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⑷原因と結果

原因と結果

竹松「今年はマネージャーが入ったんだなー!よろしく頼む。最近は人気がなくて、今年は入るかと毎年ヒヤヒヤしていたんだ。」

府中「うちのチーム、毎年予選敗退が続いているんですね。なんでこんなに弱いんですかー?」

竹松「お前、めっちゃ直球だな・・・。原因かー。なんだろうな色々ありすぎて、これというものがすぐにあげられないけど、試合に勝てないから、予選敗退しているんだけど、その理由はたくさんあるってことかな。」

府中「なるほど。要はあまりその辺りの分析をしていないんですね。そのことがまず、大きな問題ですね。そして試合に勝てない理由は整理できていないけど、たくさんあって、それが合わさって勝てないチームになったわけだ。」

竹松「お前友達いるか・・・?」

府中「今、そのことは問題ではないですよね。現状の課題と関係ないことは一旦おいておきましょう。」

竹松「・・・。その通りだな。色々と原因があって、それに対して一つ一つ明確にしていないから、どこからクリアしてチームを強くするかも、正直わからないな。」

府中「でも、先生はチームを勝たせたいんですよね?」

竹松「当たり前だろ。そりゃ、毎年、予選敗退で諦めていた部分もあるが、本当のところでは勝って、勝って、目標は全国大会出場!いや全国大会優勝したいと思っているさ!」

府中「なるほど。。全国大会優勝は夢のまた夢な感じなので、今の時点では目標としてはどうかと思いますが、まずは勝てるチームにするために、明確な目標設定をしましょう!そのためには、今、何が起こっているか?(結果)その原因は何か?を考えていきましょう。」

竹松「お前、なんかすごいな。」

府中「うちの父が介護支援専門員という仕事をしているんですが、おじいちゃん、おばあちゃん達から話を聞いて、計画を立てる仕事をしているんです。話を聞いて計画に落とし込むことをケアマネジメントと呼んで、その計画を立てるために、情報を集めて、分析することをアセスメントっていうらしいんです。内容は難しいんですけど、その困りごとの原因や結果を図にしてわかりやすく説明してくれるんです。それを見ていると、あー!なるほどー。それが原因で今の状態になっているんだ。だから困っているんだなーって、わかりやすいんです。」

竹松「図にする?その方がわかりやすいのか?」

府中「だって、先生、さっき弱い理由はたくさんあるけどすぐには出てこない感じでしたよね?それは頭の中にはあるけど整理するには時間がかかったり、自分の中でも整理しづらいからじゃないですか?」

竹松「・・・そうだな。。」

府中「ではアセスメントしてみていいですか?」

さて、このようにサッカー部は弱小チームです。弱いことには理由があり、監督もそれをわかっているようでした。しかし、理由はいくつもあり、何から手をつけたら良いのか、それぞれの原因などの分析はあまりできていないようです。

結果には必ず原因があります。その原因にも原因があるかもしれません。このように原因と結果には因果関係があるんですね。介護支援専門員は、因果関係を明らかにする分析を行なっています。分析といっても様々ありますが、介護支援専門員は、原因分析を行います。監督も原因があることはわかっている。しかし、それを具体的な計画に落とし込んでいないんですね。

解決すべき課題に対し、総合的にどのような方針で行っていくか、長期的な目標は?それを達成するためのより短いスパンでの短期目標は?それを達成するための日々の支援は?というように僕たちは計画を立てます。計画書は見える形で利用者、多職種に提示されます。しかし、その過程であるアセスメントについてはどうでしょうか?多くの方は、この部分を自分の中にしまい込んでいませんか?課題分析で利用者から聞き取った内容をもとに仮説を立て、ケアプランに計画を作っていく。それをサービス担当者会議に持参してそこでプランの説明をする。そこでみなさんから了承をいただき、それでは支援をはじめましょう。というような感じでしょうか?

ここで、一つ質問です。アセスメント結果について、本人に説明し、その上で計画を立てていますか?どうでしょう。僕はいろいろな介護支援専門員の方とお話をさせていただきますが、それは当たり前でしょ?という人にはあまりあったことがありません(笑)

でもそれは、必要性を感じていないから?かもしれません。他にも、その部分は説明しなくても、計画書の中で大体出てくるし。説明してもわからないんじゃないかな?など。

しかし、これから、どんな生活をしていきたい。こんなことをしたい!といったことを引き出せたのに、それを阻害している、その原因は何かを?提示しないことは相手にとってメリットなのでしょうか?

とはいえアセスメントを説明するときにやはりわかりづらいんですよね。説明する側がわかりづらいんですから話を聞く側はもっとわかりにくいはずです。

もう一つ押さえておいてほしいポイントは、アセスメントは情報収集しておしまいではないということです。私たちは情報収集したとほぼ同時に自然に分析を始めます。分析とは集めた情報から利用者が望む生活を送る上で何が課題となっているか、それが原因と結果の背景としてあるかを明らかにする作業。私たちは自然と情報と情報を関連づけています。

目の前の利用者が話している困りごとの原因はなんだろう、そのことに困っているのであれば他にもできないことがあるんじゃないかな?ということは・・・と。それが仮説形成ということになります。さらにその困りごとが大きくなっていくと・・・と予後予測をしていきます。そしてその仮説があっているかどうかをもう一度情報収取するというサイクルを繰り返しているんじゃないかと思います。仮説形成をしながら、問題が生じるメカニズムや、悪循環がないかを探り、生活全体を捉えていきます。

ここでいう情報収集とは具体的な部分を聞き取る作業、分析というのはそれを抽象化して関連性を探り、さらに具体的な情報を見つけるために作業です。この分析というのは今起こっている困りごとや本人の訴えの原因はなんだろうと結果に対する原因を探っていくので原因分析と呼んだりします。原因と結果の因果関係を関連づける作業です。

それを踏まえてアローチャートとは何か?を見ていきます。

アローチャートとは情報収集された情報をケアプランに落とし込むまでの介護支援専門員の思考の足取りを○、□、→、などの簡単な記号を使って図式化したものです。このチャートを使用することにより、利用者やケアチームのメンバーにわかりやすく説明でき、介護支援専門員が本来担うべき「専門性」が見える形になります。様々な課題、絡み、原因、背景をたどり、課題の根っこ(本質)を明らかする。思考の整理をサポートするというものです。

ようやくアローチャートが出てきました。(笑)

頭の中の思考過程は自分の中で外在化されず、相手にも、自分にもよくわからないんですね。

次回は「時間を遡って考えていく」です。

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