イタリア料理ってどんな料理?~高須賀の美食入門12~

イタリア料理の特徴を一言で言い表わせば、"素材の旨みを上手に引き出した料理"であると言えます。

一般の方々はイタリア料理といったらピザだとかトマトだとかを想像すると思うのですが歴史的にみれば実はそれらは比較的最近もたらされたものであり、元からイタリア全土に共通するものではありません。そもそもイタリアってカチッと統一された国じゃなく、20州の様々な個性を持った地区が喧々諤々、色々いいながら何とか均衡をたもって存在している不思議な国家なのです。

そもそもイタリアは歴史的にも統一されたのがかなり遅い国です。1861年に統一を果たすまで内部で細かく国が分断されていた為、未だに地方ごとに出される料理がかなり異なります。一般的には北はバターやチーズが多用される傾向があり、南に行くとオリーブオイルやトマト、唐辛子、にんにくが使われる傾向があるものの、これも結構大雑把な分類で細かく見ると例外は多々あります。

このように地区により差があるイタリア料理ですが、キチンと間を取り持ってまとめ上げている料理があります。それがパスタです。異なる文化を持つイタリアにおいて唯一といっていいほど全土で食べられているものがパスタであり、イタリア料理を読み解くにあたってパスタは外せない視点になります。

これは歴史的にもキチン正当な視点であり、イタリア統一の立役者であるジュゼッペ・ガリバルディは統一宣言時に「諸君、マッケローニ(パスタ)こそイタリアを統一するものになるであろう」という名言を残しています。

日本料理に共通するものが昆布やかつお節から取られた出汁であるように、イタリアという雑多な国を統一しているアイデンティティはパスタにあるといえるでしょう。


それでは雑多な地方料理としてのイタリア料理の歴史と、それをひとまとめに括り上げるパスタの歴史をそれぞれ見ていくこととしましょう。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?