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第7回ソレコン 全作品の感想

ソレコンとはソレノイドという電子部品を使った発明品のコンテストです。
毎年1月から応募が開始され2月に審査会があります。
審査会では明和電機の土佐社長と漫画家の見ル野栄司さんが全作品を審査します。

私はフィンガーテレポーターという作品で応募しました。
コンテスト後に他の人の作品をじっくりと見直したので全37作品の感想を書きます。

No.1 Network Stomper(ネットワーク・ストンパー) (ささきさん)

足で操作するギターのエフェクターを手元で操作するための装置。
遠隔操作なのでエフェクターの前から離れることができる。
ソレノイドの力をテコで増幅してスイッチを押している。
バーに付いている引きバネと押しバネはOFFの時にバーの角度を固定するための工夫かもしれない。
ソレノイドとバーの間に隙間があった方がより力強くスイッチを押せるのだろう。

No.2 バックオーライ (仁科正孝さん)

車のバックカメラの角度を切り替える装置。
バック用のカメラの角度を走行時に変えることで遠方を見ることができる。
必要な角度は2つなのでソレノイドに適していると思う。
車のバック操作と切換が連動する点がすごい。

No.3 目覚ましオラオラ拳 (谷洋 恒藤悟史さん)

動画見つからず

棒で人間を突いて起こす目覚まし時計。
ロングストロークソレノイドは強力なので絶対に起きる。
リアルタイムクロックモジュールを使っているので時刻も正確。
初見の人は何の装置なのか全くわからないだろう。
見たことがない装置で良い。

No.4 SolenoidPaper (田中 優斗さん)

紙工作をソレノイドで動かす作品。
1枚の紙を切って折るだけで完成する点にこだわりを感じる。
バッテリーとソレノイドをかなり小さくユニット化している。

No.5 おーともぐちゅん (ねこまめさん)

小鳥にエサを与える装置。
実際に使っているところを見たい。
遠隔操作もできるので楽しそうだ。

No.6 ダイスデスクから落ちないくん (なっすさん)

ダイスを机から落とさないための装置。
ソレノイド無しの状態でも発明だと思う。
しかしダイスのダイブは見ていて気持ちが良いのでやはりソレノイドは必要。

No.7 おばあちゃん注射した? (匿名さん)

確実な動作が要求される医療系の作品。
そのためかしっかりと配線されている。
軽い注射針の重さでスイッチを動作させることは難しかったと思う。

NO.8 たこ焼き回すくん (ひらりんさん)

これを見たソレコン勢はこれをどうやって実現させるかを考えたはず。
そしてこれはだいぶ難しそうだ。
課題を提起したまさかの夢オチ作品。

No.9 やけにセキュリティが強い引き出し (kiiroinyaさん)

動画見つからず

工作がきれいで動作も確実。
壊れると開かなくなるので中もきれいに作っているはず。
開けるために手順が必要なのでセキュリティが強いことも間違いない。

No.10 コイン・トス・マシン (noguoさん)

思った以上にコインが良く飛ぶ。
コイントスにはソレノイドが最適であることが証明された。

No.11 ソレノイド先生 (まふゆげ先生さん)

★いいね賞 受賞作品
ソレノイド探偵団の再現度が極めて高い。
漫画から正確に寸法を割り出して作ったと思う。
強度にこだわったそうだが前回り受け身をしたときに腕がもげないことが何度見ても不思議。
コマ送りで見たが地面に激突している(1:47)。

No.12 SOLEARM (仙台高専 末永・加賀谷研さん)

何度も見ないと機構を理解できなかった。
ソレノイドとラチェットでロボットアームを作った人はいないだろうから世界初だ。

No.13 絶対に壊させないスマホケース (チームシンカイラボさん)

★技術賞 受賞作品
チームシンカイラボは5年連続応募の常連である。
第3回の「腕時計装着装置」はアイアンマンを想像させるような挑戦であり、第5回の「レンホー」はソレコンの枠を越えて歴史に残るはずの名作だ。

No.14 poco rit. (わかめすうぷさん)

★大賞 受賞作品
作品が必要とする動作にソレノイドが一番マッチしている点が良い。
駆動部品がソレノイドだけな点が良い。
ロングストロークに頼らないで普通のソレノイドを使った作品で良い。
ソレノイドがまる見えで良い。
類似するモノがこの世に無さそうで良い。
良い演奏という価値を生み出していて良い。
まさに主人公的な大賞作品。

そしてこれらの事を全て無視した作品ほどソレコンっぽいと言われるのもソレコンの面白さだ。

No.15 プッチンプリンを自動でプッチンするロボット (ゆずれもんさん)

上段は強度が高いPET板、下段はプリンを美しく見せるためにアクリル板を使用。
この点だけでも情熱が伝わってくる。
冷蔵庫の中で動作させるためにバッテリー式にしたのだろうか。
バッテリー式にすると工作の難易度が上がる。
そして皿を置いた瞬間にプッチンされた。
この人はやりたかったことを完璧に実現したはずだ。

No.16 自動ペットボトル潰し機 (豊田高専 田中研究室さん)

本格的な装置だができることはペットボトルを1時間かけて潰すこと。
モーターが存在しない異世界の人が作ったような不思議な作品。
これはアート作品なのだろうか。
もしくは機構を学習するための作品か。

No.17 ぴんぽん! (まさくん(神奈川工科大学 小坂研究室)さん)

ピンポン球発射装置。
コンパクトだから卓上の好きな場所に移動可能。
球が毎回同じように飛ぶ。
ソレノイドで毎回同じように球を押し込む動作が利いているのかもしれない。

No.18 ラジアル演奏器『ハコベル』 (電気エネルギー制御科!)

これは発注したら一体いくらするのだろうか。
恐らく今年一番の高額作品。
全て光ると大変きれいだ。
ここまで仕上げたのに選曲がキラキラ星とチューリップ。
そのエンジニアらしさにニヤリとする。

No.19 トランプくばる君 (みつさん)

これはすごい。
簡単にはできなかったと想像する。
人間が配るスピードを超えることが課題だと思うがこの作者ならば既にアイデアがあると思う。
電子工作の定番になりそうな作品。

No.20 ソレパンチ (ホンダハンさん)

★イグソレコン賞 受賞作品
一件大雑把な工作に見えるが適当に作って動作するような甘いものではない。
これだけ大きなものをソレノイドで動作させるのは難しいことだ。
ソレノイドはプッシュではなく難易度が高いプルを選択している。
プルソレノイドは鉄芯を戻す機構を必要とするがバネを使ってしっかりと実現している。
プルソレノイドはストロークを多少延ばすことができるので選択したのだろう。
(もちろんストロークを延ばせば出だしのパワーは弱くなるが)

No.21 仮病支援システム (Suicchoさん)

体温計の温度を上げる装置。
従来手法の50%の時間で体温を設定できたのであれば課題を解決していて見事だと思う。
今後の予定では「自動温度設定」を実現するらしい。
体温計の温度を読み取る仕組みが必要だと思うがどうやるのだろうか。

No.22 天気を雨から晴れにするのを体験できる傘 (五一郎さん)

勘違いする人が多いと思うが雨の音を再現しているのはソレノイドの音ではなく、傘を叩く音。
39秒あたりから聴くと雨音の再現度が高い事がわかるので聴いて欲しい。

No.23 おかんガード!!! (ごっけんさん)

閉じるときにソレノイドへ通電する逆発想のスマートロックシステム。
タイトル通り「ガード」を目的としたスマートロックだ。

No.24 メガネって馴れるまで意外と時間かかるよね。 (最終総研さん)

ソレノイドが本当に気持ちよく動作している。
良い音出している。
ヘルメットを手で支えているのは仕方が無い。
ソレノイドの重さが2つで1.2キロ以上あるから。

No.25 フィンガーテレポーター (kabuさん)

★イグソレコン賞 受賞作品
自身の応募作品です。

No.26 動員くんと集客ちゃん (みゅうさん)

一般的なソレノイドは鉄芯が数mmピョコピョコと動くだけの部品だ。
これで一体何すればいいの!と苦悩することがソレコンの醍醐味。
そう考えると動員くんはかなり大きな動作を実現していると言える。
また集客ちゃんはほんの僅かな動きで可愛さを表現している。
わずかな動きで何かを表現ことは挑戦しがいのある分野だと思う。

No.27 ラチェットソレノイド (カミ袋さん)

この作品ができることは力強く回転することだけだ。
しかしここまで本気で作っているのだから作者は本当にラチェット機構が好きで快感なのだろう。
このような人が駆動機構の改良や発明に貢献するのだろう。

No.28 ソレノイドV6形発電機 (ジョ ユンソンさん)

だいぶ試行錯誤した跡がうかがえる。
クランクシャフトの製作は難しかったと思う。
回っているところをよく見たかった。

No.29 スメルっピー (小坂崇之さん)

★いいね賞 受賞作品
スメルッピーの表面がピカピカなのがすごく気になる。
相当ヤスリをかけないとこうはならないはず。
1:00からのシューンとスメルッピーが透明になる凝り過ぎた映像には笑ってしまう。
ブレスケアを1つづつ出す機構自体も相当凝っている。
角度調整のクリック感が気持ちよさそうだ。

No.30 ハンドレス化粧水 初号機 (toriiiiiiiiiiiiiiiiiさん)

ソレノイドを固定するとスプレーを引けない、だからソレノイドを宙に浮かせたと作者は言う。
これは理にかなっている。
ソレノイドは引き始めの力が一番弱い。だからスプレーを引けない。
だからONでソレノイドを一端宙に浮かせることで位置エネルギーを溜め、OFFでそのエネルギーを瞬間的に使うことでスプレーを引いている。
そしてむき出しのブレッドボードもよく見て欲しい。
ジャンパー線がホットボンドで固定されている。
ブレッドボードで試作してそのまま固定してしまうことでラピッドプロトタイピングをさらに加速させている。
自分では絶対に思いつかない発想だ。

No.31 アドベントボックス (熊本県3Dプリンタ勉強会さん)

ソレノイドの小さな動きで大きな扉を開ける仕組みが良くできている。
これはなかなか思いつかないと思う。

No.32 アコーディオン演奏ロボットのハンド (たかやんさん)

指は5本と考えてしまうがこれは14本。
このロボットハンドはカッコいい。
ソフトウェアもこだわっておりMIDIファイルから最適な指の動作が自動生成される。
しかし演奏動画が残念すぎる。
隣にエンジンを囲んで談笑する集団がいるようだ。

No.33 QiPad push (INOUELABさん)

AirPods Proは間違いなく中央に自動で移動していて課題が解決されている。
回転機構が滑らかなでかつ全く音がしない。
中央の台座は固定されているし、どうやって回しているのだろうか。
それにしても気持ちよさそうな場所だなぁ。

No.34 杵つき型餅つき機 (シオさん)

ソレノイドで餅がつけることが証明された。
私はできないと想像していたが間違いなく餅ができた。
使用しているソレノイドは特大。
2つで1.26kgだ。
それを支えるための移動機構が2x4材をベースにしてガッチリと作られている。
丈夫なだけではなく重さも必要だったのだろう。
動画はほんわか雰囲気だがかなりの大作だと思う。

No.35 最強くま型リズムマシン TP-808改 (三次元大介さん)

★いいね賞 受賞作品
モーターをソレノイドに変えることで自由な動作を実現している。
モーターから置き換えて価値が増したことにはやったぜと思う。
TP-808改はかなり速いテンポでも動作する。
ソレノイドの選定やバネの調整が難しかったと思う。
楽器でソレノイドを使う場合ソレノイド自体の音がうるさい問題が発生する。
しかしトンピーのボディでその音を吸収しているのかうるさくない。
TP-808改はローランドのリズムマシンTR-808から命名したようだ。

No.36 全自動湿布貼り機 (有明ファクトリーさん)

湿布を拡げて貼る動作はかなり難しいだろう。
調整して現在はもっとよく貼れるようになったらしい。
移動する機構には謎が残る。
左上と右下の対角線上でしか移動できないように見えるが自由に動くのだろうか。

No.37 リズムパズルボックス (たこぴんさん)

1つのソレノイドで4本の針を動かしている。
板が1枚でも動作しているので、安定して針を動かすための仕組みがありそうだ。
「スライドパズルとしてリズムを楽しむこともできます。」の意味が理解できそうでできない。脳が熱くなる。
見たことが無いものを作ってくれてありがとうございます。

以上37作品の感想でした。

各作品の作者による説明はこちら
http://takaha.co.jp/co/slcn_log/

工作をしたことが無いけど挑戦してみようかしらという人はこちらのソレキットを改造して使うのが良いかも
https://solekit.net/howto

コンテストの開催元はソレノイドメーカーのタカハ機工株式会社です。
http://www.takaha.co.jp/

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