自#230「私は高1の夏休み、時給125円で、土方のバイトをしてました。これって、やっぱ搾取されてたって、ことですかね。結構、楽しかったんですが・・・」

「たかやん自由ノート230」

「Go To トラベルで旅行をしながら、旅行先で自転車をレンタルして、Uber Eatsで、お小遣いを稼ぎました」と云う記事を週刊プレイボーイで読みました。Uber Eatsは、配達員登録をしておけば、全国のどこでも配達の注文依頼を受けられるそうです。

 配達員のRさんが、東京から最初に向かったのは金沢。Go Toを使うと、アパホテルの1泊は2600円、往復の高速バス料金、現地のレンタルサイクル料金などの費用は、全部で11700円。東京では、1日、13000円くらいUber Eatsで稼げるので、東京並みの注文があれば、黒字になります。金沢エリアの配達受付時間は、朝9時から深夜24時まで。AM8:50に配達のスイッチをオンにして、注文を待つと、AM9:05頃、駅近くのスタバから注文が入ります。その後も、スタバやマックなどから、住宅地やオフィスへの配達が続きます。城下町の狭い道路を行ったり来たりしても、他の配達員の姿はなく、都内ですと、マックやスタバの近辺に依頼を待つ配達員がいたりしますが、待っている配達員は見かけなかったそうです。15時くらいで注文が止まって、次の配達のアラームが鳴ったのは、17:30。夜は繁華街の居酒屋から、唐揚弁当を運んだり、韓国料理の店からチヂミを届けたりします。地元の人から「金沢では、軽自動車を使って配達する人が多い。車の入れない路地が結構あるから、自転車配達する人も多いけど、今日は寒いから自転車の人の多くは、多分、休んでいるんだ」と、教えてもらいます。東京の人=根性がない、地方の人=根性がある、と云うテンプレートな公式は、当てはまらないらしく、金沢では、あったかくて、走り易いサイクリング日和のみ、自転車配達をしているのかもしれません。自転車で配達するUber Eatsで、生計を立てている人は、いなさそうです。お天気のいいあったかい日のお小遣い稼ぎと云った位置づけなんだろうと想像しました。

 Rさんは、金沢駅近くの中華料理店から、注文を受け、そのお店でマーボチャーハンを受け取り、配達開始のボタンを押そうとしたら、配達の情報が消えてしまったそうです。何らかの事故で、通信障害が起こってしまったんです。サポートセンターに電話をしても、なかなかつながりません。システムのバグで、情報が消えて、空白の時間ができてしまっています。その場合、店にもう一度、その料理を作ってもらって、別の配達員が運ぶそうです。ですから、冷めてしまった料理は、自分が食べても構わないらしく、この日のRさんの夕食は、マーボドーフでした。バグで、トラブっていた時、時間をかなりロスしてしまったので、この日の収入は9080円。旅行費用は11700円ですから、2620円の赤字ですが、金沢の街の様子も理解できたし、それなりに有意義なGo To 金沢だったんじゃないかと想像しました。

 次に出かけたのは、名古屋。昼便の格安バスのチケットは、東京から往復で4500円。交通費、宿泊費、自転車レンタル代の費用の合計は、11000円。予約した宿の近くには、マックや牛丼のチェーン店など、ファーストフード系の店が沢山あるので、期待して出かけます。名古屋の配達受付時間は、朝7時から深夜1時まで。朝6時に起きて、レンタサイクルの手続きを済ませ、6時50分に配達開始のスイッチをオンにします。名古屋だから、喫茶店のモーニングを運ぶこともあるかもと待っていたんですが、依頼は全然来なくて、最初の依頼は、1時間以上経過した8時10分頃。SKE48劇場付近にあるマックから、朝マックを運んだあと、取り敢えず、街をぶらついてみます。パンダのイラストが大きく描かれたリュックを背負って自転車に乗っている配達員が沢山います。これはドイツ発祥のフードデリバリ「フードパンダ」の配達員です。信号待ちの時、フードパンダのリュックを持った人に、名古屋の配達事情を聞いてみます。
「Uber Eatsの配達員は多すぎ。だから、依頼が全然、入らない。時給換算すると、700円行けばラッキーかな。フードパンダは、シフト制だけど、配達依頼がなくても、最低時給が決まっているから、ありがたいね。自分は、シフトが入っている時は、フードパンダ。それ以外の時間は、Uberをやってるけど、秋になってから、Uberでは、全然、稼げてない」と、Rさんは教えられたそうです。信号待ちの短い時間に、これだけの情報を盛れる名古屋人って、すごいと思ってしまいました。東京でしたら、11時から14時までのランチタイムは、6、7件の依頼があるそうですが、名古屋で受けた依頼は、1件だけ。14時現在で、受けた依頼は4件。収入は1520円。時給換算すると、1時間あたり217円。が、19時以降、夜になると、栄の繁華街から、注文が結構、入ったようです。深夜の1時まで運んで、この日の収入のトータルは6976円。拘束されていた労働時間は、18時間ですから、時給は387円。時給387円でバイトをする高校生がいるとは、ちょっと考えられません。お金を稼ぐって、大変なんだと云うことを知る、社会勉強とかにはなりそうです。

 沖縄には2泊3日で出かけます。かかった費用は、全部で2万円くらい。Go Toは使っていますが、基本、平成からのデフレは、今も続いていますから、工夫をすれば、Go To がなくても、格安で旅行に行ける時代です。

 沖縄の朝の仕事のスタートは遅いので(東京に較べると、3、4時間は遅いと言えます)配達開始のスイッチを入れたのは、AM10:30。首里付近のカフェから、注文が入ります。指示された道を行くと、心が折れそうなほど続く急勾配の坂道。上りきって、お店に辿り着き、配達先を見ると、今、上がって来た坂を下り、谷底まで行ったところで、再び、坂を上ると云う過酷なルート。沖縄は島ですから、基本、up downの多い、坂だらけなんです。本州では秋ですが、沖縄はまだ夏。気温は30度。汗だくになって、配達します。自販機を見つけるとドリンクをがぶ飲み。夜の配達注文は皆無だったそうです。シンガポールとかもそうですが、気温の高い地域は、夜、涼しくなってから、人は外に出ます。沖縄の那覇の国際通りは、夜中の12時くらいに、人出はピークなんです。昼間、歩いているのは、修学旅行生はじめとする普通の観光客とかです。ですから、夜のUberの利用とかは、ないんだろうと想像できます。正確な労働時間は判りませんが、沖縄でのRさんの時給は、500円くらい。賃金相場の安い沖縄ですと、500円の時給は、そう悪くもないかなって気もします。アップダウンが多く、身体を鍛えるための筋トレだと考えれば、一石二鳥のバイトです。ちなみに私は、高1の夏休み、土方のバイトをしていました。一日、8時間働いて、もらったお金は1000円。時給は125円です。時給125円で、20日間働いて、ネイビーのブレザーを買って、それを着て、大阪万博に行きました。

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