自#317「気持ちがいくら若くても、身体は歳とともに衰えます。気持ちの若さと、身体の衰えを、上手く調節して、バランスを保つことが大切です」

        「たかやん自由ノート317」

 プロボディビルダーの横川尚隆(よこかわなおたか)さんのインタビュー記事を読みました。ランニングシャツ姿の上半身の写真が掲載されています。右肩から二の腕にかけての筋肉が、岩石の塊のようです。誰もが鍛えれば、こうなるというわけではなく、筋肉がつき易い体質の方のようです。ボディビルダーも、スポーツや他のアートと同じで、一種の才能が、必要だと推定できます。

 普通の筋トレの場合、週三回くらいで、トレーニングをしますが、横川さんは、毎日、ジムに通っています。トレーニングは、歯磨きみたいなものなので、その日の予定にも入ってないそうです。朝起きて、歯磨きをして、ご飯を食べたら、ジムに行くと云うルーティーンです。

 食事は、朝は卵(4個)とご飯。昼は牛肉とご飯。夜は鶏肉とご飯。野菜は嫌いなので、一切食べず、ビタミンはサプリで摂っているそうです。ご飯は一日、五百グラム。体重計には乗らず、鏡を見て、触って、今日はちょっとむくんでるなとか、もうちょっと絞っておくかなどと判断して、調節しているようです。体重は、ほぼ変わらないんですが、外食をして、調味料が多かったりすると、むくむそうです。これは、分かります。私も以前、女房の実家の両親が来た時、ファミリーレストランで、食事をしたりしてましたが、翌日の朝は、顔がむくんでいました。まぶたが腫れていて、目を開けることさえ、ちょっと苦痛でした。

 横川さんは、三食、ご飯を食べて、糖質をきちんと摂っています。最近、流行の糖質ゼロとか、炭水化物なしと云った食生活では、筋肉はつかないということです。もっとも、筋肉に良いものを摂取すると云う生活は、ここ2、3年の習慣で、それ以前は、ラーメンやカレーも食べていたそうです。普通のボディビルダーは、普段は好きなものを食べて、お酒も飲んで、プロボクサーと同じように、大会前に身体を絞っているそうですが、横川さんはプロですから、ベストの身体を維持し続ける努力を、日頃からされているわけです。

 子供の頃から、勉強はまったくしてなかったそうです。成績は、体育以外はオール1。私は定時制高校勤務時代に、中学校で、ほぼオール1だった生徒を、何人も見ましたが、成績がいい悪いと、個人の人間性は、当たり前ですが、まったく無関係です。ただ、学習面において、知識が不足しているだけのことです。

 横川さんは、小学時代はソフトボールをやっていて、中学校はキックボクシング。高校は、都立の一番偏差値が低い学校でも無理だと言われて、私立の体育大の付属校に進学します。大学には行かず、スポーツの専門学校に進みます。学校が契約しているジムが、行き放題だったので、ジムで、トレーニングを始めます。筋トレは楽しかったそうです。筋トレが楽しいと思えることが、すでに才能です。普通の人は、筋トレは、体力をつけるために、嫌々、やるものです。筋トレが心の底から好きだと言う高校生に、私は出会ったことがありません。私だって、毎日、a little、筋トレをやっていますが、無論、好きではありません。スクワットを、今は、200回やっています。これは、昨日200回、やれたから、今日も200回なんです。3日もやらなかったら、すぐに元の20回くらいになってしまいます。

 横川さんは「筋トレで、初めて、努力したものが、全部、返って来る快感を味わった」と仰っています。若いと多分、努力した分、ダイレクトにリターンして来るんだと推定できます。私のような年寄りだと、全部はリターンされず、努力は、結構、一方的に吸い込まれ、ほんのわずかばかりのリターンが、戻って来ると云う感じがします。若ければ、若いだけ、身体はより強靱に鍛えられて行きます。

 私は大学生の頃、体育でラクビーを選択していました。指導に来ていた東福岡高校出身のラクビー部の学生に、「高校時代とかって、どうしてたんですか?」と聞くと「毎日、30キロ走っていた」と、即座に返事が返って来ました。高校時代に、毎日、30キロ走って、その後、30代の終わりあたりまで活躍し続けられる、体力の基礎を作り上げると云う風なことだろうと理解しました。

 横川さんは、独学でトレーニングをしていたそうです。トレーニングの本は読んでいます。今でしたら、ネットでいくらでも教材は探せそうです。あまりにも豊富にありすぎて、どれを選ぶのか迷ってしまうのかもしれません。横川さんは、ひとつの部位だけを、たとえば胸だったら、そこだけを3時間くらい鍛えるそうです。胸とか腕とかを、3時間鍛え続けても飽きなくて、楽しいと思えるなんて、到底、普通の人の感覚ではありません。ボディビルダーになるべくして、なった方って感じです。

 今、筋トレブームです。これは、筋トレをして、筋肉をつけて痩せると云う流れが、定着して来たからです。ライザップの功績は大だと思います。筋肉をつけないで痩せたら、若い人でも、フレイルになります。年寄りの場合、筋肉が衰えて(放置していたら、どんどん衰えます)歩けなくなったら、負のスパイラルに陥ってしまいます。私は、50代の終わりに、左足のアキレス腱を切って、3ヶ月半、ギブスを嵌めました。現在、左足がサルコペニア状態なのは、7、8年前にギブスを嵌めていて、足を使わなかったツケが、今だに残っていると云うことだと冷静に分析しています。若い頃、ソフトボールでホームに走り込んで、転倒し、右足の踝の骨を骨折しました。20代半ばくらいでした。その時、整形外科の先生に、若いから治るけど、歳を取って骨折したら、もう元には戻らないと、きっぱり言われました。

 人生をふり返ってみると、40歳くらいまでは、まあ好き勝手に暮らしていても、どうにかなって行きます。暴飲暴食も可能です。が、40歳くらいまで、きちんと、いろいろ努力した人と、or notの人とでは、その後、大きく差がつきます。40歳を超えて、若い頃と同じような、無茶苦茶な生活をしていたら、間違いなく、早死にします(そういう先輩を何人か見ました)。

 ハードな筋トレとかは、別段、必要ないと思いますが、身体を、毎日、一定時間、動かすことは、おそらく、すべての年代の人に要求されています。引きこもり生活を、全面否定するつもりもないんですが、引きこもっていても、自転車漕ぎマシーンやルームランナーみたいなもので、運動は一定時間して欲しいです。

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