傷病手当金のはなし
初めての方、初めまして。すでに繋がりのある方、お久しぶりです。お元気でしたか？
労務のAdvent Calendar 2022 の12/20分は、私中根が担当いたします。
まずは自己紹介
団塊ジュニア世代のアラフィフサラリーマンです。
東京の某私大を卒業し、洋菓子メーカーに就職。11年半工場に勤務し菓子製造に関する諸業務を行ったのち退職しました。
その後半年錦糸町にあった職業訓練校で学んだ後、東証プライム上場会社の物流子会社に転職し、総務人事にキャリアチェンジ。
化学品の専門商社、エステサロンの運営会社等も経験し、現在は高田馬場にあるＣＧ制作会社にて総務人事部の部長をしています。総務人事系の経験もかれこれ15年を超えました。
持っている資格はFP1級･CFP、一種証券外務員、年金アドバイザー、衛生管理者（1種）、運行管理者（貨物）、フォークリフト などなど。
傷病手当金とは何か
さて、傷病手当金とは何でしょうか。健康保険のHPを調べたところ、以下の通りの説明がありました。（皆さんには釈迦に説法な気もしています）
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
なお、この制度は健康保険独自のものですので、国民健康保険に加入している自営業者やフリーランス等にはありません。また、会社員等でも業務上等の災害である場合や、美容整形など病気とみなされないモノは対象外です。
具体的には、会社員など健康保険に加入している方が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して３日間あったとき（専門用語で「待機期間が完成した」と言います）に、傷病手当金を受けることが可能となります。
休んだ４日目から通算1年6か月まで、休んだ日（給与が出ていない等条件あり）に対して1日単位で支給されます。
また傷病手当金の1日当たりの支給額は、「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額を45で割った額」になります。
傷病手当金は支給されるけれども…
会社を長期で休んだ際に支給され有難い傷病手当金ですが、実際には会社は面倒で、本人もちょっとお財布に厳しいことになります。
会社を休んでいるので、その休んだ期間の給与は支給はありません。ですが退職したのではないので毎月社会保険の保険料や住民税などを納付する必要が生じます。（住民税は特別徴収から切り替えることで会社の納付義務は消滅します。）休んでいる方から別途集金するか、復職するまで会社が立て替える必要が生じてきます。
まず原則として、傷病手当金は”すでに経過した分”しか申請できません。
例として、「病気で8/1～8/31まで入院し自宅療養を行い9/1に復職した」場合を考えます。
この場合、傷病手当金の申請書は9/1以降の提出となります。
申請書には主治医や会社の証明が必要で、この申請書は本人→主治医→本人→会社と渡り、会社から提出されることが多く、最終的に会社が提出するまで時間がかかります。
また、健康保険が申請書を受け付けて確認し、傷病手当金を支給するまでにも当然時間がかかります。1か月以上かかる場合もあります。
そうなると、8/1～8/31分の給与の補償として支給される手当金が、最速で提出しても10月の支給になることが普通です。
「支給される傷病手当金を、実際に給与の補償として療養する。」ことは事前に数か月分の生活費等の貯えが必要で、通常の運用だとかなり厳しいという事になります。
傷病手当金を立替金で事前に支給する
今私が勤務している会社では、「傷病手当金の9割相当を事前に会社が立替え、給与支給日に支給する」ことにしています。
立替金を支給することによるメリットデメリットは以下の通りです。
メリット
毎月決まった時期にお金が振り込まれる（従業員側のメリット）
社会保険の保険料や住民税の支払いが担保される
デメリット
毎月立替金を計算する必要がある
立替金と実際に支給された手当金の差額の精算をする必要がある
「あまり効果が無いのじゃあないか」と思われるかもしれませんが、立替金が定期的に振り込まれるのは従業員（特に一人暮らし）にとっては大切です。
また、休職をしている方と連絡が付かなくなる等、立替金を支給するかどうかに関わらず問題になる事も上記以外に色々ありますね。
なお、給与計算を通して休んでいる従業員の標準報酬月額は把握できています。そのため立替金として支給すべき額を計算することはとても簡単にできます。
あなたの会社でも、傷病手当金の立替金制度、やってみませんか？
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