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非効率の豊かさを噛みしめる

先日、今度舞台をやる話をしていたら、知人に、

「ほんっと、舞台の人ってよく、一つの芝居に何ヶ月も時間掛けるよねー!

と言われて、改めて、

ほんとに非効率的な芸術だよなー舞台って。。。と思いを新たにしたわけだが、

俳優が携わる仕事の中で、舞台ほど時間を掛けて一つの芝居に取り組むものって、基本的にない。

特に、芝居を、演技をどう作るかに関して時間を掛けるという意味において。

というのは、映画なんかで、一つの作品に半年とか一年とか掛けるものもあると思うが、その場合も

「稽古」に時間をとるわけではない。

だから、TV、ラジオなど他の媒体に携わる人からみると、そんなに時間を掛けることが不思議なのだと思う。

「非効率的」と言ったのは、効率の概念からすると、舞台は。

掛けた時間の割に、実入りが少ない

というのが、身も蓋もない言い方だが、真実だからだ。

一つの芝居に、稽古1ヶ月、本番1ヶ月掛けたとしても、劇場のサイズなどの制限があるから、観てもらえる観客人数が圧倒的に少ない。(他のメディアなどに比べて)

じゃあさ、

いったいなんでそんな非効率なこと、やるわけ?

というのが、不思議なんだと思う。

なぜか?

俳優の場合は、「そこまで時間を掛けて試行錯誤していい、贅沢な時間を持てる仕事は他にない」からだろう。

それは、つまり、「芝居がうまくなるチャンス」って、他の仕事だとなかなかないのよ!ってことだ。

現場を進行することに、重大な意味があるテレビ、映画などの撮影は、ある意味「時間との勝負」でもある。(特にフィルムだった頃なんて、フィルム代だけで莫大。1日に何百万ずつ出ていくようなイメージだ)

プロフェッショナルが集まって、仕事を果たし、答えを出す。

しくじりは=ミスであって、作品の肥やしにはならない、と考える(傾向がある)

舞台の場合は、稽古の1ヶ月に、間違ったことを沢山やって、ムダな時間を沢山すごして、結果として作品が「豊かになる」可能性があると考える。

あちこち寄り道しながら、磨いたり、熟成したりする時間的余裕があることが、舞台制作の魅力でもあるのだ。

ああ、贅沢な時間❤過ごしてまーす♪

なぜ非効率的な舞台を役者が選ぶのか?

なんとなくわかるー?

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