感情移入のメディア
かねがね思っていることだし、何度も文章化をしてみているけど、
やはり、ラジオに携わっていて考えるのは、
ラジオと、テレビの違いについて
で、僕がよく言うのが、
「額縁有り無し理論」
というものなんですよね。
テレビには、額縁つまりフレームが常にある。それは、
「今観ているものは、そのフレームの中の出来事である」
という感覚です。
もう少し有り体に言えば、
「他人事である」
という意味でもあります。
ちょっと言いすぎかもしれませんが、特にテレビの
「ワイドショー感覚」というのは、まさに、これですよね。どこか客観的に、ある程度の距離感を持って、感情移入しすぎずに観ることができる。
だからといって、ドラマが作りにくいわけじゃありません。ただ、想像してみると、例えば、家族で茶の間でテレビを観ているとすると、
○全員の目線の先にはテレビがあり、そのフレームの中を観ている(目線の方向が一緒)
○でも、声も出せるし、意見も言える(映画との差です)
○好きなタイミングで離脱もできる(目線を外すと離脱)
要は、「醒めるタイミング」っていうのが、結構多いんですよね。
ラジオの場合はどうなんでしょう?
○目線というのが限定されていない(映像はそれぞれの頭の中に)
これは、つまり、「主人公と同じ目線になることがしやすい」ということでもあります。フレームの中の出来事ではないからですね。
○音しかないので、聴きながら音や声を出しにくい
意見や感想を言い合っている間に、聴き逃してしまいますから、集中して聞こうとしますね。(もちろん熱心に聴いている場合ね)
○目線をはずす。という状況が起きないので、没入しやすい。
元々、音から自分がイメージする世界にいるわけだから、簡単には離脱しません。
だから、感情移入したり、自分にひきつけて感じるってことになりやすい。
例えば、テレビの街頭インタビューみたいなもので、見知らぬ誰かがしている発言は、かなりぶっちゃけたこと言ってても、
他人事だから笑えたりする。
逆に、ラジオドラマだと、あまりに痛々しいシチュエーションや、ぶっちゃけ過ぎたテーマは、
自分も痛くて聴いてられない。
みたいなことも起こると思います。
だから、面白さの質がちょっと違うのかもしれない。と。
どっちが良い悪いという話じゃなくて、特色が違うということですけどね。
まだまだいろんな違いがあるんでしょうが、このフレームがあるかどうか?のところは結構面白いテーマだと思ってますね。
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