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お金の先にある、中年の幸福について

なんとなく興味を持って読んだのだが、想像以上に良かった。

本書はシェアハウス管理人や極力働かない道を突き進むような新しい生き方を模索されたphaさんの新刊である。

phaさんの本はこれまでにも何作か読んだことがあるのだが、だいたいどれも途中から書くことが無くなってしまったかのように、途中から論旨が雑になる傾向がある印象があったのだが、本書にはそういう要素はなく、最初から最後までスルリと読める。


この本の特徴を一言でいえば、革新的で新しいことを実際に取り組んでみて、やってみた人は10年後に何を思うのかというものだろう。


phaさんの生き方は実際問題として、とても新しいものだった。彼のライフスタイルに憧れた人は僕を含めてとても多かったと思う。


そうして多くのフォロワーが生まれたわけだけど、結論だけいえば、phaさんはその新しい生き方に飽き、その新しい生き方を最後まで貫くという事ができなかった…という事になる。


彼の生き様と素直な心情の吐露を読んで何を思うかは人それぞれだろう。


人によっては保守的なライフスタイルが史上だと思うのかもしれないし、逆に新しい事をスタンダードに持ち上げることの難しさを感じる人も多いだろう。


僕個人が本書を読んで一番おもったのは、


時代も時間で変化をするものだが、人間も時間で変化するという事実である。


若い人間には存在感がなく、中年は存在感が強すぎる

本書を読んで一番心に響いた指摘は、若者は自分自身に振り向いてもらおうと奇抜な事をやる傾向があるのに対して、中年は身ぎれいな格好をしないと刺激が強すぎて警戒されてしまうというものだ。


僕自身、いったいなんで中年のいいとこのサラリーマンが髪型をキチンと整えてスーツを着るのかがさっぱりわからなかったのだが、phaさんはこれを


「中年はいるだけで無視できないぐらいに存在感が強く、ちゃんとした格好をしないと人を警戒させてしまう」


と表現しており、その指摘には唸った。


その逆で、確かに若者というのは存在感というものが希薄だ。昔はピアスをしたり、金髪に髪を染め上げる人間をみて、いったいなんでそんな事をするのかサッパリわからなかったのだが、改めて言われてみると、あれは自分自身に注目してもらう為の、ある種のおまじないなのだろう。


若者は存在感が確かに薄い。故に良くも悪くもその他大勢になりがちである。


だからそれを覆そうと、色々と奇抜な事をやってみたり、保守的なライフスタイルを否定したりと、そういう活動でもって己の存在感を強く主張する。


一方で中年は何もしなくても存在感が妙に強い。感覚的な話だけではなく、実際に体臭が感じられるようになったりもするが、恐らく加齢に伴って発生する老廃物の蓄積が、何らかの死の匂いのようなものを発するというのも無関係ではなさそうだ。


人間は自分自身の行き先を客観視出来ない

世の中の多くのものは、実際にやってみないとよくわからない。

例えばGoogleで検索すれば、実に多くのきれいな観光地がみつかる。

この写真は北海道・十勝にあるタウシュベツ川橋梁のものだ。有名なので知っている人も多いだろう。


このように実に多くの人が情報として様々なものを取り入れられる一方で、実際にそこにいかなくては絶対に理解できない性質の情報も多数ある。


例えば、この橋の反対側がどうなっているか、知っている人はいるだろうか?

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