自#256「就活とか、自分自身はやったことがないので判りませんが、人生の節目節目で、ヴァラィティゆたかに、いろんな試練があった方が、人生はトータルとして、ハッピーなんじゃないかなとは思いますが」

  「たかやん自由ノート256」

現大学3年生と大学院1年生にアンケートを実施して調べた「就職人気企業ランキング」(2020年卒)が、朝日新聞に掲載されていました。このアンケートを実施した、ジャーナリズムのキングとも言うべき朝日新聞社は、85位で上位100社に入っていますが、他の大手新聞社(読売、毎日、日経、東京、サンケイ)などは、ランキング入りしてません。私は、学校の図書室で、新聞を読んでいる高校生を、ここ5年間くらい、一度も見たことがありません。電車の中で、新聞を広げている人も、見かけません。高校生に限らず、ニュースは、スマホ(あるいはパソコン)を使って、ネットで見るものと云う生活スタイルが、すでに定着してしまっています。
 以前、勤めていた学校の最寄り駅の近くのツタヤで、午前中に利用すると、その日の毎日新聞の朝刊をプレゼントしてくれました(無論、希望した場合です。新聞など読まないので、必要ないと云う人の方が、多数派でした)。その頃、旧作を1本レンタルすると、80円でした。80円で、1本レンタルすると、150円の朝刊をプレゼントしてくれるんです。定期購読者の数を、はるかに超える大量の部数を刷っていて、販路を拡大しろと、余分の部数を販売店に送り、それがツタヤに回って来て、景品になっているんだろうと推定していました。ちなみに、毎日新聞をプレゼントしてくれていた、京王線仙川駅の傍のツタヤは、その後、潰れました。毎日新聞のプレゼント程度では、顧客の拡大は、難しかったんだろうと想像できます。
 ネット時代になって、出版社は、ほぼほぼ、構造不況業種って感じで、衰退していたんですが、ここへ来て、巻き返しが始まったようです。それは、電子出版部門が、コミックを中心に、需要が拡大し、伸びているからです。「長年続いた市場縮小が底を打ち反転攻勢の兆しが見えて来た」と説明しています。講談社が4位に入り、集英社は11位。講談社の4位は、分かります。講談社は、やはり別格の大出版社です。学術・文芸からコミックまで、幅広く取り扱っています。集英社は、マンガ雑誌やコミックのような、エンタメ系が中心です。少年ジャンプの黄金時代は、すでに過去のレジェンドですが、そこはやっぱり腐っても鯛で、少年ジャンプは、「鬼滅の刃」と云う大ヒット作品を生み出しました。集英社が、ライバルの小学館(68位)を大きく引き離しているのは、「鬼滅の刃」のお陰だろうと推定しています。
 就職と云うのは、人生の一大イベントです。その大イベントでさえ、今年のトレンドと流行に動かされてしまっています。人は、長期的には、モノゴトを見ることができないと云う証左のようなものなのかもしれません。
 ずっと長い間、就職ランキングの上位を占めていた銀行が、50位の中に、一行も入っていません。Top 10の内、3つか4つは、大手都銀だと云うイメージを、まだ多くの方が、持たれていると思います。が、銀行は、あまりにもいろいろあって(ノーパンしゃぶしゃぶ事件とかもありましたが、これは、さほどマイナスイメージにはなってないと推定しています。だったら、オレもノーパンしゃぶしゃぶにchallengeしたいと、熱望した若者も、多かったと思います)三井住友銀行が、どうにかこうにか54位に入り、ゆうちょ銀行が71位、みずほフィナンシャルグループが84位と云う結果になっています。昔は、Top 10に3つ、4つ入っていたのに、今は、Top 100に3つ。まあですが、Top 100に3つも入るのは、やっぱり、銀行も腐っても鯛ってことに、なるのかもしれません。AIが銀行の業務の多くを肩代わりするとか、仮想通貨時代に突入すると、銀行そのものが不要になるなどと囁かれています。経済には、不案内なので、このヘンは、正直、よく分かりません。ただ、銀行は、私が知る限り、ずっと勝ち組でした。あまりにも長い間、勝ち続けて来たので、奢れる者久しからずで、衰退の時期がやって来たんだろうと、simpleに考えることもできます。
 伊藤忠商事が、去年に引き続き、ランキングのNo1。三菱商事は、13位。三井物産は、ランキング外と云うのも、古いデーターをアップデートできてない私には「?」って感じです。商事会社と云えば、三井、三菱が2トップと云うのが、長い間の常識だったと思います。おそらく、商事会社それぞれのキャラが、大きく変わって来ているんです。銀行は、その仕事の性質上、横並びで同じようなことを、やらざるを得ないんですが、商事会社は、AからBにモノを移動させると云う原則は、同じだとしても、扱う商品は、ヴァラィティに富んでいます。伊藤忠は「暮らしに欠かせないエッセンシャルビジネスに強く、資源分野に頼る他の商社ほど(コロナ禍で)落ち込まなかった」と評されています。伊藤忠は、最先端の医薬品などに強いと云う風な意味なのかもしれません。
 ランキングを大きく落としてしまったのは、旅行会社と航空会社。移動が原則、禁止されてしまったら、飛行機も飛びませんし、旅行も不可能です。政府は、Go to トラベル事業で、何とか需要を回復させようと努力していましたが、ここへ来て、コロナ禍の第三波が到来して、Go to トラベル事業は、中断されてしまいました。もっとも、世界中の需要が大きく後退してしまっているんです。一国がsoloで、少々、テコ入れしたくらいでは、世界の趨勢は変えられません。コロナ禍が、この先、どこまで続くのかが、まだ見えませんから(ワクチンの副作用がどれだけ出るのかも、全然、分かりません)新規採用の見通しは、当分、立てられないと推定できます。
 オリエンタルランドは、10位から54位に転落しました。キャストさんを退職させ、経営をスリムにしようとしているわけですが、有能なキャストさんだけを、選別して残すと云うことも、正直、なかなか難しいので、コロナ禍が収まって、客足が戻り始めたとしても、以前のような、TDL、TDS文化を復興させることは、容易なことではないと想像できます。かつて早稲田は、大学が介入して、学園祭を何年間も中止してしまって(学園祭が革マルの収入源になっていたので、中止したんです)その後、大学が主体となって、学園祭を復活させましたが、いったん失われたノウハウは、復活できないんです。キョードーやウドーのような、イベント会社が、公演がまったく実施できないのに、会社を維持し続けているのは、ノウハウを熟知している人間がいなくなったら、イベントが実施できなくなることを、知り抜いているからです。が、来年の3月くらいまでが、やせ我慢の限界で、それ以上、コロナ禍が続くと、資金面で行き詰まると、先日の新聞に記事が出ていました。
 ゲーム会社は、6位に入っている任天堂の一人勝ちです。任天堂と云うのは、トランプを作って、売っている会社だと、私は、いまだに思っていて、任天堂に関するイメージは、ここ60年間くらい、全然、アップデートできてません。任天堂が、一人勝ちなのは、フォートナイトとあつまれ動物の森が、メガヒットしているお陰だろうと、推測しています。
 Top 10の中に、味の素(2位)、アサヒ飲料(3位)、ロッテ(8位)、イオングループ(10位)と、4社も食品系が入っています。その他、12位サントリーグループ、14位日清食品、21位雪印メグミルク、22位森永製菓、24位キッコーマン、29位キューピー、32位アサヒビール、37位キリンと、食品関係が目白押しです。コロナ禍のようなパンデミックが発生すると、衣食住の内、やっぱり食が一番、重要になると云うことだと思います。スーパーが入場規制をして、超密の長蛇の列ができているのを、何度も見かけました。超密の行列は、ヤバいだろうとは思いますが、食品が購入できなければ、やっぱり困ります。
 東京都は、33位から20位へとランクアップしています。コロナ禍で、社会がこれだけ混乱しても、安定して給料がもらえる公務員が、やはり一番だと、若い人が考えるのも、当然かもしれません。
 ロシアの小説で、赤いスカーフが欲しくて、自分の軽い刑と、重たい刑を取り替える囚人のエピソードがあります。目先のことで、将来の人生を決定してしまうと云うのが、普通の人の普通の考えだろうなとも、思います。私だって、目先と云うか、目の前のことだけ考えて、ここまで、ずっと過ごして来ましたから、老後のキャリアプランとか、何かあるんですかと、教え子に訊かれても困ります。まあ、音楽は、任天堂がトランプを主に売ってた頃の、60'sを聞くかな、くらいのことは、言えますが…。

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