かぼちゃのチーズ焼きはなぜ美味しいのか
かぼちゃのチーズ焼きは美味しい。
小さなときから特別な日に母がよく作ってくれる一品だ。熱々でホクホクのかぼちゃの上に、こんがり焦げ目がついた多めのチーズがのっかってる。
誕生日、クリスマス、合格祝い、野球合宿や留学から久々に実家に帰ってきた日など、なにか特別なことがある度にかぼちゃのチーズ焼きをお願いして家族みんなで食べた。
かぼちゃとチーズのみのシンプルなレシピだし、特別高級な食材を使ってるわけではないはずだが、なぜか格別に美味しく感じる。
最近、伏木亨教授という方の文章を読んだ。
人の「美味しい」という感覚に影響を与える変数を4つに定義し、これらの評価の統合によって、ざっくりしたおいしさが決まるとしている。
生理的欲求
砂糖や油脂などの快楽物質への中毒
文化的な慣れ
多様な情報の影響
つまり食べ物そのものに「絶対的なおいしさ」が存在するわけではないということ。食を体験する「人」の空腹状態や慣れ、舌や鼻から感じる味覚・触覚・嗅覚からのインプット情報、グラスや器・ライティングなどの視覚的情報、背景にあるストーリーや産地情報など非常に多様な情報を脳が統合的に処理して、最終的に「美味しい!」という認知に至る。
母が作るかぼちゃのチーズ焼きが美味しい理由は、かぼちゃの糖分、チーズの脂肪分を生理的レベルで欲しているから、というだけではなく、わたしの脳内で「家族が集まる幸福な時間」「なにかを成し遂げたときの達成感」といったポジティブな記憶と強く結びついているからなのかもしれない。
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