自#666「何ごとも疑い、何ごとも信じる、この矛盾の二律背反を軽々とやってのけるスキルというか、徳が、つまり中庸です」

     「たかやん自由ノート666」(自己免疫力⑫)

「白いお米のご飯が食べられる、今の子供は幸せだ」と、子供の頃、よく言われました。私の親の世代は、白米ではなく、精製してない雑穀などを食べていたと推測できます。米(白米)が一番美味だと、大人たちは言ってましたが、米よりも、新鮮な魚の方が、はるかに美味だと私は、思っていました。が、漁師町の漁師たちにとって、魚はタダですし、米は高いお金をかけて購入すべきもので、高いお金をかける以上、美味だと言わざるを得ないでしょうし、魚は身の回りにあまりにもありふれていて、美味だと感じることすらない、普通すぎるソウルフードだったとも思われます。
 私が子供の頃、もうものごごろついた時から、白米を食べていました。故郷の漁師町でずっと暮らしていたのは小5、6の2年間だけで、あとは四畳半一間の部屋に、家族三人が住んでいるような(家族四人だとさすがに六畳一間でした)貧乏人ばかりが住む、安アパートを転々としていましたが、雑穀や玄米を食べているファミリーを、見たことはありません(台所は共同なので、どこの家が何を作っているのかは、容易に観察できます)。 私の母親が作る食事は、一汁一菜と、あと白米のご飯でした。その食事が、特別、美味だとも、or notだとも、思いませんでした。食事が楽しみだといった風なこともなく、日々のルーティーンとして食べていただけです。基本、その後も、ずっと今に至るまで、同じで、食事が楽しみだったことはないし、空腹を感じたことも、記憶にある限り、ないです。美味なものを食べたいという欲望とも無縁です。食に関して、まったく無欲な生活習慣が、子供の頃に身についてしまって、いつの間にか、代謝の衰えた、食のより細い、年寄りになってしまったという気がしています。
 ですから、動物愛護などの思想信条で、肉を食べないとかでは、まったくないです。ステーキとか、ぱっと見ただけで、食べるのが面倒だなと思ってしまいます。肉などを、鉄板や網に乗せて焼いたりと言った風な、手間ヒマをかけるのも嫌ですし、魚も骨を取るのが厄介です。野菜なら、いきなりdirectに、いとも簡単に食べられます。食に関して、ものぐさで、面倒くさがり屋だから、ベジタリアンもどきになってしまったと、言えるのかもしれません。
 独身時代、セブの圧力鍋を買って、玄米を炊いていた時期もあります。が、玄米となると、食べるのに時間がかかりすぎるんです。さすがに30回は噛みませんが(ごくたまに、自然食の食堂で、30回噛んでいる人を見かけましたが、正直、カルトな宗教の人を見ているような気がしました)15回以上は噛まないと、消化できる状態には、到達できません。
 子供の頃は、白米に対して何ら関心を持ってなかったんですが、歳を取ると、白米の甘さが、ちょっと鼻につくようになり、白米をさほど食べなくなりました。雑穀米などを、しばらく食べていましたが、それもスルーするようになりました。栄養学的に、これは、NGだと理解していますが、現実、もう私は、ここ数年、穀物はまったく食べてません。もし、穀物を食べない食生活が、本当にNGであれば、私の内部のゴーストが、何らかの警告を発する筈です。が、別段、何の知らせも届いてません。栄養失調で死ぬなら、まあ、それも運命だろうと、心のどこかでは、多分、開き直っています。
 自己免疫力に関して言うと、一番、大切なのは、毎日、食べる食物だと、理論的に理解しています。ちゃんとした食生活をしていれば、間違いなく、自己免疫力は向上します。私自身は、別段、食に関して、意識が高いわけではありません。「意識高いですね」と、たとえそれが「揶揄」であったとしても、言われたことは、一度もないです。クーラーや暖房を使用しないのも、飛行機や車に乗らないのも、意識が高い(いやむしろ低い?)からではなく、結局は、習慣です。
 意識は高くないんですが、知識は、結構、あります。知識を得ることは好きなんです。知識などなくても、いい仕事はできます。余分な知識などない方が、よりいい仕事ができるのかもしれません。知識が、生きて行く上で、役に立つと思ったことも、ほとんどありません。自分の興味関心のある文化世界が、体系的に頭の中に整理されて行くのが、本能的に好きだということです。これは、単なる自分の趣味ですから、その知識を他人に押しつけたこともありません。
 自販機の甘いジュースを飲むことは、ほとんど自殺行為に近い食習慣だと承知していても、生徒に「毎日、自販機のジュースを飲んでいると、30代で間違いなく、糖尿病になるぞ」と、警告したことは一度もありません。
 今、腎臓の透析をしている人は、私の子供時代と較べると、天文学的な数だと言いたくなるほど、増えています。いつだったか、故郷に帰って、親友のHの母親が入院していた病院にお見舞いに行った時、駐車場にどっさり並んでいる車を見て、Hが「みな透析の患者よ」と、こともなげにさらりと言ってのけたので、驚きました。糖尿病で、腎疾患を併発して、透析を受けることが、ごく普通になってしまっているんです。これは、自販機の甘いジュースが、一番、大きな原因だろうと、私は推定しています。
 自販機の拡大率と、糖尿病の患者の増加率とは、きちんと調査すれば、おそらくリンクしていることが、判明すると思いますが、そういう調査は、絶対に実施されません。自販機を作っているメーカーも、ジュースの会社も、病院も、薬業界も、そんなことをして、自販機の甘いジュースが、最大の悪玉だなどと、指摘、指弾されたら、ビジネスが回らなくなってしまいます。
 最強の健康食だった玄米食が、何故、ここまで廃れてしまったのか、理由はいろいろあると思います。私自身、一時期、玄米を食べていて、やはり残量農薬のことが、気にかかりました。日本とかカリフォルニアの米が、無農薬だと表示されていても、私は、信用しません。高温多湿の地域では、農薬を使わないと、雑草は除去できません。雑草を、昔のように、人の手で除去するといったことは、絶対に考えられません。人間は、一度、便利になってしまったら、後戻りできません。これは、自分自身の経験からしても、間違いのない真理だと確信しています。
 高温多湿ではないヨーロッパでは、農薬をさほど使わないで、穀物を栽培することが、可能です。私が、もっと若ければ、スペインやイタリアで作っている玄米を、ネットで探して購入するといった努力をするのかもしれませんが、まあ、もう、そもそも、今は穀物も食べてないし、それほどのこだわりの気持ちも、持ってません(年寄りは、何ごとにもさほどこだわらず、気楽に生きていくこと大切です)。
 高血圧、糖尿病、高脂質異常などで、病院や薬業界のビジネスが回っているってとこもあります。医療関係のビジネスを回すためには、精製した白米は、もって来いの食材だと言えます。玄米じゃ、さほどビジネスが回らないのであれば、白米にして、ビジネスを回す。まあ、資本主義の要求に忠実に従って行くと、おのずと、生活習慣病は増大し、ビジネスは円滑に回って行くということになるわけです。誰が悪いとかってことではないです。結局は、自分自身が判断して、行動することが大切だってことです。

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