忘備録>海外で注目される進化した、あるいは予想外の流通におけるビジネスモデル①

、海外で注目される進化した、あるいは予想外の流通におけるビジネスモデルをいくつか紹介します。

1. Amazonの「フルフィルメント・バイ・Amazon(FBA)」

  • 概要:Amazonが提供するFBAは、サードパーティの販売者が商品をAmazonの倉庫に預け、注文があった際にAmazonが商品をピッキング、梱包、出荷するというサービスです。これにより、中小企業や個人の販売者も大規模な物流ネットワークを利用できるようになり、物流のスケーラビリティを実現しています。

  • 進化のポイント:このビジネスモデルの進化は、Amazonの配送ネットワークが拡大し、**「当日配送」や「2時間配送」**のようなスピーディな配送サービスを可能にした点です。また、AIを活用した需要予測や在庫管理も進化の一環で、物流効率の劇的な向上に寄与しています。

  • 予想外の展開:Amazonが自前の配送システムを強化し、従来の大手物流業者(UPS、FedEx)から部分的に独立する形で展開している点が予想外でした。さらに、**「Amazon Go」**のような無人店舗技術や、ドローンによる配送(Amazon Prime Air)も登場し、物流プロセスの全体が自動化に向かっています。

2. Instacartによる「オンデマンド型食料品配送」

  • 概要:Instacartは、地元の食料品店やスーパーマーケットの商品を顧客の代わりに買い物し、自宅まで配送するオンデマンド型のサービスを提供しています。配送は提携した個人の配達員によって行われるため、店舗が物流のインフラを持たなくても、スムーズに配送業務を行うことが可能です。

  • 進化のポイント:Instacartは、食料品の買い物代行と配送をリアルタイムで管理し、顧客に非常に便利な体験を提供しています。消費者がアプリを使って、短時間で新鮮な食品を自宅に届けてもらえるシステムは急速に広まり、COVID-19パンデミックをきっかけに、食料品のオンライン注文が急増しました。

  • 予想外の展開:このモデルの予想外な進化として、**ダークストア(通常の店舗としては営業せず、オンライン注文のための専用倉庫)**や、消費者のための買い物データ分析サービスなどが挙げられます。Instacartはまた、AIを使った商品レコメンドや、食料品店向けのマーケティングサービスを提供するプラットフォームへと進化しています。

3. アリババの「ニューリテール(New Retail)」モデル

  • 概要:アリババが提唱する「ニューリテール」は、オンラインとオフラインを統合した革新的なリテール体験を提供するビジネスモデルです。アリババ傘下の「盒馬鮮生(Hema Fresh)」という店舗では、オンラインでの食料品注文を15分以内に準備し、30分以内で自宅配送できる仕組みを実現しています。顧客は店舗で商品を選んだ後、スマートフォンアプリで商品を購入し、そのまま配送を依頼することができます。

  • 進化のポイント:アリババのニューリテールは、オンラインとオフラインの完全統合を実現し、消費者はスマートフォンを通じてオンラインで商品を購入するだけでなく、店舗で商品を実際に手に取ることもできるようになりました。さらに、AIとビッグデータによる需要予測と在庫管理の精度向上により、物流の効率化が大幅に進化しています。

  • 予想外の展開:アリババのニューリテールは、オフラインの店舗が物流拠点として機能することで、ローカル配送ネットワークが形成されるという予想外の展開を見せました。店舗での販売活動がそのまま即時配送に直結するため、物流コストの削減や迅速な配送が実現しています。

4. Ocadoの完全自動化「スマートプラットフォーム」

  • 概要:イギリスのOcadoは、食料品のオンラインスーパーとしてスタートしましたが、現在は完全自動化された倉庫運営システム「Ocadoスマートプラットフォーム」を提供する企業に進化しています。このプラットフォームでは、ロボットとAIを駆使して、商品のピッキングや梱包をほぼすべて自動で行っています。

  • 進化のポイント:Ocadoの進化は、フルオートメーション倉庫の導入にあります。AIとロボティクスを駆使し、効率的な在庫管理と注文処理が行われるため、従業員の介入が最小限に抑えられています。顧客がオンラインで注文すると、倉庫内のロボットが迅速にピッキングし、短時間で商品が配送される仕組みです。

  • 予想外の展開:Ocadoは、自社のオンラインスーパー運営だけでなく、この自動化プラットフォームを他の企業にも提供することで、物流の自動化を広げています。ホワイトラベルとして技術を他社にライセンス供与することで、食料品だけでなく、さまざまな業界にこの技術が応用されています。

5. Shopifyの「エンド・ツー・エンド・ECロジスティクス」

  • 概要:Shopifyはオンラインストア構築プラットフォームを提供する企業ですが、近年では、Shopify Fulfillment Network(SFN)という物流サービスを開始しました。これは、独自のECサイトを持つ小売業者向けに、Amazonのようなフルフィルメントサービスを提供するものです。

  • 進化のポイント:Shopifyの強みは、ECと物流の完全統合にあります。中小のオンラインストア運営者が自社ブランドで商品を販売しつつ、配送や在庫管理を一元化できるようになっています。また、ShopifyはAIを活用した需要予測や在庫配置の最適化にも力を入れています。

  • 予想外の展開:Shopifyの展開で予想外だったのは、プラットフォーム型の物流サービスとしての成長です。Shopifyはこれにより、AmazonのFBAに対抗する形で、独立系ECビジネスを支援するエコシステムを形成しつつあります。

6. Nuroの「無人配送車モデル」

  • 概要:アメリカのNuroは、完全自律型の無人配送車を開発し、商品を顧客の自宅まで自動配送するビジネスモデルを推進しています。Nuroの車両は、特に食品や小売商品を運ぶために設計され、ドライバーを必要としない完全無人の運転が可能です。

  • 進化のポイント:Nuroのビジネスモデルは、完全自動化された配送プロセスを実現し、特に食品の宅配や日用品の配送に応用されています。消費者はアプリを通じて注文し、無人車が指定された場所に商品を届けます。

  • 予想外の展開:無人配送車のビジネスモデルが進化し、コロナ禍の影響で非接触配送の需要が急増したことにより、Nuroの技術が急速に普及しました。また、大手小売業者やレストランチェーンとの提携が進み、ラストマイル配送の革命的なソリューションとして注目されています。

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