『知らない人んち(仮)』第二話


#テレ東シナリオコンテスト

『知らない人んち(仮)』第二話

※視聴者編、プロ脚本家編のどちらでも対応出来ると思って下さい・・・

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ボム!

小さい爆発と同時に煙が出て、四人同時に驚く。すると煙が即晴れて一人の男が現れる。

きいろ「・・・え・・・?あなた、誰です?」

アク「誰?」

キャン「誰ですか?」

ジェミ「だ、だ、誰なんです?」

戸惑う四人に男は呟く。

男「(大声)俺は!」

驚く四人。

男「俺はこのドラマの脚本に携わりたかった男だ!」

四人同時に「えええ!」

男「ネタバレみたいだが、実は今この家にいて色々行動している事全ては作り話なんだ!」

四人「え!そんな事言っちゃっていいの!」

男「うるせえよ!みんな作り話なんだよ!おとぎ話なんだよ!YouTuberだのタイムトラベラーだのなんてみんな嘘っぱちなんだよ!ここにいる四人だって女優さん俳優さんが出演料貰って演技して台詞喋ってるだけなんだよ!」

きいろ「そんな事言ったら身も蓋も無いじゃないのよ!ドラマってばらしてどうするの!?みんな一生懸命制作してるのよ!監督もカメラマンも音声さんもみんな、みーんな、一生懸命!何日も何週間もかけてこのドラマ作ってんのよ!それを何!いきなりアンタ何よ!何しに来たの!何の恨みがあって出て来たの!ふざけんじゃないわよ!テレビドラマを何だと思ってるの!」

男「だから来たんだよ!」

アク「どゆこと?」

男「実は視聴者編並びにプロ脚本家編を観てからここに来たんだが・・・」

キャン「何?」

男「予想道理の展開だった」

アク「?言ってる意味が分からない?」

男「要は予定調和だったって事だよ!従来のテレビドラマの範疇から一歩たりともはみ出さない、実にお上品な、確かに何人も何人も会議を重ねて作り上げたドラマだなあて思ったからだよ!」

きいろ「ドラマだもん!」

ジェミ「そんな事言ったって・・・ん?」

アク「どうしたの?」

ジェミ「ひょっとしたらあなた、私やキャンを下着姿にさせたり、アクを丸坊主にしようって脚本書いて来た人!?」

男「あ、知ってたの?嬉しいなあ」

アク「げ!マジかよ!俺マジで丸坊主にしようとしたってこの事言ってたのか!俺そんな事ドラマだから出来ないですってガチで断ったんだった!」

きいろ「下着やら最後にはオールヌードとかになれとか書いて来た脚本あなただったんですね!そんな恥ずかしい事する訳無いじゃ無いですか!第一、テレビが下着姿なんか許可しませんよ!厭らしい!」

男「それぐらいやらないとインパクト無いじゃないか!だからなんだって!一番最初の脚本で書いた通りだよ!今のままでは単なる視聴者参加ドラマでしたで完!だぞ!つまらないじゃないか!斬新さも何も無い!」

キャン「別に下着になりたくないし・・・」

男「下着はもうしょうがない!本当はみんな待ち望んでいるけど、テレビ東京のドラマ班はそれを許さない、て言うか、本当は下着でも水着でもやらせたいんだろうが、諸々の事情で出来無いから仕方なく当たり障りの無い脚本に纏めたんだって百も承知だよ!だって、このドラマの脚本会議の時、俺の脚本の意見が「展開は斬新だが、諸々な理由でNG。」だぞ!何だよ「諸々な理由」って!ハッキリ書けよ!」

きいろ「いや、それは下着とか丸坊主とかにしようとするから、しかもリアルに」

男「確かにエロはNGなのかも知れない。でも、エロが何故いけない?エロの何が悪い!?」

ジェミ「子供も観るし」

男「こどもお!?」

キャン「やっぱ視聴者がドン引きする展開は良くないし、演じてるアタシ達も体張る事はしたく無いし」

男「そんなんじゃ伝説にならないぞ!」

アク「別に伝説になりたいと思って芝居してないけど」

男「だからあ!そんなんじゃどこにでもある当たり前のドラマと変わらなくなるじゃない!意外性とか何も無いじゃん!ドラマ観たけど本当に当たり障り無い展開じゃん!」

きいろ「じゃあどうしたらいいのよ!」

男「俺の脚本のままドラマを製作してくれればそれでいいのに」

キャン「下着になれと!」

アク「丸坊主になれと!?」

男「それぐらい体張ろうよ」

きいろ「嫌よ!」

男「嫌よ嫌よも好きの内」

ジェミ「何微笑ましいギャグ言うの!こんな時に!」

男「だったらもう下着も丸坊主もいいさ!ならどうするか!オウ!どうすればいいと思うんだこれから!これから先薬にも毒にもならない展開を続けてひっそりと終了するだけか!?」

きいろ「そこまで言うとこのドラマの脚本書いてくれた人達や、監督やプロデューサーに失礼よ!」

男「それは失礼しました」

アク「じゃ、もうあんた帰ってくれよ!ドラマが先に進まないじゃん!」

男「でもこれでいいのか!?」

キャン「何が!?」

男「冷静に考えろ」

きいろ「何を考えるの?」

男「今まで色んなドラマや映画を四人とも観て来たと思う」

ジェミ「それで?」

男「では、その沢山観て来た中で、今回の様に、スタッフや脚本家等がドラマ本編に絡んで出て来た作品って未だ嘗てあったか!」

きいろ「そんなの・・・」

アク「そんなんある訳無いじゃん!出鱈目だろ!ドラマ作ってる側が行き成り出演者に絡み出すなんてさ!」

男「そうなると今こうやってるドラマは非常に斬新・いやさ!未だ嘗て無い、世界中何処探しても無い展開とも言えるよね!まあ映画監督とかさあ、本編の冒頭で作品の説明するとか、作者がカメオ出演してるとかってのは結構あるさ。でも、ドラマの途中で、放送した内容に感想を述べる展開が出て来る作品なんてどこ探してもないだろ!」

きいろ「そ・・・そう言えば・・・」

アク「で、でもさあ・・・斬新過ぎない!?そもそもアンタ、別にこのドラマの関係者って訳でも無いじゃん!言わば単なる視聴者が態々(わざわざ)侵入してドラマ掻き乱してるみたいなだけじゃないの!?ドラマってのはもっとこう・・・」

男「おっと、みなまで言うな!」

ジェミ「あたし達はテレビ東京のドラマのスタッフと共同で制作してるんだし、部外者が文句垂れられても迷惑って言うか・・・」

キャン「ん~」

きいろ「どうしたの?」

キャン「何か分かる気がする」

アク「何が?」

キャン「何かこの男の人の言ってる事の方が正しいかな~って思う」

ジェミ「え!どうして!?」

キャン「よく考えたら、この人が言う様に、今のままなら単なる視聴者参加ドラマで終わっちゃうじゃん」

きいろ「仕方ないよ、そんなものよ」

キャン「それって・・・それでいいのかなあって・・・思った訳よ」

アク「何で?」

キャン「あたし達って、こう言っちゃ何だけど、超メジャーな俳優女優じゃ無いよね、ぶっちゃけ今は・・・」

きいろ「そりゃ・・・そうだけど」

アク「・・・(絶句して俯く)」

キャン「ドラマだってお仕事として依頼が来たから引き受けてるけど、この仕事やる際、もの凄い情熱とか正直あった?このドラマで視聴率30%超えようとか、このドラマを足がかりにもっと売れるんだとか、このドラマで今年最後のムーヴメントを沸かそうとか考えたりした?」

きいろ「・・・単にお仕事だから・・・」

ジェミ「だって・・・テレ東のドラマだし・・・深夜枠だし・・・そこまで気張らない・・・」

キャン「私もそうよ、単に仕事として参加してただけ・・・今まではね」

アク「?今までは、ってのは?」

キャン「この男の人のお話聞いてると、ひょっとしたらこの人の考えを盛り込んでドラマ作ったら何か盛り上がるんじゃないかな~って思える様になっているの!」

きいろ「ま・・・そりゃ、当たり障り無い展開な作品じゃ、このドラマも大して記憶に残らないだろうし・・・」

アク「でもさあ・・・でも・・・そりゃ・・・会社がどう言うか・・・」

ジェミ「・・・確かにこの男の人は、他の人の書いた脚本と比較して展開が読めないと思う。と、言うより・・・」

アク「と、言うと?」

ジェミ「この男の人のお話聞いたら、今後どんな脚本案を前に出されても「ありきたりかなあ」って思っちゃいそう・・・展開に意外性がみんな無かったし・・・タイムパトロールやらサタンやらも展開としてはアリだけど、そんなの何処にでもあるドラマってヤツじゃない?他の誰しも考えそうな展開。最後に上手く纏めれそうなドラマのオチ。なんか・・・」

アク「なんか?」

ジェミ「なんかこう・・・」

きいろ「何かこう?」

男「つまりだ!」

キャン「わ!びっくりした!突然大声出さないでください!」

男「この大声もアクセントの一つだ。ビックリしただろ?予想ついたか?つかなかっただろ今俺が突っ込むなんて?これだよ!単純な話、意外性が大事なんだよ!もっと言えば今までに無かった展開で進行して行く事が、ドラマを盛り上げ、作品の質を高めるんだよ!分かり易く言えば、ドラマの展開で四人が四人とも実は宇宙人でしたとかってそこら辺の誰でも考えようと思えば考えれる展開じゃない?四人とも泥棒でしたとか、四人とも幽霊でしたとか、誰かが昔考えた様な話はもうお腹いっぱいなんだよ。みんなが観たことが無い展開を進めていく事が、長い目で見れば、ドラマの視聴率を上げたり、ドラマの評価を上げたり、それが強いては、ドラマ制作者の評価を、出演者の価値を上げる事に一役も二役も買う事にも繋がるんだよ!」

キャン「何か強調するね」

男「でも斬新な展開は大事だ。斬新だからってエログロをこれでもかこれでもかと出せば良いって訳じゃない。例えば、このドラマだってちょっと展開を弄るだけで雰囲気がガラリと変わって評価が上がるんだぞ」

アク「どうやれば良かったんだよ?」

男「そんなにややこしい事でも無い。例えば四人の服を和服にするとか」

ジェミ「何故に和服?」

男「ほら!そこに食らいつく!要はそこさ!何故和服か!そんなん意味なんざ無い!あるのは見栄えが珍しいから人目を引く事!だって、只のドラマで何で和服着てるの?って視聴者訝しがるでしょ?そこから視聴率が上がるんだよ!これはどのドラマでも応用できるぞ。話の内容一切変えなくても衣装変えるだけで視聴率が上回る事を予言してやる!」

きいろ「確かに普段着でありのままの何気ない雰囲気で無くなるから気にはなるわね」

アク「・・・ひょっとしてあんた、もの凄い人じゃないの?」

男「そう思ってくれたら有り難い」

キャン「じゃあ他にもドラマ盛り上げるアイデアあるの!?」

ジェミ「聞かせてよ!」

男「聞きたいか?」

きいろ「ここまで言ったんだし興味はあるなあ。監督もこちらをじいっと興味津々でみてるし・・・」(撮影側を写す)

男「じゃあ言うかなあ」

アク「じゃあ聞くがこれからの話の展開はどうなるの?」

男「その続きは・・・」

キャン「続きは?」

男「俺の名前を出して呼んでくれれば続きの展開を言うから、リクエストを募ってくれ!」

きいろ「宣伝上手いなあ」

続く!




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