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ミズノアルファ発売について思うこと

遂に新サイロ

今月18日、ミズノ社から新スパイク、ミズノアルファが発売となる。
実に5年ぶりの大型バージョンアップだ。
これに伴い、前作ミズノレビュラカップは廃盤となる。
私も多くのサッカーファン同様、とてもワクワクしている。すでにマイサイズ分の予約をミズノ公式サイトから済ませた。
しかし、この新作には様々な意味が込められていると感じ、現在、この文章を綴っている。

ほぼ完全に消失したイグニタスの遺伝子

前作のレビュラはミズノイグニタス4とミズノバサラ101のサイロ統合によって生まれた。
多少の違いはあれど、両作品のDNAを端々に感じる作りになっていた。
一言で言えば、ボールタッチとスピードを50-50で両立した造りであった。
V1シリーズからはCTフレームが、CUP以降はFTグリップがボールタッチやキックを助け、アウトソールはダッシュや切返しがしやすい作りになっていた。
しかし、今作からはキックとタッチを助ける要素がほぼなくなっている。
アッパー素材は商品説明を読む限りは軽量化、素足感覚、フィット感そしてズレ防止を売りとした素材だ。
グリップやフレームはもちろん、無回転キックを蹴るためのラバーなんかどこにもない。
では、アウトソールはどうか?
縦への反発力と剛性が長所とされ、スタッドの配置はモレリアを参考としてあるそうだ。
ちょうど、バサラとモレリアのあいの子といったところだ。
ほぼ完全に、イグニタスのレガシーに別れを告げたと言っても過言ではないのではないか。

ミズノアルファを選んだ選手たち

ユニオンスポーツに勤務なさっている矢野氏は常々「スパイクはポジションやプレースタイルではなく、フィット感で選んでください」
とおっしゃっている。
私も必ず、この言葉を大事にしてスパイクを選択している。
まずはフィット感、それが良ければ、ポジションやスタイルに合わせて選択するようにしている。
しかし、トッププレイヤーたちはある程度は自分専用の足型を取ってもらったり、多少のアレンジを加えたりする融通が効くのでポジションとプレースタイルに合わせたチョイスがより可能となる。
今回ミズノアルファを選択した選手には有名なセンターバックが2人いる事が判明している。
スペイン代表、セルヒオ・ラモスと日本代表、吉田麻也だ。
この二人の選択が、私にフットボールの流行の潮目を感じさせる。ラモスは以前まではNIKE社と契約してティエンポシリーズを愛用し、契約が切れた後はアディダス社のコパシリーズやニューバランス社のテケラV3Proを試し、最後にミズノ社はモレリアNEO3βを試してミズノ社との契約へと漕ぎ着けた。共通しているのはどのスパイクも一般的には後衛の選手向きと一般に認識されている物であること、さらに、テケラ以外は天然皮革を使用している。
そのラモスが8月末ごろからブラックアウト加工が施されたテストシューズを履き、そして遂に正式にミズノアルファを選択した。用意された物をとりあえず履いた、というより、彼が自分から求めて履いたように見える。
では、吉田麻也はどうか。私は彼がミズノアルファを選んだ事が1番の驚きであった。
個人的な偏見で申し訳ないのだが、彼はモレリアシリーズのいずれか、十中八九権田と同じモレリアⅡに移行するのだろうと思っていた。
しかし、彼もまた必要を迫られて今回のような決断を下したのではないか。

鈍足にセンターバックが務まらないのか?

あなたはセンターバックにどんなイメージを持っているだろう。
どのような選手にセンターバックを任せたいだろう。
長身のエアマスター、どんな相手にも怯まぬバトルサイボーグ、そしてド根性で味方を鼓舞する闘将…
私の父の世代(そろそろ還暦)では、センターバックに求められるのはディフェンスのセンス以外には、フィジカルとメンタリティだった。さらにいえば、多少ディフェンスに関するスキルが無くともフィジカルとメンタリティで補ってしまう選手がいたと聞いている。
そして21世紀が近付くにつれ、ここぞというときの攻撃参加を求められるようになり、現在ではゲームメイク力がやボールキープ力必要とされるようになった。
そして、巧妙化と迅速化を辿るオフェンスに対応するためのスピードが求められている。
現在、吉田麻也やハリーマグワイアと言った選手がスピード不足を理由に敗戦のボーンヘッドと指摘されたり、スタメンを追われたりしている。
センターバックといえば"なんかでかくて強いやつ"ではあったが、それだけではダメになりつつある。
スピードにしろ、サッカーIQにしろ、視野にしろ何かしらのプラスアルファを武器にしなくてはならない時代になりつつあるのだ。
そのために、準備の段階で足元を見つめ直した時、ミズノアルファは一つの答えになりえるだろう。

今後のスパイクトレンドはどうなる?

こうして考えてみると、来季のJリーグ開幕が楽しみだ。
ミズノ社契約選手のうち、今季レビュラを選んだのはコンサドーレ札幌の小柏ら一部の少数の選手だった。
モレリア、中でもNEO3が人気銘柄だった。
これにどこまでミズノアルファが割って入るかによって選手たちの意識と今後のトレンドが見えてくるだろう。
センターバックのスピードブーツ着用者で言えば、既にヴィッセル神戸所属の菊池がアディダス社のエックススピードポータルを選択している。
また、アディダス、ナイキ、プーマの所謂御三家からの契約が打ち切られるJリーガーが増えているというのもミズノにとっては追い風になりうる。
ミズノ社のスピードブーツが、この国の新たなトレンドを作る可能性は十分あるだろう。新たな試みは始まったばかりだ。
そこで、ユニフォームのサプライヤー契約を結んでいるチームに、中でもJ1リーグを戦うコンサドーレ札幌の選手たちにはある程度強く営業をかけるのではないだろうか?
北の大地が雪解けを迎える頃、宮澤、岡村、森福、田中といったバックを支える選手の足元に変化が見られるのではないか。
なんなら、マーキュリアルを愛用してきた西大伍も…
海外展開はどうか?
近年はポルティモネンセに始まり、今季からドイツのボーフムとイタリアのSSラツィオのサプライヤーとなり、影響力を強めている。
もしかしてインモービレのスパイクが…
いやいや、まさか…

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