視聴率とガラパゴス(穏やかなGWに想った事)
北陸のとある地域でまさに五月晴れの心地よいGW後半戦を過ごした。
今年は2月までが暖かった為に春の戻り寒気が例年より厳しく感じた。
多分そんな事もレッスルマニアXL観戦に影響したのかなともこの頃思う。
あれから一か月が過ぎ『物語』『新時代』ワードから程よく解放されたフランス発のWWEバックラッシュはこのGWを締めるに相応しいコンテンツとなった。昨年から本格化したアフターレッスルマニア~サマースラム迄を埋めるWWEの海外出稼ぎシリーズは長期政権王者と並ぶ苦しいコロナ禍を経たアイデアであり良い時代のF1GPが纏っていた何かを蘇らせる。
コーディもAJもレッスルマニアXLより心なし気持ちよく感じられた。
20年以上前ローマを旅した際に偶然コロッセオに夕日が沈む美しい光景に遭遇した。近隣のフォロロマーノの含めて当然の事ながら歴史としての『ローマ』は滅びてしまった過去の世界である事を頭で理解していても、そのおそらく僅か一日の中の数分だけもう一度その栄光が終わりゆく姿のような何かを夕日で燃えるローマ遺跡に魅せられる不思議で心地よい空間であった。
その時間だけはそそくさと歩く人も無く本当に時間が止まっていた。そこに偶然居合わせた皆が同じ何かを感じたのか?は知る由も無いがその時間が終わるや一人また一人と言葉を交わすことなくとも感じた共感の余韻に浸りながら動き出すあの姿をこの心地よいGW最終日のフランス発WWEバックラッシュ観戦しながら何故か思い出してしまった。
実はこのPLEを最後にプロレスとまた再び距離を置こうとぼんやり考えていた。コーディvsAJというカードはそれに相応しい好カードでもあった。
ところが流石WWEである。次回RAWでキング&クイーンズ・オブ・ザ・リング一回戦に好カードラインナップを揃えてきた(苦笑)。これもまた実に懐かしい良い時代の新日本プロレスG1クライマックス出場選手ブロック分け及び対戦カード発表が持っていた匂いのような何かを思い出させる。
東スポプロレスサイトまでがとうとうあんな事になってしまった事もあり今やプロレス情報は海外サイトしか見なくなってしまったが、そこで毎週淡々と語られる視聴率アップダウンのニュースが急に色濃く感じられる。
嗚呼!未だにアメリカンプロレスはこの指標と真摯に向き合っているのだ。
心地よいGWの中で個人的に唯一眉を顰める事になったのがU-NEXTでこの春配信されたウォーキングデッドのスピンオフ?であり事実上の完結策となる『ザ・ワンズ・フー・リブ』(全6話)である。このシリーズは昨年末時点でダリルとマギー&ニーガンを扱った2作品を観ていたのでリア帯は辞めていたが、今春huluにてTVシリーズラストの吹き替え版が公開された事もありGWに観ようと決心した。おそらく設定としては間違いなくスピンオフシリーズの方がコロナ禍を経て失速した本編よりも本来は期待は上だったのであるが結論を言えばこれはウォーキングデッドでは無かった。
ネタバレは避けるが最後の最後で観たかった結末だけは観れたので全否定はできないのだが、多分スターウォーズファンがディズニープラスで量産されたドラマシリーズに感じたアレと言えばそれで全て伝わるだろうか?
現地アメリカの放送・配信形態を把握してる訳では無いので以下はあくまで私の思想的なものが強い見解となるが、昨今の配信オリジナルシリーズと2クール(約24話)放送されるTVドラマシリーズにおける傑作の違いが顕著になって来たと感じるのが私的見解である。非常に偏った評価と承知しつつゼロ年代は『24』vs『LOST』、2010年代は『ゲーム・オブ・スローンズ』vs『ウォーキングデッド』が米ドラマ大作の代表作と思う。そしてGOTはかつてのOVAを祖とする配信系の一つの達成であるのは間違いないとも思う。短話集中の配信系は観易いのだが一方で米伝統の24話視聴率と言う指標に晒される事で醸成されてゆく上質な作品に比べて淡々としたものかただ単に過激な凡作を量産してしまった事が昨今の低調に繋がっているのではないかと今更気付かされた。今はまた視聴率を見直す時期なのだろう。
前回の記事でWWEの『大河』性に対して苦言を吐いておいて何ですが(苦笑)この古臭いながらも実は正しくもある視聴率と言う指標に毎週真剣に向き合っているWWEはやはり凄いのである!『新時代』というおまじないワードよりもマンネリを防ぐ海外興行シリーズや戦国時代ゆえに効果のあるシングルトーナメントは本来であれば40年の『物語』終焉後にオルタナティブであるAEWが本来打ち出すべき戦略であって欲しかったのだが。。。
実は昨日まで今日の記事は『トニー・カーンよ今こそ真IW”GP”を開催せよ!!』の筈だったがそれをWWEが先に打ち出してきてしまったのだ。
それでも敢えてトニー・カーン(AEW)に言いたい!ポストレッスルマニアとなる40年計画を打ち出すのは今しかない!と。
それはプロレス版のグランプリ・シリーズである。かつてエリック・ビショップ(WCW)は来日時に偶然みた新日本vsUWFインター対抗戦の熱狂にインスパイアされ仮想敵団体『nWo』でWWF(当時)を倒産寸前まで追い込んだのは有名な話である。オカダ・カヅチカ、ウィル・オスプレィ、ケニー・オメガ、ジェィ・ホワイトをWWEに流出させなかったAEWは事実上の『sNp(シン二ホンプロレス)』である。ならば彼らがやるべき事はG1クライマックスの米進出。。。それは考えようによっては『真IWGP』とも言えるプロレス版のワールドカップ(真の世界一)開催である。
ただそれはイコールでは無いがWWEに先取りされてしまった。ならば新たな価値観で勝負すれば良い。AEWが打ち出すべき新しい価値観とはプロレスの芸術性でありそれはフィギアスケートに近い判断基準となる。G1のようなリーグ戦でありながらそれ黒星献上=次期挑戦者などというもはや古くなった価値観ではなく試合の評価点をSNS的なものを通じて年間で最も素晴らしい評価を得たレスラー=最高とする価値観転嫁である。王座=ベルトの価値観がNWA、PLE(PPV)=イベントの価値観がレッスルマニアの時代であり共に40年近く続いた。もう新しい価値観≓象徴を示すべき時代である。それこそが後世で『新時代』と呼ばれるべき何かだとも思う。
久々なので随分長くなってしまった。最後にWWE海外興行路線についての残念な感想である。返す返すも2020年にあのオイスタードーム(新国立競技場ザハド案)が出来ていたら今年は無理だったとしても近い将来にサマースラムを日本で開催できたのでは無いかと思う。或いは1・4ドームに合わせた時期に別のPLEあわよくばロイヤルランブル早期開催も可能だったかもしれないのだ。もっと言えばWWEに限らず世界中のエンタメやスポーツイベントを今の円安日本なら観光客半分で埋められた(或いは日本人にはもうとれないプレミアな可能性も)かもしれないのだ。今更ながら勿体ない。
もちろん私も国家行事としての東京オリパラや大阪万博には思うところもあるしむしろ関心がない(苦笑)。しかし何でもワンピースの話にするのも恥ずかしいが国立競技場老朽化における建て替えについてはどうしてもあの名作『ウォーターセブン』(ロビンの感動話)と重ねて考えてしまう。旧国立はまさにこのお話もう一人の主役である海賊船メリー・ゴーラウンド号くらい愛された競技場だったと思うからこそ、ちゃんとサニー・サウザンド号=ザハド案のオイスター(生牡蠣)ドームに改装できていたらと残念に思う。
大阪万博も現在同じメンタルで批判の対象に晒されているが、運営とそこで発表されるかもしれないシンガラパゴスとは分けて考えた方が良いと思う!
レッスルマニアXLもそうだったがゼロ年代から勢いを増したアメリカンエンターテイメントの『物語』が小休止に向かっている事をなんとなく感じてる方は多いと思う。それはディズニーやその他の配信シリーズ大作の終息だけではなくただ単にオーバーキルな機能と価格が比例するスマホの停滞や検索機能がかつての放送事業並みに広告に支配されている事にも表れている。
私はなんとなく今のテック系はかつてPSやVaioでしっかりブランド化でき液晶パネルも絶好調だった日本の家電メーカーがこぞって『次は3Dテレビ!』と打ち出し iPhone に駆逐されたあの時代の空気に近いと感じる。
21世紀最初の20年は気持ちよくアメリカ文化を享受できた幸せな時代として記憶されるだろう。ただその時代はボンヤリ終わりかけている。。。
気が付けば我々は政治への不満から国家行事と新技術への期待を五輪や万博について混同しすぎている気がする。新国立改装という好機を逃したメンタルはもはやガラパゴスでもない。かつてガラパゴスを否定した時期はそれが必要であったと思うが今はシンガラパゴス(という言葉が既に古いが)の時期に入っているのである。リニアは感情論と分けて考えるべきものである。
さておっさん発想ついでに10年前流行ったアイドルのセリフで締めたい。
インフルエンサーと呼ばれる人もしくは象徴的な政治家等に今こそ是非伝えて欲しい言葉がある。
『xx(代入大喜利)の事は嫌いでも
万博(技術)を嫌いにならないでください(泣)』
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