自#981「2時間、冷房のきんきんに効いた職員室で仕事をしたとして、帰りに2時間歩けば、冷房の害は、デトックできます。薬を常時、大量に飲んでいる人は、どうやって薬の害をデトックしているのか、不思議です」

          「たかやん自由ノート981」

 新聞で、アルツハイマー新薬承認(一面)、待望レカネマブ(二面)というゴシック体の大きな見出しを見た。薬に興味はないので、いつもなら即座にスルーするが「待望レカネマブ」と書いてあって「えっ、一体、誰が待望してたの?」と、素朴な疑問を持った。
 認知症の多くが、アルツハイマーに原因があるという最低限の知識は、持っているが、レカネマブといった薬名は初耳だった。そもそも、私は認知症が病気だとは考えてない。人それぞれの人生の最期のあり方のひとつのバージョン版だと思ってる。
 私の母親は、最期、認知症になって、人格が分裂したが、そうなるべき運命だっただけのことで、母親の最期が不幸だったとは、考えてない。私の母親は、母親としてはまったくNGな人だったが、母親としてNGだったからと言って、彼女が不幸だったとは言えない。私は、そのNGな母親から、愛情らしきものを受け取ったことはないが、自分自身を不幸だと考えたことは、多分、一度もない。結構きつかった小1の頃も、古希直前の今も、こうなるべき運命だったと、ルサンチマンのひとかけらも抱かず、simpleに受け止めている。
 アルツハイマー病は、アミロイドβが脳に蓄積されるから起こると言われているが、これはまだ仮説に過ぎない。脳のことも、心のことも、本当の所、良く解ってない。そんな風に何もかも解明できる筈がないし、解明する必要もないと、私は単純に考えている。
 朝日新聞の社説には「認知症の約7割を占めるアルツハイマー病は、アミロイドβと呼ばれるたんぱく質が脳に溜まることをきっかけに起こるという仮説がある」と、はっきり書いてある。要するに、まだ仮説に過ぎないが、レカネマブによって、アミロイドβを除去すれば、認知症の症状は軽減されるかもしれない、まだ海のものとも山のものとも解らないし、副作用の実態もはっきりとは掴めてないが、巨大なビジネスだし、金が動きそうだし、とにかく、ごっそり儲けるために、みんなで「Go!!」ってことなんだろうと想像している。
 アミロイドβが脳に蓄積していることを確かめるためには、PET(Positron Emission Tomography)と呼ばれる陽電子放射断層撮影機を使って、確認する必要がある。これを設置していると日本核医学会が認定している施設は、現在、60くらいしかないらしい。認知症基本法には、「共生社会の実現をするために」というお題目が掲げられている。PETがどうしても、必要なら、国が補助金を出すことになる。こんな風に打ち出の小槌は使われると言ったら語弊があるかもしれないが、昔、公共事業、今、医療・福祉系で、打ち出の小槌を使い倒すのがトレンドだと、目ざとい人たちは、cleverに動いている。
 ところでレカネマブは、1800人の治験者が参加し、18ヶ月間、投与した実験結果では、偽薬(つまりプレシボー)と較べて、記憶力や判断力などの程度を評価するスコアの悪化が、27パーセント抑えられたらしい。一方、薬を使った人の12.6パーセントに脳内の浮腫、17.3パーセントに微小出血が報告されるなど、副作用も確認されたと書いてある。12.6パーセントと17.3パーセントを合計すると、29.9パーセント。副作用のパーセンテージとして、あまりにも高すぎる。レカネマブを使う前に、検査で副作用が出やすい遺伝子がどうかを調べることが、アメリカでは推奨されたらしいが、国内では、遺伝子検査は、求めないで、投薬後に、脳内の出血を調べるらしい。あくまでも、薬を使用することを前提として「Go!」していると感じる。米国の副作用に関する添付文書には「まれに生命を脅かす重要な事象が発生することがある」と警告しているらしい。これに対し、日本認知症学会のある先生は、「命にすぐに別条ない病の治療で、生命に関わる重大な副作用を出すわけにはいけない」と、仰っている。まったくもって、正論だし、これが常識だと思う。
 レカネマブは、二週間に一度、一時間ほど点滴で、投薬するらしい。点滴が終わったあと、気分が悪くなったり、アレルギー反応などが出たりしないか、初回は二時間ほど、院内で慎重に様子を見るらしい。副作用が出ることが前提だから、ここまで慎重なスタンスだと判断できる。で、その後は、二年に一回、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査を受け、浮腫が見つかれば、投薬を停止する。
 約30人に投与した医師は、「効果を実感できるのは、三人に一人程度」と、印象を語っている。
 先行しているアメリカの薬価は2万6500ドル(約384万円)。日本は保険制度があるので、もっと安くなるが、コロナの治療薬の塩野義製薬のゾコーバは、一回の治療が5万8千円だった。個人の負担も少なくはないし、保険財政に大きな負担がかかることになる。 私の故郷の漁村や、親友の地元の農村では、脳溢血で寝たきりになっている人はいたが、認知症の年寄りはいなかった。漁村でも、農家でも、だいたいみんな、死ぬ直前まで、身体を動かしていた。認知症になってる暇とかは、なかったと多分言える。
 ランセットという認知症の国際的な専門部会があって、そこの部会が、認知症の12個のリスク要因を定めている。
「15歳までの教育歴不足」「難聴」「頭部外傷」「高血圧」「飲酒」「肥満」「喫煙」「うつ病」「社会的孤立」「運動不足」「大気汚染」「糖尿病」の12個。まあ、これだけ要因が多いと、認知症になる前に、お迎えが来る。
 少々の肥満、少々の飲酒、少々の喫煙などは、正直、何の問題もない。人間の身体のために、健康的ないいことばかりやろうと鋭意努力する、それだけで、気を使って、ストレスで、心が弱る。
 私に言わせれば、ウォーキングがすべての基礎だと思う。毎日、最低、一時間は歩く必要がある。二時間がbest。今、流行りのポールウォーキングとかじゃなく、普通のウォーキング。歩けば、眠れる。身体を使えば、普通に食事もできる。汗も出るし、わざわざサウナに行かなくてもデトックできる。
 薬が効くとすれば、必ず、副作用はある。薬の副作用を、どうやってデトックするのか、どの本を見ても書いてない。薬が、善で正しいという「てい」じゃないと、巨大な薬ビジネスは、回らなくなるということだろうと、想像している。

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