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イブ

クリスマスイブ。

12月24日は、誰か歴史的に重要な要人が何かしらあった前の日の事だそうだ。

何かあった日の前の日をお祝いする、その儀式が、昔からよく分からない。


プレゼントも買ったり、貰ったり。

これも、最近じゃ10月末にハロウィンでやったばかりじゃん。


もっとこう…
なんて言うか、別に何もなくても良いような気もするがね。。


昔、僕がまだ小学生の頃。

1つ下の弟と、2段ベッドで寝ていた。

24日はクリスマスイブ。
サンタがプレゼントをくれる日だ。

サンタは居るとも居ないとも思えた、宙ぶらりんな年頃。

まぁ何かしらくれるなら、それはそれで嬉しいわな…。

そんな思いで床についた。


翌朝、弟の仕掛けたドラえもん目覚まし時計で目が覚める。

いつもよりも少し早い時間設定。

弟は、すごくプレゼントが楽しみだったのだろう。


プレゼントはシッカリと、僕らの寝ているベッドの正面、ピアノの椅子の上に置いてあった。


プレゼントの大きさは、A3用紙よりも少し大きめのもの。


キレイに包んであるわけでもなく、仮にも熨斗が掛けられているわけでもない。


そこには、青と白の新品のビート板が置いてあった。

クリスマスプレゼントに、ビート板。

クリスマスにビート板を貰った人間は、おそらく世界探しても僕と弟だけではないか。


めちゃくちゃシュールだよね、ビート板。

今売ってるの見たことないよ。

今の時代に見ないんだから、当時なんかよっぽど無かっただろうよ。

だって、冬だぜ。


しかもだ。

このビート板を貰った年。

もう普通に25m泳げているからね。


しかも学校にはベルマーク掻き集めて得たビート板が30枚くらい常備してある学校だったので、わざわざ自前のビート板を学校でなんか使わない。使えないよ。


市民プール…
だから当時で言うと王禅寺だとか、千草台プール、あとはこどもの国くらいか。。

でももう既に泳げる子だったからね、、
使わないよね。。


あの伝説のビート板は、我が家の語り草になって久しい。

伝説の創始者は、何を隠そう実の親父だ。

もう他界して5年になるが、毎年毎年クリスマスイブが来ると、
もみの木でもなく、
ケーキでもなく、
キラキラなイルミネーションでもない。

あの青と白のビート板なんだよ。


荼毘に伏す親父の棺に、あのビート板を入れてやればよかった。


これで三途の川も渡れるぞ、バタ足でな!
と。

何だかんだ言って、今日はシッカリとパーティっぽい事、してみた。

娘にもプレゼントを。

中身は残念ながら絵本と人形。

ビート板は、またいつか。

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