自#526「宴席で、飲めない人が、ジュースを飲んだりするよりは、ノンアルコール飲料を飲んだ方が、はるかに健康的だと思います」
「たかやん自由ノート526」
低アルコール酒の需要が増えているという記事を読みました。コンビニで売っている「ほろよい」系の缶チューハイの度数は、3%くらいで、度数40%以上のウィスキーのストレートを、若い頃、飲んでいた私から見ると、まさに低アルコールです。「度数、3%で本当に酔えるのか?」と、疑問を感じたりもしますが、アルコールは、その場の雰囲気で酔うってとこもありますし、公園などの花見風景を見ていると、若い人は、3%でも、充分、楽しそうに酩酊している様子です。
「翌朝に響くのは避けたい。でも、ノンアルコールでは物足りない。そんなニーズを目がけて飲料各社がアルコール度数が低めの『お酒』を次々に投入している」そうです。20代で、私が飲んでいた頃、アルコールが飲めないのに、飲み会に参加しているboy & girlたちが、少なからずいました。このタイプの方は、例外なく宴席では、ジュースを飲みます。お店の方に「お代わりどうですか?」と声をかけられて、ついついジュースのグラスを重ねてしまうわけです。私は、若い頃から、健康オタクってわけではなくても、健康や養生法の知識は、ある程度、持っていましたから、ジュースを何杯も飲んでしまうのは、明らかに、健康にとって良くないし、糖尿病に向かって、まっしぐらに突き進んで行ってしまうだろうと懸念して
「最初の一杯だけ、ジュースを飲んで、あとは水かお湯を飲めばいいんじゃないですか」と、声をかけたことがあります。
「いや、水やお湯だと雰囲気を壊すし、さすがにちょっと・・・」と、言ってました。私は、アルコールをやめてからは、やむを得ず宴席に出席せざるを得ない時は(結婚式の披露宴とかです)最初から、最後まで、ずっと水ばかり飲んでいました(料理などには手をつけません)。確かに、水だけを飲み続けるのは味気ないし、水にも、飽きるなと、思ったりしてました。ノンアルコール飲料が発売されて、飲めない人には、luckyな福音だと、想像しました。ノンアルコール飲料によって、ジュースの弊害から逃れることができます。私は、30歳まで飲んでいたので、自信を持って断言できますが、アルコールの適量と、ジュース(ミキサーを使って作った、砂糖抜きの生ジュースでない限り、ジュースに適量は存在しません)とを比較すれば、適量のアルコールの方が、はるかに健康的です。まさに酒は、百薬の長なんです。飲めない人が、ノンアルコール飲料で、健康を目指せることは、望ましいことだと、単純に受け止めました。
アルコールが飲めるのに、様々な事情で、ノンアルコール飲料を飲んでいるケースもあります。ジュースを飲むよりは、健康的ですが、飲めるのに飲まないのは、ちょっと精神的にしんどいだろうなとは想像できます。私は、アルコールを止めて、もう40年近くが経過しましたが、今でも、飲みたい気持ち、気分は満々です。食事の方は、今年の夏休みから、完全に朝食のみの一日一食主義に移行しましたが、別段、お腹も空かないし、昼食や夕食を食べたいという欲望や衝動にもかられません。ですから、ランチ会に出席して、水だけを飲んでいても、一向に平気ですが、宴席で周囲が飲んでいると、やっぱり自分も飲みたくなります。人間は、弱い生き物です。リスクを避けるために、宴席には参加しないことに決めています。
ところで、アサヒビールが発売したアサヒハイボリーのアルコール度数は、0.5%だそうです。「へっ?」って感じです。3%の「ほろ酔い」缶チューハイでさえ、本当に酩酊することができるんだろうかと、私は、内心、はなはだ懐疑的なのに、さらにその6分の1のアルコール度数です。これは、ウィスキーをかつてストレートで飲んでいた人間には、正直、窺い知れない未知の世界です。が、人間は、どんなものにも慣れます。アルコール度数が0.5%でも、充分に酩酊できるように、身体は慣らされて行くのかもしれません。
サッポロビールは、麦芽100%の生ビールを原料に麦のうまみを感じるビールティストの「ザ・ドラフティ」を発売したそうです。こちらは、アルコール度数0.7%。
何か、秘密があるんじゃないかと、記事を最後まで丁寧に読むと「アルコール度数、1%未満の場合、酒税法上の酒類にはならず、酒税はかからない」と、書いてあります。なるほど、これが、メーカー側のモチベーションを、一気に掻き立てている最大の理由だなと、即座に理解しました。アサヒハイボリーは、アルコール度数0.5%と、3%の二種類を用意しています。で、前者は350ミリリットルで195円、後者は同容量で199円。酒税がかからないのに、わずか4円しか安くなってないんです。どう考えても、メーカーは、濡れ手で泡の大儲けって感じがします。まあ、どの道、近い将来、国税局が介入して来て、1%以下でも、酒税をかけるようになるとは推定できますが(酒税というのは、明治政府の昔から、国家の大きな歳入源なんです)それまでの間に、売りまくればいいわけです。
朝日新聞のGLOBEに、ウィスキーの特集記事が出ていました。オールドファッショングラスにウィスキーと氷を入れたオンザロックの写真が、扉を飾っていて「あらゆる酒の中ではウィスキーのオンザロックが視覚的にいちばん美しい」という村上春樹さんの小説のフレーズが引用されています。ウィスキーと、グラスと氷のカット面がつくり出す、琥珀色のカレイドスコープのようなfantasticな美しさのことを、村上さんは言っているんだろうと思います。が、この写真はグラスの上部の縁まで、かなりの余白があります。オンザロックも水割りも、氷はグラスの縁より上に出てないと、視覚的にはしっくり来ないんじゃないかと、私個人は思っています。昔、進駐軍が来た時、日本人のバーテンダーが、グラスの高さの半分くらいのちっちゃな氷を入れて、ウィスキーのオンザロックを作ったところ、「もっと大きなグラスの縁を越える氷の塊をぶっこめ」と、米兵に叱られたというエピソードを読んだことがあります。グラスの半分くらいのとこに、ちょこっとだけ氷があるとかって、どう考えても、邪道だなと、ウィスキー好きなら、普通に考えます。
GLOBEには、「シングルモルトのクラフトウィスキーが、今、熱い」みたいな記事が、掲載されています。かつての同僚が、ザマッカランを飲んでいると言ってました。ザマッカランは、スコットランドのシングルモルトです。サントリーも山崎とか余市といったモルトウィスキーを製造しています。私がウィスキーを飲んでいた時は、ブレンデッドウィスキーしか存在してなかったので、モルトウィスキーが、どれだけコアなのかは、正直、判りません。モルトウィスキーが本当に流行っているとしたら、低アルコール飲料がトレンドになっているのは、ちょっと矛盾しているような気もします。まあ、これは高級な衣料品と、ユニクロのそれとの二極化と同じだと、言えるのかもしれません。ニューリベラリズムがもたらした貧富の二極化だって、今、流行のdiversityを促進していると、言えなくもないような気がします。
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