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[note21]日曜の朝に担任1年目を振り返ってみた

辞令交付を経て、初年の先生方は受け持ち学年や校務分掌、中高なら部活動の担当など自分が理解する前に学校はどんどん進んでいって、それについていくのが手一杯という人もいるのではないでしょうか。今回のnote21では、自分が今から16年前に初めて担任を持った時のことを思い出してみました。今、色々な不安を抱えている先生、期待に胸を膨らませている先生…色々な気持ちを抱いた先生方がいると思います。すべての人に一般化できる話ではありませんが、こんな感じだったんだと想像しながら読んでもらえると嬉しいです。

カオス(混沌)だった1年目

1、2年目を一言でいうなら、カオス(混沌)と混乱でした。中学1年生の担任からスタートしました。5クラスの編成で、初めて学年主任を任された先生、ベテランの先生、中堅の先生という考えてみればよいバランスの中で1年目の担任キャリアは始まりました。入学式後の教室での挨拶で生徒や保護者の前で「一番若い教師ですが、その若い力で頑張ります」と述べたことを今でも覚えています。しかし、その思いはすぐに空回りすることになると、その時の自分は気付きませんでした。私は教師が教室を統制するというよりは、教師と生徒がフラットな関係で、居心地よくみんなが楽しいクラスを作っていきたいと思っていました。このこと自体は今でも変わっていませんが、教師と生徒がフラットという関係の意味合いが理解できていなかったのかなと思います。教室と生徒は、相互に学びあう関係であり、教師は生徒のサポーター、学校の主役は生徒ではありますが、この関係は当然ながら、友達関係ではありません。やはり一定の規律は必要。ただ、それは合理性のない規律ではなく。このクラスで何を大切にしたいか、どうすれば皆が居心地の良いクラスを作れるかという対話の中で探っていくものだったのだと思います。ところが、当の私はそこが中途半端、きちんと生徒を律する訳でもなく、対話らしきものはしていたと思いますが、そこで自分の思いを伝え、生徒の思いを拾い上げることもできず、生徒からすれば、この先生は何をしたいのかな?という感じだったのかも知れません。

まあ、こんな風に生徒は感じているんじゃないかなあと勝手に考えていました。実際、生徒間トラブルや停滞してムードは感じていました。自分が思い描くクラス運営とは真逆の状態になっていたと思います。

ある時、クラスの問題点をみんなで話し合おうことになりました。
クラスについて感じていること、問題点を皆で挙げて、考えてみようということです。その中である一人の生徒が現状に対して言ったことば「最低ですね…」これは未だに記憶に残っています。今ならば、じゃあ、その段階を抜け出すために、自分たちは何が必要なんだろう、何をすべきなんだろう、と考えるための重要なコメントだと思いますが、当時の私にそれを受け止める心の余裕はなかったですね。ちなみに、私の気持ちが最もダウンしたのは、2年生の自然教室の時だったかな。クラスの力がはっきり出る合唱コンクールの練習をしていて、「自分は何て指導力がないんだろう、教員向いていないのかも」と一人で落ち込んだことも覚えています。

大事なことは何だろう?とりあえず1つだけ。

初年度のキャリア不足は当たり前です(もちろん、それを言い訳にするわけにはいきませんが、5年目の先生と10年目の先生と20年以上の先生では、経験が圧倒的に違います)。大事なことは、何を目指すかを明確にすることかなと思います。例えば、私が良く言っていた「良いクラスにしよう」「居心地の良いクラスにしよう」というのは一体、何を意味しているのか、しっかりと説明しなければいけないと思っています。その時の自分は「生徒目線ではなく、あくまで教師目線、自分目線だったのかも知れません)。教室は先生のものではなく、皆にとって大切な空間(高校生なら公共空間というかも知れませんね)だということ、それはみんなの力で作っていかなければならないこと、教室で辛い思いをすることがあってはならないこと、端的に全員で同じ目標を共有するための努力をすべきだったかなと思います(同じ絵を見るという表現がありますが、そんな感じです)。そもそも、学級をコントロールしなければならない、学級崩壊を起こしてはダメ…そんな変な力みもあったかも知れません。そして、生徒に目線を置くと共に教師としての目線をきちんと持つこと、自分の考えを色々な場面で伝えること、そうしたことの積み重ねで少しずつ空間は安定してくる…と思うところですが現実には、そんなに簡単ではないですよね。これから初めて担任を持つ先生、色々悩みもあると思うし、自己嫌悪やプレッシャー、その場から離れたいこともあると思います。でも、そんな時は、今は「そういう時期なんだ」と思うことも
大切です。またこちらを見て、サポートしてくれる生徒は必ずいます。人間は1つの失敗を課題に、小さな成功や嬉しいことを過少に評価する傾向があるけれど、教師にとって1つの成功をもっと大きく評価することが大切だと思っています。今年の新学期が始まります。私は現在、進路指導の統括になり、担任から6年余り外れています。今の仕事もやりがいがあるけど、生徒と直接関わる担任としての職務に戻りたいなと感じることも多々あります。

次に担任に戻った時、また色々な困難に直面するかもしれません。トラブル続きで落ち込んでいた時に、少しだけ励まされたのが「初年度の先生でも大ベテランの先生でもうまくいかないことはある。それが学校ですよ」という言葉でした。学校が生徒にとっても教師にとっても楽しく、面白い場となりますように、全国の皆さんと頑張っていけたらいいなと思います。
(担任振り返りの続きは、またいずれ書いてみたいと思います)

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