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仕事紹介 その8 染め1回目

地入れが乾き、色が合えば1回目の染めをします。

色が合うと言っても、縫込みに入る小さい面積の色に照らし合わせるのですから、大きな面積になると当然見え方が違ってきます。また、濃度のつき方や、地入れの効き具合も生地によって違います。

ですので、いきなり100%の濃度で染めるにはリスクが高すぎるのです。私はまずは、50%の濃度で様子を見ます。

それでも伏せ糊に染料が入ってしまえば、大失敗です。

そうならない様に生地との対話を重ねて染めに臨みます。

五寸刷毛に水分を含ませて充分に持ち手の木を膨らませておきます。
全ての準備と、染めのイメージが整った所で染めになります。
染めを途中で止めると、刷毛跡が出るので止められませんが、どんなに準備をしていても不測の事態が起きるものです。

染めの時には、染めながら頭を働かせて対応する瞬発力が必要です。この瞬発力は自分に期待するしかありません。突発的な事に対して良いリアクションが出来るように体調を整えて仕事に取り組みます。

平らに引くことやぼかしは、体が覚えているので意識はしません。
環境と準備と瞬発力が大切です。

染めの後は温度、湿度、空気の流れ をコントロールしてゆっくりと乾燥させていきます。土間の工房に水を打って湿度を上げ、反物の傾きや弛みも調整します。 
染めと乾燥はどちらも完璧にやらないと反物をダメにしてしまいます。




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