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7. Designing Authentic Experiences for Computing 8.Conclusions, Recommendations, and Research Agenda

全8章で1回で2章ずつやってきたので、今回でおわり。

7章はまとめで、では、これまで話してきたようなAuthenticな学びを設計するためにはどうするか、がテーマ。

7前半:教育のデザイン

強調されるのはまず、目標設定をキッチリして、ずらさないこと
目標はこれ。

1. 一般的な目的(技術的なリテラシー、学習とスキルの開発)
 2. 情緒的な目的(アイデンティティの形成、創造的な行動の支援など)
 3. 経済・社会的な目的(市民活動、経済的な機会、労働力開発など)
この3つは特殊ではないけど、「しっかり決めてずらさない」ことは非常に大事だ。というのは、大抵の仕事はズレる。そしてズレたことが含めて、目標に届かないことはごまかされ、グダグダになり、いつのまにか「なんでこの仕事やってたんだっけ?」となる。
利益というわかりやすい普通の会社でもそうなので、コンピューティング教育という曖昧で、かつゴールのハッキリしないものを追い求めるためには、なにがゴールかを明確にし、全員が意識することが大事だ。
(論文にはないが、数値目標にしてメトリクス作らないとボケると思う)

そして、デザインするために必要な7要素が語られる。たとえば誰を対象にやるのか、どういう教材を使って誰が教えるのかをを忘れてはならない、みたいなものだ。
基本的には「既存の常識や先例にとらわれず、その場その場に向けて最適なやり方を考え、定着するまで何度も続けましょう」という、どの仕事でも重要な話だ。

7後半:評価と教育を行う環境

評価はスカスカ。「定量的なのはあんまりよくないけど、とはいえじゃあなにか現在たよりになるものがあるかというと、ないよね 以上
ちゃんとしらべて現状そうだとすると、しばらく既存のメソッドを学ぶことにはあんまり期待できないのだろう。

この分野では調べまくるよりもlearing by doingがきわめて大事で、事例もなるたけsummaryじゃなくて相手の学校に長期泊まり込むみたいな学び方をしないと抜け落ちるものが多そうだ。

環境は、キャンパス型のカッコイイ教室や、様々のイケてる教育ツールの話。

ディスカッション:コミュニティの事例共有をしよう

グループディスカッション、ぼくは喋りたいことが多くて、ほとんど喋り倒してしまった。分解のススメの話だ

コミュニティ=好きな人が、集まることでその総和よりも大きくなるもの


たとえば
分解のススメ: 分解好きが分解事例を発表し合う、分解にフォーカスしたTEDxみたいなコミュニティ
 -初心者ではなくできる人がひたすらやっていくスタイル
「分解する」ことにフォーカスしたイベントはなかった
「作る」より「分解」することのほうが共有しやすい
めんどくさいけど、やるって決めたからやろう!という行動 -> 継続しながら惰性感をうまない活動が重要?
例)可視化する, 新しい風を入れる... など(安易に流れないようにする)
 「この場があるから発表したい」という雰囲気になったら、1つ目の勝利


分解することで学べることはたくさんある。同じLEDなのに値段差があるのはなぜかを分解して構造を調べることで見えてくることがある。
コミュニティを作るための目的:1の力を5-6に大きくしていくこと?
コミュニティに入れない人は?
基本、万人向けじゃないコミュニティのほうが多いし、そこは「やりたい人間を相手にしよう」という方向に向いたほうがやりやすい
いろんな「やりたいことのコミュニティ」があって、みんなが人生の中でなにかに巡り会えると良い
やりたい人がやれることを心置きなくやれる空間を作るので良いのでは?
オーセンティックは学ぶことそのものが面白いということ。手段は問わない。
「共通の目的のためにアウトプットを重ね、そのうち組織に筋肉のように根付くようになる」というコミュニティ運営のノウハウはマルチ商法やインターネット詐取サロンでもだいたい同じなので、なるべくコミュニティの方向性を善きものに持っていきたい
善きものの一つは科学だ。「科学はいいものだ」みたいなのは、エビデンスを超越した宗教みたいなものなので、運営時にウソっぽく響かず、かつ本気で信じられる宗教みたいなのを打ち立てるのは、コミュニティ運営では大事。
分解のススメのスローガンは「ブラックボックスをつくらない、という文化を作ろう」です


8.Conclusions, Recommendations, and Research Agenda

これまでのトピックをそうざらえみたいな内容になっている。

最後のディスカッションはテーマを選びたいので、「アカデミアの価値とは?」を選んだ。
ぼくの問題意識はこんな感じ

Maker movementの研究がしたいけど、今の所分野がまたがりすぎていて、ここだという進路がない
アカデミアの価値は「マトモにアタマが使えること」で、大抵はアタマを使うとロクな方向にいかない(絶対ムリな発明とかに行く)なかで、アホの重力に引っ張られないのがアカデミアの価値。
そして、そのノウハウとコミュニティのかなりの場所で(たとえ学位がなくても)通用するので、やったほうがいいと考えている。
同じくらい強力でロバストな価値は「お金の稼ぎ方」ぐらいじゃないか?

だったのだけど、ここで言う「アカデミア」は教育学を指していて、ぼくの問題意識はサイエンス全般みたいなものを指している。つまりスレ違いである。
他のメンバーは教育学の専門家で、今の教育学の問題意識が伺えてかなり面白かった。
STEMでは新しい教育目標を立てようとしているので、そこに向けた教育学というのも、フレームワークの見直しみたいな事が必要のように思えるが、それはより「ふわっとした目標」なので、人々のアタマを集中することがすごい大事なんだろう。

(ぼくの中の)結論

教育は大事な分野ではあるけど、これから先の教育はますます「単一の正解に簡単に行かない」という、サイエンスみたいなものになっていくだろう。
全体に均一に適用できる、同じ結果が出る話はコンピュータの力でGoogleやアリババあたりがコモディティ化していくだろう。

そこ以外の分野がまさにこの論文のテーマなんだけど、読んだ限りだと「アタリマエの事はアタリマエに大事で、逆に銀の弾丸みたいなやつは怪しいのでまだ信じるに足らない」感じだ。期待はずれというわけではなくて、最近の状況をちゃんとキャッチアップするのが大事なので、そこについては100点だった

そこからはみ出る小さいコミュニティで新しい知を探求する、みたいな試みは、ますます貴重になるだろう。ニコ技深圳や分解のススメみたいなやつだ。

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自分の中で整理がついてまとめたものは、何かしら記事やレポートにするけど、「まとまるまえのものや小ネタをすぐ見たい」という要望を聞いて、フォトレポートを始めることにしました。

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