 日本ビクター蓄音器株式会社 設立 1927年 のちに親会社がRCAに
→ JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社を設立 2008年
→ 株式会社JVCケンウッドとなる 2011年
ニッパーの絵の商標権や会社の変遷は、この項では重要ではありません。
元の円筒型蓄音器は録音も再生もできるのでニッパーは亡兄の声を聴けたのですが描き直された円盤式蓄音器は再生専用、商標登録用の絵です。しかしそれも問題ではありません。
亡き飼い主の声を小首をかしげて聴いて不思議そうにしている姿。円筒式蓄音機の白黒の絵。描いた人の心理も反映しているのでしょうが このニッパーのどこか悲しげな表情が、なんともいえず心に響きます。そこから何を感じるか。135年近く前に生まれた一匹の犬。その姿を大切にしてきた人々。長い歴史との縁。それらを我々がどう感じるかということが大切なのです。
1927年設立の日本ビクター蓄音器株式会社は1939年に日本初のテレビジョン受像機を完成させ今でも自ら
「時代をつくる」ブランドです。と謳っています。
ホームページには 『私達は、夢や感動を創造し、有機的な人との繋がりによって、人々を音楽で幸せにすることを私達の使命として、また経営理念として常に念頭に置きながら、従業員一丸となり努力とチャレンジを続けています。』とあります。
私たち株式会社サンエイも規模は大きく違いますが ご縁のある者として それに学び恥じぬような仕事をしていかなければならないと思います。