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画家の現実が数字として示してくれる良書です。『完売画家』

『完売画家』は、日本においての画家の現実と成り上がるためのノウハウが書かれたビジネス書です。

「委託ギャラリーの場合:画家がもらえるのは売り上げの3割」「コントラストが強い作品は、人の目を引きやすい」「日本で絵を売る販路:ギャラリー/百貨店/独自路線」など、画家の現実を数字でリアルに語ってくれます。

特に「作家の限界点:3,000万円=号単価20万円×10号×50点×3割」は、日本における絵画作家の限界数値を教えてくれます。

日本の高額な絵の号単価は10~20万円で、住宅事情から日本で売れるサイズは10号がせいぜいで、年間50点描くとして1億円、作家の取り分は3割なので売上高3,000万円がトップという計算です。

ここにキャンパスや絵の具などの費用と経費を差し引くと、下手したら年収2,000万円ということもあり得ます。

さらに住宅と同じように、中古市場が活性化していないために、中古価格は半額以下が普通という残念な結果です。

逆に海外では資産価値が担保されるために、値崩れが少なく、むしろ上がる傾向が高いので投資としても利用できるのです。

安心して日本人の絵画を買うには、絵画業界の構造を変えないといけないのかもしれません。

 

「コネがある:ギブアンドテイクが当事者間で成立するという意味」「地方でしか作品を発表しないのは、プロへの遠回り」「最低でも号2万で10号以上の絵を年間30点強生み出し、売らなければならない」などを通して、画家としての最低必要な努力の仕方を教えてくれます。

特に「プロを目指すなら:学生時代から借金/複数のギャラリーに通う/複数の公募団体に出品」は、数少ないプロの画家を目指すための指標です。

借金してでも運用資金を増やして活動期間を確保し、ギャラリーに通うことで作品の傾向を確かにして売るための人脈を確保し、公募で画家の価値を担保させるのです。

そして画家として、「ほしい人を増やす/持つ人の幸福度を考える/持つ人と作品の距離を深める/感謝の気持ち/買い手の目線」を守ることで、画家を続けることができるのです。

画家になりたいのであれば、美大1年生から先生を無視して画家になるための活動をする必要があるでしょう。

 

#完売画家 #中島健太 #CCCメディアハウス

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