見出し画像

ぜっんぜんちゃうやん!SCIENCE FICTION/宇多田ヒカルの最新ベストアルバムが贅沢な完全新作だった

本人渾身のセレクションによる最新ベストアルバム「SCIENCE FICTION」がいろんな意味で興味深かったので、以下感想。

一通り聞いて思ったのが「ぜっんぜんちゃうやん!」。そんな思わず関西弁でツッコミ入れたくなるくらい、ベストアルバムと名を借りた完全新作ノリで狂喜乱舞してしまった。これまでインプットされてきた曲の数々は見事なくらいに現在に新たな輝きを纏っていたのだ。

そんな好例が1曲目の「ADDICTED TO YOU Re-Recording」。宇多田ヒカル本人もその仕上がりに満足だったんじゃないかって想像させるくらい、オリジナルの良さを活かしつつ、(矛盾している表現だけど)別物だった。過去曲とはもはや思えないほどギンギンに立っていた。コンセプトを象徴する曲としてポテンシャル十分だったので、おそらく冒頭に選ばれたのではないだろうか。このアレンジ、めちゃくちゃ好き。

この歌はアルバムのために新たにレコーディングされたという経緯があり、タイトルにRe-Recordingとある。同じようなものが「光 Re-Recording」と「traveling Re-Recording」だ。「光」は当時から特に好きな曲ではなかったけど、不思議とこのアレンジだとすんなり受け入れることができた。「traveling」はBADモードの延長のようなシンプルモダンなアレンジで、色気を纏ったような扇情さが耳に絡みつくのが心地よい。

「GOODBYE HAPPINESS」は発売当時から大好き。それがさらに絶妙なエコー効果と音圧の向上でより立体性が生まれ、宇多田ヒカル独特の美しいメインボーカルとコーラスワークのレイヤー祭り。余談だがライブのオープニングだった時はもう失禁しそうなくらい嬉しく、自然と涙が溢れてしまった。後半の「アー」の繰り返しだけでも十分伝わる神曲。嫌いな人、絶対ききなおして!

デビューから25年。当時の私は大学2年生。彼女も私も大人になった。けど音楽に傾ける情熱はますます盛んで、カタログをカタログで終わらせないパワフルさは人生において見習うところがあるなと、メッセージとして個人的に強く受け取った気がした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?