今更だけど『あまちゃん』って『アルプスの少女ハイジ』のリメイクだと思う
昨年末 Abema で『24(Twenty Four)』の日本版というモノを遂に観た。
ゼロ年代ピーク時にはレンタルビデオ店の予約整理番号の為に半休とるくらいハマっいたシリーズだけに制作発表時は今更感も含め黙殺してきたが、年末大掃除の適当なBGMが無いいう微妙な状況につい魔が差してしまった。
1話目からリアルタイム進行フォーマットをイキナリ否定するまさかの回想シーンのお陰でその後大掃除は順調に進んだのでちょっと一休みすると。。。これ観た事ある的な主人公の奥さんが娘を探す展開になっていた。
そうなのである!おそらく冒頭の私とほぼ同じ理由でこの作品を食わず嫌いしてる方々。。。これ実は『24』シーズン1のリメイク作品だったです。
庵野さんの『シン』3部作(エヴァ除く)は『ゴジラ』『ウルトラマン』『仮面ライダー』オリジナル(セブンやV3等の派生は含まない)へのリメイク作品だがそこにはもちろん庵野さんの思想やら趣向やらが当然ながら反映されているのに対して日本版『24』のシナリオはほぼそのままである。
2001年秋以降のアメリカの課題に向き合ったシーズン2以降こそがまさにリアルタイムでは『24』の魅力だったと思うが2010年代の『MCU』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のような架空の物語に踏襲されて経た2020年代においてはこの『24』シーズン1こそオリジナルの瑞々しさが感じられる。
少なくとも栗山千明さんのニーナ・マイアースと木村多江さんのテリ・バウアーの演技は本家に決して劣らない日本版独自の魅力が感じられるので是非オリジナル版と合わせて最終回だけでも観て頂きたいリメイク作品である。
アニメでも昨今では『機動戦士ガンダム』の部分リメイク作品として『ククルスドアンの島』や近続編として『閃光のハサウェィ』が製作され賛否別れている。私にとってリメイクも続編も絶対創って欲しくない作品がアニメ『アルプスの少女ハイジ』であるし、きっと同感頂けるのではいかと思う。
良くある宮崎駿さんの作品でどれが一番好き?という質問に対して、私は劇場版アニメなら『ルパン三世カリオストロの城』TVアニメなら『~ハイジ』でブレる事はない。しかも両方とも子供の頃はプロレスに夢中でちゃんと観た事は無く大人になってからDVDで視聴した作品でありむしろその頃リアルタイムで劇場公開された作品には逆にあまり興味が無い。というかあの独特な可愛らしさはトトロともまた違うあの時代のモノ=ノスタルジーなのだと長く捉えていたが、以前鈴木敏夫さんがラジオか何かで語っていた『『パンダコパンダ』や『ハイジ』なんかは彼らの子供たちに魅せる為にも創っていた』を聞いて納得した。我が子の為に作った愛情たっぷりの料理なのだからおいしくない訳がなかったのである。この辺りは真意を知ってか知らずか朝ドラ『なつぞら』後半に時折描かれている。
さて前置きが長くなり過ぎたが(苦笑)。。。昨年久々に観た『あまちゃん』をよぉ~やく観終えて改めてこの作品の根底には『ハイジ』があると10年ぶりに思いだした。もちろん山なのか?海なのか?みたいな微妙な差異は別として北三陸はスイスのマイエンフェルト辺りで東京がドイツのフランクフルト。。。そこで出会った人たちにハイジは救われまた出会った人たちを救済してゆく物語の根幹はオマージュ的な何かを感じえない。
特に初回最初は元気の無かった少女が田舎(現実はそう甘くないのは一旦忘れて)の空気に触れて一変してゆく辺りと最終回のまったりとした日常友情ふんわりエンディングについては意識的としか思えないくらいである。
三陸鉄道からなかなか東京に出れないユイちゃんのクララ的な運命は都会と田舎が逆転してはいるとはいえこの2つの物語共通の隠し味である。
もしクドカンさんに会える機会があれば直接伺ってみたいが。。。おそらく『違います!』って断言される気がするのでその機会があってもしない。
ところがである!決定的に『ハイジ』に無い要素が『あまちゃん』にある。
少女時代を有村架純さんがママ時代を小泉今日子さんが演じた最強『天野春子』の存在である。これもまた多くの方に共感してもらえるかと思うが私は『あまちゃん』の中で最も好きなのはこの2人1役キャラである。そしてこの『ハイジ』には見当たらないキャラは一体何を意味しているのだろうか?
『ハイジ』には主に2人程観ていて辛いキャラが存在する。一人はクララの面倒を預かっているロッテンマイヤー女史である。ただクララの父ゼーゼマンさんやおばあ様は観ている限りは口優しいが実際には可愛い娘より仕事を選ぶ人種でもありその逆に常に近くで見守るロッテンマイヤーさんこそクララには必要な人物である。この辺りは時折セリフでも語られ最終回でロッテンマイヤーさんはクララが山に再び戻れるよう手助けするシーンにて救済される。しかしもう一人のハイジの叔母デーテについてはフランクフルトでハイジを置き去りにして以降一切姿を現すことなく悪役的扱いのままである。
しかしクララにとってのロッテンマイヤーさん同様にそもそもハイジをアルムの山に連れて行きおじぃさんに合わせたのも、文字を読めるきっかけにもなったフランクフルトのお屋敷にハイジを連れていったのもこのデーテおばさんの功績とも言え実はこの人がいなければこの世界は救済されなかったのかもしれないのだからとんでもない重要なトリガーなのである。
ズバリ言えば『天野春子』とはクドカンさんによる『ハイジ』で唯一救済される事のなかった存在『デーテおばさん』の過去・未来を同時に描いた今風で言えばマルチバースである。だからこそ有村架純さん演じる少女時代『天野春子』の亡霊が成仏できた時にあそこまで感動できたたのだと思うのだ。
おそらくクドカンさんはこれも『違います』と言うとは思うが。。。
最後に余談。私が記憶の無い頃の話でもあるので詳細を正確に語れないのだが。。。関東圏では『ハイジ』と第1次アニメブームの火付け役になった『宇宙戦艦ヤマト』が当時は裏番組だったのは有名な話である。
『あまちゃん』の主役を演じた能年玲奈(当時)は芸能界のトラブルに巻き込まれて本来であればこの10年の主役になれた才能を閉ざされた。それでも『この世界の片隅で』や『さかなの子』等インパクトある作品をNONとして残しているのは流石である。一方『あまちゃん』では裏の主役であった少女時代の天野春子を演じた有村架純さんは『花束みたいな恋をした』を始めこの10年の若手女優の主役の座を守り続けたと言っても過言ではない。
芸能界のゴタゴタについて蚊帳の外にいる私だが。。。子の隙をついてもうそろそろNONが当たり前に主役をはれる時代になっても良い気もする。
『あまちゃん』がリメイクではなくもし奇跡的に続編が製作されるのならば。。。是非ともアキちゃんの娘『ふゆちゃん』にママ『能年玲奈』の亡霊を成仏させてあげて欲しい。
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