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ASD児の最大の支援者は誰か?

ASD児のケアの重要性が語られる中、その支援をどのようにしていくべきか?という点がクローズアップされて議論がなされています。
心理士などの専門職の方々のサポートを始め、様々な支援が実際に行われている状況でもあります。

しかし今回の論文は、その団参者の支援をより一層効果的にさせるためにも、ASD児の認識をさらに強化するためにも最も重要な存在を上げています。

それは「親」です。

自宅という安全地帯で、親という唯一無二の理解者に支えてもらう。これがやはり子どものこころを考えた上でも重要そうです。

そこで、今回のタイトルは「親こそがASD児の最大のトレーナーである可能性」として論文紹介をしたいなと思っています。

●【応用行動分析】【ペアレントトレーニング】【Early Start Denver Model(ESDM)】 親こそがASDの最大のトレーナーであるかもしれない A Review of Parent-Implemented Early Start Denver Model for Children with Autism Spectrum Disorder Children (Basel). 2022 Feb; 9(2): 285. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8870866/

Parent-implemented Early Start Denver Modelはアメリカ・カリフォルニア大学デイビス校MIND institute(研究所)によって開発されたプログラムで、ABAと発達心理学に基づくモデルです。 このモデルについて今までの論文を体系的にまとめている総説論文です。

ASD症状の重症度を軽減し、認知的、社会的、情緒的、言語的能力の発達を重視することを目的とした包括的な早期介入として知られています。 このプログラムは生後18~48ヵ月の子どもを対象として設計されており、マニュアル化されたカリキュラムを4つのレベルに分け、それぞれが異なる発達領域をターゲットとしています。 さらに、子どもの学習成果を促進するために自然環境と良好な人間関係を重視。家庭環境で早期介入を実施するには保護者が最適であることを認めている。 すなわち、応用行動分析+子どもの発達心理を融合しているともいえます。

今までの研究結果では、
✅子どもの特性
✅介入の強度と期間、
✅子どものアウトカム指標、
✅親関連のアウトカム指標と実行度合い

にフォーカスをして調査しています。

今まで行われた研究では、ほとんどの親が肯定的な反応を示していたとの事です。 興味深い事はこのモデルはASD以外の発達障害の幼児にも有効であるという事が述べられている点(ただし今後の検証で再現性の確認が必要)です。

このプログラムは12週間という比較的長いプログラムですが、親がこの12週間実施する事で親と子の相互作用スキルが著しく向上し子供の発達も開園していたとされています。 (ただし、有意な結果までは出ていない報告が多い事には注意)

子どもの転帰に関しては、ほとんどの研究で、特に認知能力、言語能力、模倣、注意力、社会的接触の開始において有意な改善が見られたと報告されています。

具体的なプログラムとしては、
①子どもの注意を引きつけてやる気を起こさせる
②二者間の関わりや共同活動のルーチンを促進する
③言語的・非言語的コミュニケーションを強化する
④遊びのスキルを取り入れるなどのアプローチを支援 などがあります。

最終的には
✅親が子どもの学習ニーズに対して有用なプログラムを利用できるような目利きができる事
✅育児ストレスのレベルを下げる事ができる
✅親子の自身と能力を高める事ができる
✅親はコーチングの事例を経験し能力を高める事が可能

等が考えられるとされています。

このスキルは特に父親にも重要であるといわれており、父親がこのプログラムにどれだけ参加するかも成功要因の一つになるかもしれません。

親によるこのプログラムは確かにスキルの差は現れますが、この点を意識して養育することそのものに価値がありそうです。

特にリモートが進んできたCOVID-19の背景から、オンラインサービスを利用してこのスキルを高める事は可能でもあります。

今後の大きなASD児のケアの改善ポイントは父親に焦点を当てられることになりそうですね。

このような情報をオンラインサロン内参加メンバーには無料で情報共有を行っています。気になる方は是非、「小児精神科医と考える能動的な子育てセミナー」にお越しください(⌒∇⌒)
https://community.camp-fire.jp/projects/view/671229

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