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Notionがコミュニティによって急成長できた11の理由
製品開発とユーザーコミュニティの関係については事例や書籍などコンテンツが既に溢れていますが、コミュニティSaaSのOrbitでマーケティングを担当していたGareth Wilsonという人が、かなり色々な角度でNotionのCommunity-led Growthについて調査した記事を書いていたので要点を紹介しておきたいと思います。
CLG企業としてのNotion
Notionは既に広く知られるとおり、コミュニティやアンバサダーとの良好な関係を構築するのが非常にうまい会社で、Notion自体がコラボレーションツールとしての要素もあることから、その開発にも再帰的に活かされており、CLG(Community-led Growth)企業としては理想的なベンチマークです。
Garettによれば以下11の要素によってNotionはコミュニティと共に成長してきたといいます。
1. アンバサダープログラム
製品を他のユーザーに紹介したりベストプラクティスを自らつくっていくアンバサダープログラムが確立している。以下のような感じ。
- 2人のアンバサダーが30万人のSub-Redditを運営
- 現在23カ国に200人以上のアンバサダー
- アンバサダーに任命されると全社に紹介される
- アンバサダーは新機能の早期アクセス権が与えられる
- ロードマップの優先順位づけはアンバサダーとの1on1で補完される
- アンバサダーの中にはNotionに関するトレーニングで年間50万ドル以上稼ぐメンバーもいる
- 大学生向けのCampus Leadersプログラムがある
2. インフルエンサー
製品・ブランドマーケティング上で重要なインフルエンサープログラムについて。
- インフルエンサーに対してコンテンツ制作に関する報酬を支払うスポンサーシッププログラムを確立
- #NotionはTikTokで10億回の再生回数
- インフルエンサーマーケティング責任者を専任で設けた
3. アフィリエイトプログラム
紹介による購買促進施策として、新規サブスクごとに12ヶ月間支払いに対して50%の報酬が支払われるとのこと。
4. ユーザーグループ
- 公式のユーザーグループが32ある。最大のグループは上記Redditの30万人
- 40カ国で65以上のオフライン交流会開催。規模は10-300人まで様々
5. テンプレート
既に数百万DLを達成しており、クリエイター・コミュニティメンバーが収益化できているという。
6. コンサルタント認定
既にパートナーエコノミーも確立している。
- 公式のNotionコンサルタントが存在する
- コンサルタントになるためには認定プログラムを修了する必要がある
7. チャンピオンプログラム
アンバサダーとは別に、Notionを導入する企業内での普及を担う人をチャンピオンと呼んている。
- 社内のNotionユーザーに使い方などを教える人=チャンピオンへのサポートプログラム
- Notionはカスタマーサクセス担当者が10人未満しかいないが、チャンピオンがいるからこの体制が実現できている
8. エンプラ進出
コミュニティによって知名度・信頼性を獲得し、エンタープライズ市場への進出が可能になった。
- コミュニティ戦略の移行をSMB/エンプラ、PMF前/後の2x2で考え、エンプラのPMF前はCommunity Advisory Boardsから始めた
- 個人向け有料プランもあるが、Notionの収益の大部分はBtoBから得ている
9. Notionがコミュニティ運営で利用しているツール
Notion自体を公開コミュニティの母艦としつつ、さまざまなツールを使い分けたり組み合わせてコミュニティを運営している。
- Notion: 公開コミュニティをホスティング
- Slack, Circle, Discord:アンバサダー、チャンピオン、キャンパスリーダーのコミュニティをホスティング
- Common Room: Socialデータ,プロダクトのデータ,コミュニティのデータの統合・分析
- SwagUp: ノベルティの管理
- Tremendous: ギフトカードなどのリワード管理・配布
- Luma: イベント管理
- Sanity: コンポーザブルCMS
- Threado: コミュニティ管理ワークフロー自動化
10. コミュニティチーム
- コミュニティチームは3人のコアメンバーおよび運用担当者(今後追加)が存在する
- マーケティング組織内のブランドチームに所属
11. ブランドコントロール
- ブランドガイドラインをコミュニティに強要しすぎないことを選択した
- 一貫性がないことを受け入れる判断をした
以上11の要素によってNotionはCommunity-led Growthを実現しているということです。
コミュニティの規模や多様性に関わらず驚くほど担当者の数が少ないことから、ブランドコントロール上の信頼関係はもとより、自律的に運営されていくためのユーザーの役割の明確化の仕組みづくりと、コミュニティを実現するツールやプラットフォームを分散しオーケストレーションすることでミッションの違うサブコミュニティを逆に管理しやすくしているところなどがとても興味深い点だと思います。
特にPLGでのプロダクト成長を狙う企業はもとより、比較的規模の大小に関わらず多様なステージでのコミュニティ運営のプラクティスが詰まっている会社ですね。
参考:Notionのコミュニティポータル
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