MEGASTARの星空は本当にリアルか?(その1)
本業の話です。
MEGASTARの星空は、リアルか?という問い。
とてもとても今更な話ですが、実は今でもよく誤解されやすいところなので、ここでちゃんと話をしておきたいと思います。
MEGASTARは言うまでもなく、僕の開発したプラネタリウムシリーズの名前です。
1998年に初めて発表し、その後改良され、後継機種、派生機種を続々と生み出して、今日に至っています。
その名前の由来は、100万の星です。初期のMEGASTARは100万個の星(正確には170万個)を再現しました。それまで従来のプラネタリウムは9000個、多くても数万個しか星を出さない(それは定説。けれど実はMEGASTAR以前に10万個以上の機種というのは他社のもので存在してました。公式にそれがアナウンスされていなかっただけで)中で、けた外れであり、それを名称にしたのです。
なんでそんなに沢山の星を映すのか?
答えはシンプルです。夜空にはそれだけたくさんの星があるから。
Youtubeの動画でも説明しましたが、本当の空で、肉眼で見える星は限られています。富士山の頂上、ハワイのマウナケア山頂のような理想的な環境でも1万個にはいかない(個人差:視力にもよります)と考えられています。街明かりのある市街地ではその数はぐっと減ります。東京や大阪のような大都市ではそれこそ数個、数十個程度になるし、近郊のベッドタウンでもせいぜい数百個です。
だから100万個というとあまりに突飛な数に見えます。
実際、僕が子供の頃に、近所にあったプラネタリウムに行くと、何に感動したかって、そこで見える星の数でした。川崎市に住んでいた僕は、実際の夜空では数百個しか星が見えないのに、そのプラネタリウムでは6千個もの星が見られたので、感激したわけです。
そして解説員のおじさんが、川崎では星はまばらだけれど、富士山のてっぺんから見るとこんな星空が見えるのだ、といったことを説明するわけです。
僕はますます感激して、実際そんな星空を見てみたいと思ったわけです。
残念ながら、その時、僕は街明かりのない星空を見たことが1度もなく、天の川を見た経験もありませんでした。だから憧れは募るばかりでした。
話が逸れました・・100万個の星の話です。
僕は高校二年生の時に、当時接近していたハリー彗星を見るためオーストラリアに初めて行きました。彗星も見られたのですが、それよりはるかに僕にインパクトを与えたのがそこで見る星空でした。何しろ無数の星。そして天の川が頭上を大きく横切っていました。天の川の一番濃い部分は、日本からはあまりよく見えません。南半球のオーストラリアからだと頭上に見えるのです。そしてその明るさと、複雑な模様が見え、途方もない彼方にあるはずなのに、立体的にさえ見えました。そして、理科の教科書で習ったような星の集団なんだということが何となく実感できる感じだったのです。
(写真:天の川の中心部)
そして帰国して、近所のプラネタリウムに久々に足を運びました。
そこで奇妙な事に気づいたのです。(続く)