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ライトノベルの歴史を俯瞰し、時代の変遷を教えてくれます。『ライトノベルの新潮流』

『ライトノベルの新潮流』は、ライトノベルの歩んで来た道のりと、今後の展開を示唆したビジネス書です。

「『転生したらスライムだった件』少年マンガの王道である仲間とともに戦う異能バトルものに近い物語」「ラノベ編集者:作家の育成を小説投稿サイトへ完全に委ねた→書籍として売れる内容に変える」「オタク:スクールカースト下位→自己変革を図る青春ラブコメ」など、ラノベの歴史と現状を教えてくれます。

特に「『齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪龍認定』のアニメは中国の配信会社bilibiliがスポンサーとなって制作されるもので、制作スタジオも中国であり、日本での放送は予定されていない」は、「ラノベ→アニメ化」の流れが日本だけでなく中国にも波及していくことを示しています。

日本のアニメやドラマの原作不足は深刻で、中国でも同様な現象が起きているのでしょう。

「日本発のコンテンツであっても、日本よりもむしろ海外で売れるものもある」に、コンテンツの提供者としてのラノベの側面もあるでしょう。

もしかしたら、これからは日本原作のラノベのアニメやドラマが、海外でしか見られない時代が来るかもしれません。

 

「ラブコメに特化する文庫→少女小説と同じ道をたどるなら、数年後には棚が大幅に減っていてもおかしくない」「『デート・ア・ライブ』が第4期まで決まった背景には、原作の中国での高い人気がある」「小説家になろうのテンプレ:異世界転生/ナーロッパ/チート/外れスキル/俺TUEEE/悪役令嬢/乙女ゲー転生/スローライフ/追放/ダンジョン」などを通して、ラノベの形や問題点を教えてくれます。

特に「ラノベ:若者に向けた娯楽小説→読者が高齢化→主人公が社会人化」は、ラノベ第一世代が40代、50代となり、主人公を学生から社会人に変えていることを教えてくれます。

「『佐々木とピーちゃん』:ひと昔前なら文庫レーベル→実際には単行本」の例のように、主人公だけでなく、価格帯も安い文庫から2倍の値段がする単行本に変わってきています。

「文庫レーベルの守備範囲が狭くなっている」問題点もあり、ラノベが若者向けのジャンルではなく、全年齢に向けたものになっていることがわかります。

時代の変遷が読めるので、ラノベを愛する前山のようなサラリーマンにオススメです。

 

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