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本屋をしてみてわかった、小さな本屋がネットに勝てない理由

薬局×本屋「ページ薬局」がオープンして2ヶ月が経とうとしています。

当初想定していたよりも本が売れることで、やりがいを感じる日々を過ごしています。


想定より本が売れている、ということは思ったより本屋として機能しているとも取れるはずです。

売上の構成としては店頭に置いてある本のみならず、取り寄せの依頼を受けることもあります。


ページ薬局を始める際、一番心配だったのが本の品揃えです。

本を売るといえど、取次(いわゆる本の卸)さんが相手にしてくれるほどの規模ではなく、結果的には他の書店さんを二次卸として、そこから仕入れる形でスタートを切りました。

この書店さんの協力なくして取り寄せへの対応ができないことを身をもって体感しています。

しかし、それでも入れたいと思った本が必ず入るわけでもないのです。


先月、私が読んで是非お店にも置きたいと思った「A」という本があります。

早速、二次卸の本屋さんに「A」を依頼しました。


それから3日後、ページ薬局開局のお祝いに駆けつけてくださった経営者さんから「A」が欲しいとのお声が。

ちょうど発注中の旨を伝え、たまたま3週間後にお会いする予定があったのでその際にお渡しすると回答。

さすがに3週間も時間があれば入るだろう、と高を括っていたのですが、待てど暮らせど「A」は入荷してきません。


確認するも入ってくるのは相当難しいだろう、との回答で、入るかどうかも微妙なライン。

入荷を諦め、どこか別の本屋さんで購入して、そっくりそのまま新品の状態でお渡ししよう、と考えて「A」の在庫を1軒1軒電話して調べました。


自宅の近く、職場の近所、知り合いの勤める書店。

6軒の本屋さんに電話で問い合わせをしてどこも在庫なし、仕方なく超大型書店に確認するとようやくヒットして、そこで何とか「A」を購入できました。


ちなみに「A」は古い本でもなく、大手出版社が4月に刊行したばかりの本です。

正直ここまで入手しにくいとは思ってもいませんでした。


今回は取り寄せの依頼で3週間という猶予期間があったにもかかわらず、小さな小さな書店であるページ薬局では取りそろえることができませんでした。

かといってせっかくの客注文を逃してはならない、とも考え、精一杯対応させてもらったのですが、普通に書店で本を買って、それを横流ししただけなので利益はゼロ、時間も手間もかかっているので赤字といえば大赤字です。

しかもこの「A」だけに限らず、他の本屋さんには沢山並んでいるのにうちには入らない本があるというケースも何度か経験しました。


次に繋がると思えば対応した値打ちもあるかもしれませんが、前にも紹介したように本の利益は本当に微々たるものです。

このような薄利の商売で仕入れにも制限があり、且つ入荷までに時間を要するとなれば便利なネットショッピングに太刀打ちできないのも無理はない、と感じました。


返品率や利益構造。

業界の抱える課題は色んな切り口から考えられますが、在庫の関係上店頭に置けない本があったとしても、せめて発注すれば絶版でない限り自由に入るという体制がなければ、本屋さんの減少傾向は致し方ないのかもしれません。


まだ本屋を始めたばかりの分際でああだこうだ文句じみたことを言うのも憚られますが、試行錯誤しながら本を売っていこうと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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