『知らない人んち(仮)』第三話「ラスト・ワード」


#テレ東シナリオコンテスト

※1:5人が5人共無言で踊りながら演技をする。 2:謎解きに関しても一切セリフは言わず黙って話を進行する。 3.但し、きいろが、ラスト・ワード(最後の一言)を呟いて最終話に続く。 4.きいろが最後に呟く一言は「あいつを殺す」 5.きいろのラスト・ワード(最後の一言)を呟く迄、登場人物は一切セリフは言わない。 6.第三話のセリフはきいろのラスト・ワード(最後の一言)のみ。 7.セリフ一切無しで踊り(演技)でドラマを進行する。 8.分かり易く例えれば、映画『シェルブールの雨傘』を歌(セリフ)無しで進行して行くみたいな感じ<『シェルブールの雨傘』は、全てのセリフが歌になってる>


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合田知弘プロデューサー(以下・P)「あのう・・・」

辛抱しんちゃん(以下・辛抱)「何?以上の設定で第三話を作るぞ!今度こそこちらの脚本を通してくれますよね?」

P「こちらが募集するお題が全く含まれていませんが・・・」

辛抱「そんな事は無い。どうせ脚本は無難に進行しているんだし。こちらは今回どちらかと言えば演出を提案してる感じだから、どんな話にでも合わせられる。只、最後にはきいろのラスト・ワード(最後の一言)でドラマを締めるけど。強いて言えばきいろのラスト・ワード(最後の一言)こそが脚本かな?」

P「今回も斬新過ぎますよ・・・」

辛抱「あのねえ・・・第二話見たけど・・・どうしてこう推理ドラマにしたいの?誰が謎解きをリクエストしてる訳ぇ?」

P「スタッフみんなでああでも無いこうでも無いと捻って纏めて拵えたんですが・・・」

辛抱「何度も言うけど、普通のドラマ作りたいの?視聴率欲しくないの?どうしてこう当たり障りの無い内容にしたいの?」

P「そう言われましても予算やら何やらで縛りがあって・・・」

辛抱「何ですか「何やらで」って!?」

P「色々・・・」

辛抱「言いたくないけどさあ・・・ここ数年のテレビ東京のドラマの視聴率なんだけど・・・どれもこれも他の民放に負けてるねえ」

P「そうですか?」

辛抱「自局の事なんだからちょっとは自覚しろよ!あんまり他局のドラマの名前出すと脚本に出せないか出してもピー音で被(かぶ)すかして分かり難くするんだろうから、そこら辺は暈(ぼ)かして話すけど・・・」

P「それはどう言う事を言いたいので?」

辛抱「例えば・・・現在放映されているドラマ・・・他局も含め様々ある。曜日や時間帯が違うから一概に視聴率だけで判断する事は酷かも知れないが、敢えて言う。あくまでも現時点だから11月13日以降グン!と視聴率上昇する可能性も無いとは言わないからそれを踏まえて受け止めて欲しい」

P「うう・・・何となく言いたい事が分かります」

辛抱「(民放ゴールデンタイムドラマ(19時〜23時)のみランキング対象)現在NHKを除外した主要民放で13のドラマが放映されており、その平均視聴率TOPは<「私、失敗しないので」な女医のドラマ>で、18.8%の平均視聴率だ。それ以降、<男の刑事二人で活躍するドラマ>が14.8%、<「ちょ、待てよ!」なコックのドラマ>が12.7%・・・等とランキングされはいるんだが・・・」

P「固有名詞出さないんですか?」

辛抱「他局だからこちらが気効かせてんだよ!ま!それは兎も角、その現時点でのランキング最下位の13位はテレビ東京月曜22時放送中の『ハル ~総合商社の女~』で4.4%だ」

P「最下位なのはいつもの事」

辛抱「諦めてどうする!?更に言うぞ!それ以前のドラマだと『警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜SEASON4』と『リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~』の二つのドラマを夏にテレ東放映してたよね!月曜と金曜に!『警視庁ゼロ係』は流石にSEASON4とまで続いてるからか、現在放映中のドラマより視聴率が良かったが・・・」

P「知ってましたか!?2016年から放送してるんですよこのドラマ!『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室』と作者一緒なんですよ!小泉孝太郎さんカッコイイですよね~!」

辛抱「その平均視聴率は6.5%なんだがなあ。それに『リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~』の平均視聴率は3.8%だ」

P「で!でも!SEASON4まで続いてるんですよ!凄いじゃないですか!」

辛抱「続く続かないは今回は置いておく。言いたい事は、どれもこれも視聴率が他局と比べて負けてるじゃんって事だよ」

P「い!う!ええっ!」

辛抱「他には『執事 西園寺の名推理2』で6.5%、『記憶捜査~新宿東署事件ファイル~』で6.9%、『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』が4.5%。一番良かったのが『駐在刑事』の平均視聴率8.1%だ」

P「8.1%が最高?」

辛抱「『ハラスメント・ゲーム』やら『ラストチャンス 再生請負人〜崖っぷち会社と社員を救え!〜』やら『ヘッドハンター』とか『カクホの女~神奈川県警・特命捜査~』とか『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』とかまあ色々テレ東もドラマ製作してはいるけど・・・」

P「おお!知らないドラマばっかり!」

辛抱「どれもこれも平均視聴率4%やら6%やらばっかやんけ!他局から思いっきり舐められてるぞ!どうしてどれもこれも続編ドラマですら平均視聴率10%超えないものばっかなんだよ!2015年に『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』で初回視聴率10.8%(金曜20時)ってのはあるけど・・・」

P「平均視聴率10%超えたドラマは無いのですか?」

辛抱「俺だってテレ東ドラママニアじゃないからそこまでは分からない。2014年以前はあるのかも知れないが・・・」

P「『大江戸捜査網』があるじゃないですか」

辛抱「そのドラマ大好き」

P「じゃあそれでいいでしょう」

辛抱「たく!そんなんだから駄目なんだって!早い話が視聴率取りに行くドラマ作らないかって事だよ!」

P「でももう仕方ないんですよ。だってこのドラマ、木曜に脚本を纏めて金曜に撮影、土曜に編集して放送してるんですから」

辛抱「今回の俺の案ならどんな内容でも対応出来る。視聴率を上げる事から考えたら、やはりここは奇抜な演出も不可欠ではないか?第三話もあーだこーだと謎解きをウダウダと続けたいの?そんなありきたりなドラマでいいの?」

P「いや!そこはみんなで知恵を絞って」

辛抱「何かかんか捻らないと!筧美和子は<設定では>台本の無い番組『テラスハウス』に出演していたから、一風変わったドラマにしても無抵抗で受け止めてくれると思うし。」

P「あれは別にドラマって訳では無いし・・・」

辛抱「だから!意外性を追求すべきだって!今なら未だ方向修正出来る!何だっていいんだって!戸塚純貴出てるんなら白石隼也呼び出して貰うとか」

P「誰ですか?」

辛抱「仮面ライダーウィザードだろ!」

P「何で仮面ライダー?」

辛抱「アクはウィザードのドラマに出てた(奈良瞬平の役)から」

P「他局ですし無理ですよ」

辛抱「無理も栗もあるか!そこがプロデューサーの腕の見せ所だろ!突然ウィザード出て来たらどれだけで皆驚くじゃん!」

P「いや、関係無いし」

辛抱「だから駄目なんだよ!捻ってくれよもっと!濱津隆之出したのなら『カメラを止めるな!』繋がりで秋山ゆずきともっと絡ませるとか!」

P「ベタだなあ」

辛抱「中村蒼が出てたドラマ・・・『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』だったっけか?」

P「詳しいですね」

辛抱「そのドラマにジェミが出てる」

P「あ、そうなんですか?」

辛抱「このドラマには大東駿介も出てるんだが、ドラマ内で大東駿介につきまとう女役でジェミ役の長井短が出演している」

P「へー」

辛抱「なのでドラマに大東駿介を登場させて絡ませるとか・・・出来無いのか?」

P「もう予算がいっぱいいっぱいでどうにもこうにも・・・」

辛抱「う~ん、困ったヤツだ。だからもう・・・もっとこう・・・変化球で勝負しないか?って。確かにテレビ東京は視聴率的に苦戦している」

P「中々勝てませんよね~有名なタレントさんは他局で出演してますし・・・何せギャラがあっちの方がいい・・・」

辛抱「あんまり生々しい話はよそう」

P「でもテレビ東京も頑張ってはいるんですよ」

辛抱「それは分かる。少ない予算の範疇でアイデア一本で他局と渡り合えてる番組だってあるじゃないか!要は皆アイデアなんだよ!」

P「アイデア!」

辛抱「『開運!なんでも鑑定団』『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』『世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜』『家、ついて行ってイイですか?』とかみ~んな、アイデア勝利だろ!有名お笑い芸人をひな壇に並べてバカ話させて視聴率をどーでもいいトークで稼ごうとしてるヤツと比べて完成度が非常に高い傑作番組だって立派にあるじゃん!要はここだよ!アイデア一つで「腕と度胸で大物狙い」とか昔の歌にあったじゃない!どこに「金とコネで大物狙い」なんて歌詞があるか!?アイデア一つで記憶に残る作品は出来るんだって!」

P「・・・確かに・・・」

辛抱「前にも言ったけど、今のままなら視聴率2%ぐらいで「単なる視聴者参加ドラマでした」で完!だぞ!『事件・市民の判決』って知ってるか?」

P「?何かのドキュメンタリーですか?」

辛抱「1996年に放送されたテレ東のドラマだ。渡瀬恒彦主演で共演は沢田亜矢子と渡辺徹」

P「23年も前のドラマなんて知りませんよ」

辛抱「『古畑任三郎』知ってる?」

P「田村正和ですよね」

辛抱「1996年のドラマだ」

P「え~!で、でも、これは例外ですよ~!有名過ぎますよ~!」

辛抱「マニアに受ける堂本光一主演の『銀狼怪奇ファイル』、社会現象にもなった木村拓哉と山口智子の『ロングバケーション』、長瀬智也や酒井美紀や京野ことみも出てた『白線流し』なんか1996年のドラマだ」

P「そうなんですか?でもこれは有名だから比較するのは狡いですよ・・・」

辛抱「だから駄目なんだ!合田さんは何処にでもあるドラマ作りたいの?今上げた記憶にも記録にも何時までも残るドラマ作りたいの?」

P「・・・(俯く)」

辛抱「確かに制約が雁字搦めなのは分かる。でも、精進料理なんかもそうだけど、その限られた制約の中から傑作を作り出すのが制作側の使命なりやり甲斐ではないか?「予算これだけですし、テレ東の深夜枠で誰一人期待してないからノンビリ作っちゃおうか?どうせ誰も観てないし」と思われたかったの?然しそこを逆手に取れば飛車が翻って龍になる可能性だってあるんだぞ」

P「でも・・・今更・・・ドラマってみんなで作るものだし、あなただけのアイデアで作る訳には行かないし・・・」

辛抱「だから最初に述べてある。セリフ無しのサイレントで進行する!演者は踊りながら演技をして視聴者に理解させる!ただしラスト・ワード’(最後の一言)だけは大事にする!と。こちらからの第三話の注文はラスト・ワード(最後の一言)ぐらいだぞ?」

P「でもそれまで無言で踊ってドラマ進行するんでしょ?」

辛抱「ミュージカル仕立てでいいじゃない」

P「いきなりミュージカルにするんですか?」

辛抱「サイレントミュージカルね。台詞無いから。視聴者驚くぞ」

P「幾ら何でも斬新過ぎませんか?」

辛抱「だからこれぐらいやらないと世の中動かないんだって!大体これで2話放送されたけど、どこのニュースサイトでこの『知らない人んち(仮)』が噂に出てる!?『東京グランメゾン』とか『ドクターX』とかあらゆる意味で『いだてん』とかばっかやんけ!悔しくないの?折角タイトなスケジュールで皆で頑張ってんのに屁の突っ張りにもならないなんて!」

P「そりゃあこれだけ頑張ってるんだから、もっとみんな観て、みんなに面白かったと評価しては欲しいですが・・・中々上手く・・・」

辛抱「だったら今から上手く行けばいいじゃん!」

P「・・・嬉しいなあ何かそのセリフ」

辛抱「当たり障りの無い作品でいいならどうぞご自由に。でも何か僅かでも爪痕を残したいんなら・・・」

P「残したいんなら?」

辛抱「今度こそこちらの設定を採用してくれ!」

P「前回に続き自らの売り込みかーい!」

続く!?

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